ひとめぼれ! 絵本「しんとしずかな、ほん」

本屋さんで何気なく目にした絵本「しんとしずかな、ほん」。 迷うことしばし、買わないとずっと後悔しそうな気がして、野草図鑑とともに衝動買いしてしまいました。 寝る前にボーッと眺めて楽しめそうな2冊。 買ってよかった。

5.21しずかなほん

表紙の色合いがグレートーンで、ちょっとみるとどんよりしているような印象。 ところが、眺めているとだんだん味がでてくる感じ。 単純で、でも真をついている言葉と、じっくり眺めると子どもの頃を思い出してクスッとしたり心がシンとしたりする絵。 文章と絵が互いに補い合っていて、そのバランスが絶妙で、とても好き。

中がどんな感じか、チラッとだけ。

5.21しずかなほん2

家中で一番に起きた人の「しん」から始まって(表現は実物で確認してくださいね)。 体操してるうさぎの姿にキュン。

5.21しずかなほん3

ジェットコースターのてっぺんの静けさとか。 とにかく、かわいい。

確か、静けさを「しーん」と表現するのは日本独特なんですよね。 欧米人は「無音状態なのに『しーん』と表現するのはおかしい」という感覚だとか。 それならば、この本の原題は何だったのかと気になって確認すると…「THE QUIET BOOK」。 やっぱり。 直訳の「しずかな本」ではおもしろくない。 さすが江國香織の翻訳。 こんな短い言葉の積み重ねの中にも、詩的な言葉のセンスが光っています。


しんとしずかな、ほんしんとしずかな、ほん
(2011/01)
デボラ アンダーウッド

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こんなかわいい絵本が枕元にあったら、不眠症と激しい耳鳴りも少しは癒されそう。

■いつも拍手をありがとうございます。

日本美術の根底にあるものは 神原正明「快読・日本の美術」

図書館で美術関連の棚を眺めていてみつけた本です。 先日、長谷川等伯展を眺めながら、等伯と琳派のどちらが時代的に先だったのかわからなくなって、そういえば日本の美術史を通しで知らないことに気づきました。 Mさん、嘘を言いました、ごめんなさい。 琳派は江戸時代になってからです(恥)。

4.27快読日本の美術

何気なく借りた本でしたが、とてもおもしろく読めました。 堅苦しい専門書ぽい語り口ではなく、とても平明に書かれていて、門外漢でも楽しく読める良書です。 日本の美術史を縄文土器からバブル期の東京までザッと俯瞰することができます。 教科書のようにただ事実(作品や画家名)を羅列することなく、どちらかといえば美術の潮流、日本人の美意識の変遷をたどれる内容。 「美意識のルーツを探る」という副題の通り、日本人特有の美意識はどこから生まれたのかということを改めて考えさせられました。

室町時代の水墨画や枯山水は20世紀の現代美術に限りなく近い抽象性によっていたとか、彫刻が鎌倉時代以降に発展しなかったわけとか、日本の美意識の根底には「いまこのときがすべて」といった感覚があるとか、目から鱗が落ちて視界が非常にクリアになった感じです。 いままで美術史におもしろみを感じたことはなかったのですが、これを読んだら、学生時代に美術史を学んでもよかったんじゃないかとちょっと後悔したくらい。 歴史が好きで、美術が好きだったのに、2つのものを合わせた美術史には目が向かなかった…。 この本はすごくおもしろかったので購入したいリストに追加しました。 カラーなしで2500円は超金欠の財布には痛いんですが、手元に置いておきたいなあ。

4.27稚児百合

日本の美意識というと、特に京都では「わびさび」に集約されているという印象がワタシの中ではいままで強かったんです。 でも、若冲とか永楽とか等伯(の水墨画以外)とか浮世絵とか、みればみるほど「わびさび」なんて影も形もない。 とてもエネルギッシュで鮮やかで。 千利休がはじめた「わびさび」なんて、日本の美の一部に過ぎないんじゃないか…そんな疑問を近頃ずっともやもやと胸に抱いていました。 この本を読んだら、そのもやもやがすっきりしました! 千利休がやった茶の湯は芸術でいうところのパフォーマンスなんですよね。 美のプロデューサーであってクリエイターじゃないところ、朝鮮半島の焼物に目を向けたところ、柳宗悦にも通じるところがあるなあ。 というより、柳宗悦が利休を意識していたってことか。


今年の春は雨が多いですねえ。 「映画でもみるか」と重い腰をあげる気になっているのに、強い雨に降りこめられて行けないうちに打ち切り続出。 なんかちっともみたい映画みてないなあ。 明日こそは「アイガー北壁」をみにいこう。

