清澄な空気が魂に流れこむ 「星野道夫の旅」展

連日のアート鑑賞で、月曜日は母と一緒に「星野道夫の旅」展@京都高島屋へ。 

10.4星野道夫展

星野道夫は写真だけでなく文章がとても好き。 星野道夫の自然観というか死生観にとても共感するところがあって、著書「旅をする木」を読んで、その繊細な感性に涙がこぼれたことも。

人間だけが特別な存在なのではなくて、人間も熊も植物も流れる川も空気も、全部が並列な感覚。 大自然の中で悠久の時の流れを肌で感じて、人の一生がどれほど短くて、自分がいかにちっぽけな存在であるかを知る。 それは決して悲しむことではなくて。 だからこそ全身でこの世界を抱きしめるような切実さ、愛おしさを感じながら、人の気配のない極北の大地をひとりで旅した星野道夫。

写真ではなく、まず極北の自然が先にあっての写真だったという解説に、なるほどと納得しました。 北の大地に強くひかれ、そこで生きることが星野道夫にとってまず何よりも優先したかったこと。 そのための写真だったのですね。 でも、だからといって、写真が凡庸というわけではない。 北の大地への愛、そこでの生きとし生けるものへの愛があふれた写真だから心打たれる。 書き残した文章を読めば、熊に襲われて命を落としたことも必然だったのではと思えます。

10.4星野道夫展2

しぶきの一つ一つが星のように輝いて、光の美しさに見惚れました。 ものすごい大判の写真だからこその迫力は写真集では味わえません。 6×7のポジフィルムの原版も展示されていて、それもよかった! 見終わった後は、とてものびのびとした気持ちになれました。 おすすめの写真展です。 全国を巡回するようなので、ぜひ。


10.4星野道夫写真集

私がずっと昔に買った星野道夫の写真集。 本の整理をしても、この写真集と「旅をする木」は絶対に最後まで手放さないと思う。 このむくむくの熊も真っ白なタテゴトアザラシの赤ちゃんの写真も、今回の展覧会にもありました。 理屈抜きに愛らしくて心が和みます。


10.4星野道夫写真集2

こちらは今回の展覧会をみて感激した母が購入した写真集。

私が買ったのは

10.4星野道夫展ポストカード

ポストカードいろいろ+シロクマの写真のマスキングテープ。 ついつい財布の紐がゆるんじゃいました。


10.4あんみつ

今年に入ってから、甲状腺のために大好きな海藻類をひたすらやせ我慢中。 なんだけど、「月ヶ瀬」のあんみつだけは特別。 寒天は海藻…でも、いいの、これだけは。 2日続きのアート鑑賞、大満足。

■いつも拍手をありがとうございます! 先週はネタがありすぎて更新がなかなか追いつきません。 台風の一日は、母につきあってワッペンのタペストリー作りしていました、喧嘩しながら(笑)。

 
Category: 展覧会

美しいものへの情熱 「没後50年 河井寛次郎展」+「院展」

前から行きたいと思っていた「没後50年 河井寛次郎展」と「院展」の招待券を入手できたので、日曜日は美術鑑賞友だちMさんを誘って一日どっぷりアートに浸ってきました。 一日に二つの展覧会をハシゴするのはなかなかにハードなのだけれど、工芸品の鑑賞は絵画ほど疲れず、充実した楽しい一日となりました。

まず「没後50年 河井寛次郎展」@JR京都伊勢丹(~10月23日)へ。 ふたりとも民藝運動の手仕事が大好きで、Mさんは特に河井寛次郎、私は濱田庄司がお気に入り。

10.3河井寛次郎展パンフレット

今回の展覧会では、山口大学所蔵の寛次郎のごく初期の作品が初めて学外で展示されているそうです。 30歳頃までにさまざまな釉薬や技法を試していて、いずれもすでにすばらしい完成度。 昔は今よりも焼成に時間と手間がかかったでしょうのに、目を見張るほどのバラエティ豊かな焼物を作っていることに、焼物がおもしろくて仕方がなくて次から次へとやりたいことが湧いてでてくる感じが伝わってきました。 辰砂(赤い釉薬)も鉄釉(黒)も緑釉も呉須も、掻き落としもスリップウェアも三色打薬も練り土のマーブル模様も…100%思い通りにコントロールできない土と火から自在に創作している寛次郎。 そのほとばしるような創作熱に圧倒されます。

