日々の食を大切にする心 平松洋子「忙しい日でも、おなかは空く。」

タイトルと装丁にひかれて即買いした平松洋子の文庫本「忙しい日でも、おなかは空く。」。 食のエッセイにはあまり心ひかれないのですが、これはとても楽しかった!



ややこしく手をかけるのではなく、ほんのひと手間かけることで食材の味をグッとひきたてる食べ方や、意外な組み合わせの妙、食器のしゃれた使い方など、ちょっとしたヒントが散りばめられたエッセイ集です。 雑穀米のおにぎり、豆腐のオリーブオイルがけ、レモンを料理やご飯にキュッと一絞り、スパイスを効かせたドライフルーツ漬け(自家製ラムレーズンは常備しているけど)…う~ん、やってみたい!

日常の料理、そして料理に向かう心をほんの少しリフレッシュしてくれます。 グルメ本のような美味についての異様な執着にはちょっとついていけないんですが、この本のように「ふだんの食」を大事にする(でも、むずかしいことをするのではない)スタンスにはとても共感できました。 押しつけがましさも一切なし。 忙しくて料理したくないようなとき、あるいは料理がマンネリでやる気がでないとき、読み手にそっと寄り添ってくれる本です。 読了後はひとり暮らしをしている姪にあげようかと思って買ったのですが、やっぱりこれは手元に置いておきたい。

4.2庭梅

今夜はちょっと肌寒いので石狩鍋。 冷蔵庫の中の食材で簡単に作れるし。 野菜はお出汁で煮て、ジャガイモだけは電子レンジでチンして後から塩鮭とともに加え、山吹味噌と吟醸酒粕を溶き入れて完成。 適当に作ったけど、味のバランスがよくて美味しくできました。 料理が美味しくできると、それだけでなんとなくニコニコ上機嫌。 子どもの頃は粕汁も石狩鍋も嫌いだったのに、いまは大好き。 味覚って変わるんですねえ。

食べること生きること 山本ふみこ「わたしの献立帖」

ネットでうろうろしていてみかけた「ワタシの献立帖」が気になって図書館で予約。 体調不良のときにちょうどいい、気楽に読めて温かな本でした。

1.12わたしの献立帖

著者の山本ふみこさんという人をぜんぜん知りませんでしたが、編集を経て主婦・子育てをしながらエッセイを書いているんだそうです。 前半は毎日の朝・昼・晩ご飯を記録した1ヶ月間の献立日記で、毎日のメニューと食にまつわる小さな身辺雑記、献立日記に出てきた家庭料理の簡単なレシピ。 後半は、食べ物をテーマにした掌編が掲載されています。 自分で毎日ご飯を作っていて、ふと「よその家っていったい何を食べてるんだろう?」と知りたくなることがあるので、とても興味深く読みました。

ごく普通の家庭で食べている、気どりのない食事内容をただ列記してある部分がおもしろかったです。 フレンチやイタリアン風のしゃれた料理はほとんどなくて、伝統的な日本の家庭料理が並んでいます。 肉の影は薄くて(笑)、野菜はわが家よりもたっぷり食べてるかも。 旬のものや人からもらった思いがけない食材を「どうやったらおいしく食べられるか」と考えることは、心に余裕があるときは結構楽しいこと(時間に追われて献立が思いつかないとイーッとなりそうだけど)。 やたらに面倒なことをするわけじゃなく、でも昆布や削り節で出汁をとる山本さん。 きちんとしすぎていると嘘くさくて「こんなの日常的にできるわけないだろ!」とかえって嫌な気分になったりするものですけど、山本家の献立をみていると「ちゃんとしたご飯」ってこういう食事なんだろうなと思えました。 家族とのご飯のエピソードがほんわりと気持ちのいい文章で書かれていて、食事を作ることは家族の体を作ることなんだというメッセージが押しつけがましさゼロで素直に届きました。

1.14エプロン

そうそう、山本さんも書いてられましたが、早めに晩ご飯の献立を考えておくのって、夕方に急いでご飯を作らなくてはいけないときに気持ちの余裕ができるものですね。 主婦並みに食事を作っている近頃、朝に冷蔵庫の中を眺めて「今日はこれを作ろう」と心づもりしておくようになりました。 仕事で時間的にせっぱ詰まってくると(家族で食べるご飯はだいたい決まった時間にできあがっていないといけないし、それでよけいに焦って)アタマ真っ白、なんの献立も考えつかなくなるんですよね、不思議なことに。 朝のうちはどんなに忙しい日でもまだ気持ちがゆったりしているから、その間にメインディッシュだけ考えておくのって家事が拷問にならないためのコツかも。

写真は先日、母の買い物につきあったときに買ってもらったエプロン。 いま使っているのは10年近く前にオーストラリア土産に自分で買ったカンガルー柄の緑色。 新しくて色がまったく違うのを身につけたら、ご飯作りが楽しくなりそうでウレシイ。