今年の春は大きな鯛や新鮮な筍といった嬉しい頂き物が続々。 ひまなのでのんびりと手をかけて、鯛ご飯や筍ご飯をル・クルーゼのお鍋でせっせと炊いてます。 おいしすぎてついつい食べ過ぎ。 歳とった両親も上機嫌でパクパク食べてくれます。

■いろいろな記事に拍手をありがとうございます。 いつのまにかブログ開設から丸5年を迎えていました。 3日坊主のワタシが、いつものぞきにきてくださる皆さまに励まされて5年続きました。 本当にありがとうございます!

実用品だった浮世絵 辻惟雄(監修)「すぐわかる楽しい江戸の浮世絵」

図書館の美術の棚をボーッと眺めていてみつけた本です。 薄い本でマンガの挿絵もあったりして、一見すると「子ども向き?」と思えるのですが、これがなかなかおもしろい本でした。 浮世絵そのものに興味がある人、そして江戸時代の庶民生活に興味がある人には特におすすめ!

4.2江戸の浮世絵

江戸の人たちが浮世絵どのようにみていたのか、浮世絵はどういう用途や目的で刷られていたのかをわかりやすく楽しく解説した本です。 役者絵=アイドルのブロマイド、美人画=ファッションリーダー、血みどろ絵=ホラー、風景画=妄想をかきたてる海外旅番組、吉原遊楽図=(吉原の花魁との)デート図解マニュアル、歌舞伎上演告知のポスター、暦、宣伝効果を狙ったものなど、現代の日常生活に引き寄せての使い方紹介がギッシリ。 図像がたっぷりで、1枚ずつがすみずみまでみどころ満載なので、意外に読み応えもありました。 これから浮世絵をみるときは、描写法や江戸の風俗だけでなくて、隅っこの方までじっくり眺めたくなります。

驚いたのは遠近法をとりいれた浮世絵も作られていたということ。 けっして遠近法を知らなかったわけじゃないんだと目からウロコ。 歌川豊春作で、イタリアの版画から写したベネチアと思われる風景画なんていうのも江戸時代にあったなんて!

あと、おもしろかったのが喜多川歌麿の「教訓 親の目鑑(めがね)」シリーズの「俗にいうぐうたら兵衛」。 美人画なんだけど、寝起きで頭ボサボサ、ボーッとした顔の娘が歯磨きセットを手にうがいをしているところなんです。 ちゃんと親が育てないと、こんな風にボケーッとした主体性も個性もない子になってしまいますよという戒めらしいです。 こういうのって知らずにみたら、単に「寝起きの女の人」としか思わない。 解説があって初めておもしろみがわかる絵です。

4.3春蘭

この本を読んでいると、(ワタシだけかもしれないけど)江戸時代の気分がいっぱいになってきます。 ヘアスタイルを変えられる着せ替え人形などを切り抜くおもちゃ絵や、箱のリメイクなどに使う貼箱絵なんて、現代人でも欲しい。 お菓子を入れる紙袋に広重の風景画が刷られていたら、即ジャケ買いだわ。 もしもワタシが江戸時代に生きていたとしたら、やっぱり「紙もの」に弱そう…かんざしを買うのは我慢しても、ついつい浮世絵を買っちゃう色気のない町娘だろうな…なんて想像するのも楽しい。 ミーハー視線に徹したような本だけれど、ページをめくっているうちに歌麿や国芳など画家それぞれの作風の違いも飲みこめて、浮世絵に対する興味が増しました。

土曜日はお昼頃からようやく晴れて、ひさびさに庭掃除と草ひきに没頭。 3時間あまり庭に座りこんでいたら、ぐったり疲れてしまいました。 草ひきの姿勢って腰や膝に悪いんですよね。 ときどき風に乗って春蘭のなんとも心地いい甘い香りが漂ってきて、天然のアロマテラピー。 疲れを癒してくれました。

これぞ天衣無縫! 濱田庄司「無尽蔵」

ずいぶん長い時間をかけて少しずつ少しずつ読んでいた陶芸家・濱田庄司の随筆集「無尽蔵」。 読み終わってから感想を書くのもなぜだか延ばし延ばしになっていました。 文庫本というのに1400円というすばらしいお値段にもかかわらず(作品の写真などはほとんどなしなのに!)、展覧会友だちが買った本をありがたくお借りしました。