例えばパンフレットの筒描(チューブから粘土を細く搾って土手を作り、その中に色の違う釉薬を注す手法)だって、清水焼では極めて繊細な手法として使われているのに、寛次郎にかかるとなんとダイナミック! その上、この花器(?)も実は口が三角形だったりして、戦後は歳を重ねるほどに作風がどんどんアバンギャルドになっていく。 トーテムポールみたいでもある抽象的な造形の木彫作品もたくさんあったけど、やっぱり陶器がいいな。

10.3河井寛次郎展パンフレット2

今回の展覧会では寛次郎の言葉がたくさん散りばめられていて、それがとてもよかったので迷った末に文庫本「火の誓い」を購入(文庫本なのに1100円+税!)。

10.4河井寛次郎 火の誓い

特に、展覧会の冒頭にあった「過去が咲いてゐる今 未来の蕾で一杯な今」が胸にしみました。 そう、人間はいつも「今」を生きているんですよね、寛次郎さん。 過去や未来にとらわれず、今、この瞬間をしっかり味わって生きよう。


10.3コムラサキシキブ


午後は「第101回 院展」@京都市美術館(~10月9日)へ。 会期真ん中だから、日曜でも会場が空いていてゆっくりみられました。 一時期、高島屋でやっていたけど、やっぱり「院展」は京都市美術館が落ち着いていい。 純粋芸術はデパートの猥雑な空間とは異質だと思う。

最近の出品作は作風も題材も色合いもいろいろあって楽しめました。 とても暗い濁った黒とグレーだけで廃屋やら都会の構造物を描いた日本画が流行っていた頃は「日本画の良さがどこにもない!」と、「院展」を観に行く気持ちが薄らぎましたが、やっとそういう流行が落ち着いたみたいでホッとしました。

Mさんも私も一番気に入ったのは、田渕俊夫「飛鳥川心象 春萌ゆ」。 墨絵で淡く描かれた田園風景の桜並木から、はかない桜の色がたちのぼってくるようでステキでした。 総理大臣賞受賞の村上裕二「気」、富士山を真正面から描いた下田義寛「早暁 シバザクラ」も日本画ならではの表現でよかったな。 文部科学大臣賞の大野逸男「信仰の道」は好きとか嫌いとかを超越して、何かすごい気配をまとっていて、絵の奥のほの暗い杉木立の中に何かの気配が宿っているようで強く印象に残りました。  こういうのは絵じゃないと表現できないこと。 大きな木の根の陰に2羽の鳩が身を寄せ合う、河本真里「雨宿り」も私は好き(もう少しメリハリあったらもっと好き)。

同人の作品はココでみられます。 余談だけれど、ネットで検索していて村上裕二が村上隆の弟と知ってビックリ。 へぇー、兄ちゃんに似ず、純粋芸術に真正面から取り組んでいるんだ。


美しいもの、自分だけの表現へのとめどない情熱に触れられて、凡人の私の精神もリフレッシュできました。 手から生まれるものは、みる人の心を落ち着かせてくれます。 Mさん、一日たっぷり付き合ってくれてありがとう!
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パンチ不足? 「ダリ展」@京都市美術館

猛暑ですっかり家に引きこもっていましたが、美術鑑賞友だちMさんに誘ってもらって日曜日は久しぶりに美術館の「ダリ展」へ。

8.21京都市美術館

12時30分頃に待ち合わせ。 普通に入場できましたが、会場内はかなり混雑していて、絵の前から人がなかなか移動しないので鑑賞しにくかったです。 15時頃にでてきたときは西日かんかん照りの中、外で行列している人たちが!? ダリって日本で人気なんですねえ。

ダリに対しては何の思い入れもないのだけれど、展示はちょっと物足りなかったなあ。 ”ダリらしい”と漠然とイメージしているような絵(愛妻ガラをモデルにした絵とか溶けたような時計とか)があまりなくて、意外に版画や舞台のためのデザイン画、絵本「不思議の国のアリス」の原画、それに絵を描き始めた10代の頃の作品が多くて。 多岐にわたって仕事をして時代の先端をいく芸術家として成功していたことはよく伝わってきました。 自己プロデュースがうまくて(ガラのマネジメントのおかげ?)商業的にも時代の空気にうまく乗れていた感じ。 ダリはダリ自身がブランドになっていたというか…。 17歳くらいまでにさまざまな絵の描き方を試していて、早熟で絵のセンスがあったのがわかったのは興味深かったです。

油絵の作品はとても小さいものがかなりあって、それも意外でした。

8.21ダリ展2 8.21ダリ展
 
左は入場フリーの写真撮影コーナー(ここだけちょっと行列に並びました)。 このセットと展示内容はまったく関係なし。 なんで、このセットだったんだろう? とりあえずMさんと記念撮影しておきました。

美術館の後はロームシアター内のレストラン&カフェ「京都モダンテラス」でおしゃべり♪

8.21京都モダンテラス 8.21京都モダンテラス2

古い建築をうまくリノベーションしてあって雰囲気いいです。 天井がとても高くて、天井近くの高いところがぐるりとガラス張りになっていて、木製のブラインドで遮光しつつ外の緑や空がみえて開放感が◎。 もう少し季候がいいときなら屋外のテラス席も気持ちよさそう。 

ロームシアターができたのと同時に、周辺の岡崎公園全体も整備されて、歩道が広くてのんびりできる感じになりました。 自動車が幅をきかす世の中で、人が優先で何もない空間と緑がたっぷりあって、ここだけ空間の使い方がヨーロッパ風。 もっとこういう場所が増えたらいいのに。

8.21岡崎公園

帰る頃には、秋っぽい空と雲。 でも、まだまだ暑くて、連日27℃の熱帯夜が辛い! もうやだよお。
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東西の植物熱 「イングリッシュ・ガーデン展」@京都文化博物館

家のすぐ横にあるアパートの解体工事が始まり、バッカーでコンクリートを砕いた粉塵と轟音、振動がひどすぎて、とても家にいられる状態ではなくて、緊急避難として母と一緒に展覧会へ。 京都文化博物館で開催中の「イングリッシュ・ガーデン展」をみてきました。 

6.4イングリッシュ・ガーデン展

このパンフレットがセンスなくて行く気がなかったのですが。

意外におもしろかったです。 英国のキュー王立植物園所蔵の細密な植物画の展示を中心にして、大航海時代のプラントハンターから演芸の大衆化までの社会背景をからめて紹介しています。 でも、解説文がどうもわかりにくくて…もう少し簡潔に書けなかったのだろうか。 私はたまたま以前、この時代のプラントハンターについての本を読んでいたので、興味深かったですけど。

ボタニカルアートに特に興味はなかったのですが、実物の絵は想像以上によかったです。 ただ細密に実物に忠実に描かれているだけでなく、やはり絵なので描いた人のセンスと筆の勢いによって、力のある作品とそうでない作品があるのだと知りました。 南ドイツで作られた世界最古の巨大な植物図鑑「アイヒシュテット庭園植物誌」は、モノクロながらものすごい迫力があったし、銅版画に手で彩色された英国の植物画はとても美しかったです。 色使いが美しい「バンクス植物図譜」がもっとみたかったな。

6.4昼顔

同じチケットで同時開催中の「江戸の植物画」展もみられて、全然期待していなかったけれど、これがかなりおもしろかった。 日本でも江戸時代にしっかりボタニカルアートがあって、特に目をひいたのが、お公家さんの近衛家熈(いえひろ)が描いた植物画! すごいですよ、この人。 一緒に展示されていた狩野派の絵師の作品よりずっとずっとすばらしい。 絵師じゃなくてお公家さんだったから、描きたいものを描いていただけで人目にもあまりさらされず、それであまり有名じゃないのかな? 機会があったら、もっとみてみたい! 女流画家・織田瑟々(しつしつ)の桜の絵も印象的でした。

6.4柏葉紫陽花

途中で母が疲れて気分が悪くなってしまい、半分くらいしかみられなかったのがちょっと心残りでしたが、後半の日本画で満足感が増しました。

6.4透かし百合

最近は散歩の途中で花の写真を撮るようになりましたが、あんな展示をみたら、植物園でじっくり植物の絵を描いてみたくなりました。 描けないけど。



6.4PAULのケーキセット

しんどがっていた母は、文化博物館前のPAULでアプリコットケーキを食べたら元気になりました。 パイ生地だけど、あっさりしていてペロッと食べられ、母は「もう1個食べたいくらい」と(笑)。

家に帰り着いた頃には本日の工事は終わっていて、いつも通りに静かでホッとしました。 あまり聞き慣れない小鳥が庭で日暮れまでピーピー鳴いていました。 驚いたんだろうな。 それにしても埃っぽい! まだ10日近く続くなんて…。
Category: 展覧会

ネコのいる風景 「岩合光昭の世界ネコ歩き」展@大丸京都店

昨日、母と「岩合光昭の世界ネコ歩き」展をみにいってきました。 乳がん治療でよれよれだった頃、岩合さんのネコの写真展を2つ続けてみて、とっても癒やされたので今回もぜひ!ということで。 NHK-BSの番組「世界ネコ歩き」が大好き。 ただし不定期なので、見逃してしまうこともあって(わが家は録画機能ナシなので)残念に思うこともしばしば。 大判のプリントをじっくりみられる展覧会は見逃せません。

5.3世界ネコ歩き展

岩合さんのネコ愛があふれる写真は、理屈抜きで楽しめます。 みているひとがみんなニコニコ、会場の空気がほのぼのしていていい感じ。 ネコがいるだけで、ただの観光写真でなくなって、風景が引き締まるんですね。

右上のポスターに使われているネコの目のキレイなことといったら! この子はテレビでみた記憶が。 柵に前足をかけて悠然と外を眺めているのがユーモラスでした。 背景がレンガで左に植物のみずみずしい緑があって、画面の切り取り方も最高(プロだから当たり前だけど)。 グッズ売り場が回を重ねるごとに充実してきて、目の毒(笑)。 物欲と戦って葛藤の末、ポストカード+クリアファイル+しおりだけで我慢がまん。 母はどっさりポストカードを買いこみ、結構な値段のマグネットも買って、ご満悦。

ネコとチビワンコの仲良しな写真、よかったなあ。 これをつくづき眺めていて、犬と猫のかわいらしさの違いを考えました。 猫は単体でもかわいいけど、犬の場合は犬の視線の先に見つめる対象があってこそ、犬らしいかわいらしさがにじみ出る気がしました。 犬って写真に撮ると、目以外は猫ほどには表情がありませんものね。

ココで展覧会で公開された写真をいくつかみられます。


今日は私もネコ歩き。

5.3私のネコ歩き

民家の入口の真正面に座りこんでいます。 餌がもらえるのかな。

5.3私のネコ歩き2

それにしても、そのビミョウな場所はなぜ? 「敷地に入っちゃダメ」と言われているの??


5.3散歩道

今日は近場の散歩のみ。 疎水沿いの40分コース。 連休中でもウォーキングしている人が結構いました。 毎日少しずつでも続けることが大事なんですよね。 今日で丸1週間。 三日坊主は過ぎましたが。

■拍手をありがとうございます。
Category: 展覧会

雑ぱくな楽しさ 「琳派降臨」@京都市美術館

今日は抜けるような青空が広がって、気分ものびのび。 ずっと気になっていた展覧会「琳派降臨」が今週末までと気づいて、慌てて行ってきました。 ひさしぶりに母と一緒の展覧会。 展示数ほどほど、あまり疲れない内容だったので、母も休み休みながら楽しめたようでした。 琳派の絵はデザイン的で、普通の絵画を鑑賞するより疲れない気がします。

展覧会のサブタイトルは「近世・近代・現代の『琳派コード』を巡って」。 江戸時代の正統派の琳派から、明治・大正の神坂雪佳とその時代の工芸品、そして意外なことに現代アートまでが展示されていました。 現代美術作品に琳派の影響が本当にあるのかどうか、ちょっと「?」な部分もありましたが、十分楽しめました。

2.11琳派降臨

神坂雪佳だけはある程度まとまった作品群でしたが、あとは有名な画家の作品がそれぞれ1点ずつぐらい。 ふだん興味をもっていない画家の作品もたくさんあって、全体としての統一感があまりないのが、かえっておもしろく感じました。

一番印象に残ったのは、金屏風一面に美しい緑でススキと半月が描かれた木島櫻谷「薄」(↑チラシの一番上)。 きれいでした。 近代アートの名和晃平「PixCell-Fallow Deer #2」も、独特ですごく印象的でした。 剥製(?)の鹿をガラスらしき透明の大小の球体で包んだ作品(チラシの左端)、実物の方がずっとステキ。 ほかに徳岡神泉「麦」、北斗七星の象眼(?)の小柄、笹を墨の濃淡で描いた乾山の小ぶりの器、神坂雪佳のおおらかな茅葺き屋根の描き方、若冲に挑戦しているような気迫が伝わってきた服部しほり「舞子と鶏図」がよかったな。

2.11京都市美術館

京都市美術館の建物そのものも、昨年の「パラソフィア」展でいっそう親しみがわきました。 レトロでモダン、和風で洋風。


美術鑑賞後、ずいぶん疲れたはずの母は「お天気がいいから、きれいになった動物園に行きたい」と主張しましたが、そんなに欲張るのは無理と説得して、新年にオープンしたロームシアター京都のカフェレストラン「京都モダンテラス」へ。

2.11ほうじ茶アフォガート

ほうじ茶アフォガートで一服。 店内は天井が高くて、ゆったりとしたレトロモダンでおしゃれ空間でした。 雰囲気も居心地もよかった…けれど、サービスが?? スタッフは結構おおぜいいてウロウロしているのに、空いているテーブルがたくさんあるのに、なぜかずーーっと待たされて、なかなか席に案内されませんでした。 15分くらい待ったかも。 私たちの前後に来た人たちも、お年寄りでも赤ちゃん連れでも、みんな入口で無意味にいやほど待たされていて、それをみているだけでイライラ。 こんなことでイライラするなんて、バセドウ治ってないのか?(汗) スタッフは愛想悪くはないんだけど、客を待たせていることに切迫感がない様子。 店のシステムの問題なのか? 雰囲気がいいだけに、とても残念でした。 すいていそうな平日に行くか、しばらくしてスタッフが人のさばき方に慣れてから行った方がいいかもしれません。

■いつも拍手をありがとうございます!
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気分転換にちょうどいい 「琳派のやきもの 乾山」展@細見美術館

京都国立博物館での琳派展の感想を書かないままですが、今週は母と一緒に細見美術館の「琳派のやきもの 乾山」展をみてきました。 やきものといったら、なんていったって濱田庄司と乾山が私にとってのベスト!なので、もうずいぶんたくさん乾山の作品はみてきたのだけれど見過ごせません。

11.13乾山展パンフレット

国立博物館での展覧会の直後なので、本当にこぢんまりした展覧会という印象です。 乾山はとても華やかな色絵や自由な造形が強く心に残っているのですが、今回の展覧会は書画のようなやきものがクローズアップされていて、四角い器に水墨画のような絵が描かれたものが多く出ていました(第2室)。 あとは第3室は抹茶茶碗がほとんどで、全体にかなり渋めのものが中心。 料理が映えそうな百合花の形の向付、ちっちゃい急須のようで愛らしい汁次(そばつゆを入れるものらしい)がステキでした。 そして、細長い長方形に青と錆朱?で抽象的にゆらゆらと描いただけのお皿があまりにもモダンで、さすが乾山やるなーとニマニマしてしまいました。

入場料がこの点数で1100円というのはちょっと高いなあ、というのが実感です。 ただ気分転換にぶらっとみにいくのには、あまり疲れすぎもせずちょうどいいくらい。 87歳の母にはちょうどよかったようです。 母も国立博物館の琳派展に行きたそうでしたが、あまりにも混んでいて、母のような高齢者にはとても無理。 80歳以上の高齢者とか障がい者向けに、一般とは別に観覧できる日や時間が少しでもあればいいのになと、つくづく思いました。 長蛇の列に並べるほど元気でないと美術鑑賞ができないというのはどうなんでしょう?


11.13柿の実

今年はいろんな実がいっぱいなる年みたいです。 柿の実もたわわで、重そうなほど。 小鳥たちと分け合って、ぼちぼちいただいています。 写真は10月下旬に撮ったもの。 今はもう葉っぱがずいぶん落ちてしまいました。


乾山展をみた翌日は若冲についてのお話を聞いてきました。 こんな風に一生懸命ノートをとりながら話を聞くのは、仕事以外では本当に本当にひさしぶり。 大学時代を思い出しました。 懐かしい。

若冲の作風が、長崎にいた中国人絵師・沈南蘋(しん なんびん)の影響を強く受けていることはだいたい知っていたので、「へえ~なるほど」と思うことは少なかったけれど、おもしろかったです。 江戸中期の日本人の感覚がどんなものを好んだのか、ということが少しわかって収穫でした。 例えば、若冲が鶏の絵をたくさん描いているのは、当時の京都では鶏がブーム(江戸で朝顔がブームだったように)だったかららしいです。

と、最近はすっかり美術づいています。 本もぼちぼちは読んでいるんだけれど、なかなか感想が…。

Category: 展覧会

若冲&風神雷神 一日たっぷり美術鑑賞

前売り券を買っていた「琳派」展@京都国立博物館。 混雑状況をチェックすると、240分とか120分とか、わけのわからないような待ち時間が並んでいて呆然。 いったいいつ行ったらいいのかさっぱり見当がつかない。 とにかく朝一番が最も混んでいるようなので、午後ゆっくりめに行くことに。 それなら、午前中に若冲の天井画初公開の(そして今回が最後かもしれない)信行寺の特別公開も行こうと、美術鑑賞友だちMさんと11時に現地待ち合わせ。

信行寺の門前はすでに行列ができていて、さらにバス2台分の団体さんが割りこみ、「1時間待ち」とのこと。 結局40分くらい並んで本堂内に入れましたが、おおぜいの人がぎっしり詰まった状態で、かなり限られた時間。 薄暗くて退色が進んでいて、天井は高いし、あまりはっきりみえませんでした。 一応、好奇心は満足させられたけど。 167枚の円形の板にさまざまな花が描かれた「花卉図」、完成時は華やかだったのだろうな。 80歳を過ぎて167枚の違った絵を描いた(あるいは下絵を描いて工房に描かせたにしても)エネルギーはすごい。

岡崎でお昼をゆっくり食べてから、国立博物館に14時30分ごろ到着。 門前には「70分待ち」の表示。 まだ、ましな方。 行列に並んで待つこと40、50分で展示会場に入れました。 もっともっと待たされることも覚悟していたので、思っていたよりは早く入れたように感じました。 会場内が混雑していてなかなか前に進まず、気づけば17時30分。 最後にポストカードを買うのにも行列…本当に今日はお昼ご飯以外ずーっと立ちっぱなし。 足が棒。


11.03琳派展2

外はもう真っ暗。 閉場間際までいたことになります。 疲れたけれど、琳派展はものすごく満足感ありました! 待つ甲斐はあります。 事前に混雑状況をチェックして、空いていそうな時間帯を狙っていきましょう。 展覧会で印象に残ったことについてはまた後日に。

■いろいろな記事に拍手をありがとうございます。

■名なしさん、お返事遅くなってすみません。 狸谷山の石段登りしたり、足が棒になるまで美術三昧で過ごしたり、まだ副作用でヨレヨレだった一年前のことが嘘のように元気になりました。 いつもご心配いただいてありがとうございます。

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土台があってこそ 「マグリット」展@京都市美術館

今日も、家にいるのがもったいないようなお天気。 刺繍も楽しいけど、外へでて少しでも歩こうと、お昼を食べてからふらっと京都市美術館で開催中の「マグリット」展に行ってきました。

9.15マグリット展

同じく京都市美術館でやっているルーブル美術館展は入場制限がかかっていて、びっくりするほどの長蛇の列! マグリット展は問題なし。

マグリット展は小学生のときに母に連れらていった記憶があります。 モネとかマネとかセザンヌとかマリーローランサンとかゴーギャンとか…印象派が好きだった私にとって、初めてみたシュールレアリズムは衝撃的でした。 写実的じゃないステキな絵があるということを初めて知りました。 それ以来、あまりマグリットの絵をみていなかったので、今回はぜひと思って。 しかし、1600円って高い!

9.15マグリット展ハガキ

思っていたより展示作品が少ない? 1時間ほどでスルッとみてしまえました。 1600円だから、もう少しいっぱいみたかったな。 ずっと昔にみて強烈に印象に残っていた作品がなかったのが残念でした。 マグリットの絵はダリっぽい不条理から、パリに行って急に洗練された感じ。 戦時中、ベルギーがナチスドイツに占領されていた頃に描かれた”ルノワールの時代”というのは初めて知りました。 戦争中の絵は内面の葛藤がはっきりでています。

今回の展覧会で一番気に入ったのは、左の絵ハガキの「光の帝国Ⅱ」。 夜の街頭に昼の青空。 パンフレットに載っていた「ピレネーの城」と、手前の「人間の条件」もよかったな。 卵をみて鳥の絵を描いている「透視」や、古びた石に「anno××」と刻まれていて一番上に3万年代のが載っている「微笑」など、思わず絵の前でプッと吹きだしそうになったものもありましたよ。 でも、誰も笑ってないな。 ショップではあれこれ気になったけど、ポストカードだけで我慢我慢。 ノート欲しかった!

マグリットは絵画でありながらデザインぽくて、それで鑑賞していても疲れないのかも。 絵の基礎がしっかりしているから、トリッキーな画題でも絵画としてすばらしいんだなあと改めて思いました。 パクリで大騒ぎになったどこかのデザイナーとは大違い。 あの人は絵が描けない人だったんだろうな。 パクらなかったにしても、どれもこれも似たものがあるっていうことはオリジナリティの追求がまったくないということ。 デザイナーじゃなくて商売人だっただけ、たぶん。 真ん中に真っ黒の柱があって、日本人の柔らかな感じがまったくないあのデザインが嫌いだったから、やり直しになってホッとしました。 …て、マグリットと関係ないけど!

9.15ブレーツェル

ずっと前から気になっていたドイツパンの店に寄って、ブレーツェルとアップルジュース(ドイツのアップルジュースじゃなくてガッカリ)で一服。 ひとりでしばらくボーッ。 ああ、こういう時間が今の私には一番必要なんだなあ。


9.15鶏ささみ煮込み

家に帰って晩ご飯つくり。 今晩のおかずは鶏のささみのパプリカ煮込み+押し麦、カボチャのオリーブオイルソテー、、舞茸の赤ワイン炒め、ニンジンのサラダ。 色が全部赤っぽくなっちゃった。 お腹いっぱい。 押し麦がまだあるから、何か違う使い方を考えよう。

ヒマにあかせて、そんなこんなの一日でした。 ときどきは一人でもカフェに行こう。


■いつも拍手をありがとうございます。
Category: 展覧会

東寺春期特別公開

東寺の春期特別公開の招待券をいただいて、25日(月)の会期終了間際に行ってきました。 わが家から東寺までは、市内といえどもバスを乗り継いで1時間半近く…ちょっとした遠足気分。

宝物館の「東寺名宝展」は曼荼羅図が中心。 国宝の曼荼羅図も1点公開されていました。 平安時代(それも9世紀後半)に描かれたものが、意外にもかなり色鮮やか。 でも正直にいうと、密教美術、特に曼荼羅図ってどこをどう鑑賞したらいいのかよくわかりません。

5.23東寺金堂

曼荼羅図は頭の中が「?」だったのですが、ひさびさにみた講堂と金堂の仏像はやはり圧巻です。 講堂内は国宝だらけ。 ぎっしり並んだ仏像群で立体曼荼羅を表現しているらしい。 東寺は仏像の大きさ・すばらしさ、そして伽藍の大きさが京都のスケールを越えていますね。 奈良っぽい雄大さがあって、のびのびしています。 仏さまの前、壁沿いにベンチ風の腰掛けがあったので、自分の背後から射しこむ薄明かりに照らされた大きな仏さまをしばらく仰ぎみていました。

5.23東寺五重塔

五重塔の初層内部の拝観は初めて。 壁や天井も一面に彩色されていて、仏像と彩色画で埋め尽くされた狭い空間が濃密な密教世界を感じさせました。 難解な曼荼羅図より、こちらの方が私にはインパクトあり。 興味深かったです。

5.23東寺小子房

あとは勅使の来訪時にのみ使われる小子房という建物が今回のみ特別公開。 堂本印象の襖絵で飾られた5室を見学しました。 堂本印象だから抽象画っぽいのかと思ったら、きわめて普通の日本画という感じ。 好き嫌いは別にして、やはり墨絵よりも極彩色の山水図の方が堂本印象らしい個性と迫力がありました。

5.23お菓子

気がついたら東寺に入ってから2時間以上立ちっぱなし。 疲れたので、境内の茶店で一服。 上品な生菓子でホッ。 東寺は広々しているから、観光客でびっしりという窮屈さがなくてのんびりできます。 地元の有名寺院ってほとんど行かないから、東寺の春の夜桜といい、珍しい体験ができてよかった。 Fさん、ありがとう!


温泉旅行の画像も近いうちにアップします。 お天気がよくて最高でした。
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