3.29無尽蔵

陶芸家・濱田庄司は漠然と「民藝の人」と知っているだけでした(人間国宝第一号だったことも最近まで知らず)。 ここ数年ほどで民藝運動の展覧会が増えて、いろいろな人の作品を眺める機会ができて、濱田庄司のすごさに開眼。 知れば知るほど夢中! 斬新で大胆な作風にほれぼれ。 民藝の人たちの集合写真でも、いつもニコニコと機嫌よく仲間と一緒に写っていて、人柄のよさが伝わってきます。 この本を読んだら、濱田庄司のものの考え方、真摯な創作への姿勢、おおらかで明るい性格、バーナード・リーチや河井寛次郎との深い友情がよくわかりました。 素直で素朴、そしてあふれるほどの才能に恵まれた人は、なんと真っ当で温かなまなざしで人を、そしてものをを見ていたのでしょう。 ますますショージが好きになりました。 評論家や世間の言説に左右されず、自分の審美眼を信じて美術品を鑑賞するだけでも立派な創作活動だという言葉に励まされる思いがしました。

ただ、とても素直で飾らない人なので、文章もその人柄通り。 思想はすばらしいのですが、文学的表現に優れているわけではありません。 いろんなところに掲載された文章を寄せ集めているため、内容が重複するところも多々あります。 濱田庄司の人となりに強い興味がない人にはおすすめしません。 ショージの陶芸が大好き!という人は一読の価値ありです。

3.29謎の水仙

水仙って球根で増えるものと思っていたのに、この八重の水仙は庭の片隅に祖母の代(少なくとも50年近く前)から生えていたのですが、今年初めてずいぶん離れたところに勝手に生えてきました。 水仙が種で増えることってあるのかしら?? そして、この水仙、めったに咲かないんですよ。 たいていつぼみのまま枯れてしまいます。 今年はちょっとだけ開いたけど、この状態で止まったまま。 咲ききれるか気がかりです。

今日は午後遅めには吹雪!? 一瞬、うっすらと庭が白くなりました。 もうすぐ4月だっていうのに…京都市内で雪! 信じられません。 異常気象で、近所の桜は咲くようで咲かないような停滞状態です。

若冲をもっと知りたい人に 狩野博幸「異能の画家 伊藤若冲」

風邪引きで寝こんでいた日、布団の中で狩野博幸「異能の画家 伊藤若冲」とMIHO MUSEUMの分厚い図録を眺めて過ごしました。 前も寝こんだときに若冲の図録を眺めていたような気がする…心を静める絵でもないのに。 精密に描かれた絵も一筆でサッと描いたような水墨画も、何度眺めてもなにかしら新たなものをみつける、見飽きるということがないのが若冲の魅力なのかもしれませんね。

3.16異能の画家

この本は新潮社の「とんぼの本」シリーズのもの。 それだけに掲載されている図は小さいながらも、きちんとみどころを押さえてアップにしたりひいたりしてあるし、文章が非常に読みやすくて、かつ読み応えがあって満足感いっぱいの1冊です。 これまで何冊か若冲についての本を読んできたからなのかもしれませんが、平易に興味深く書かれた内容がほかの本よりも「なるほど」とストンと心で(頭じゃなくて)納得できたように感じました。 図書館で借りたのですが、手元に置いておきたいので購入予定。

一番心に残っているのは、若冲の絵は「旦那芸」だったという著者の指摘。 色鮮やかな色彩は高価な絵の具や特注の画絹などを思うままに使って描かれているからだと。 「コスト割れ」なんてことが念頭にない旦那だから描けた絵。 そう思ってみると、なるほど! 材料も手間も惜しまなかったからこそ描けた絵だったんですね、きっと。
 

3.16サンシュウユ

わが家の庭に春を告げるサンシュウユの花を写しながら、若冲の目ってマクロレンズ並みだなと思いました。 それにしても、今年は本当になにもかも全部がいっせいに咲いて、ちょっとヘンです。

■いろいろな記事にたくさん拍手をありがとうございます! お返事は後ほど。

カラーたっぷり充実の入門書 佐藤康宏「もっと知りたい伊藤若冲」

まぶたの腫れがまだひかず、母からは「そんなに根を詰めてステッチするから」と刺繍禁止令が出てしまいました。 こぎん刺しが禁止され、目がうっとうしいから読書も集中できないし、なんだか手持ちぶさた。 目を使わずに楽しむのってむずかしいですね。 画集ならぼんやり眺めて楽しめそうということで、昨秋ミホ・ミュージアムで開かれた若冲展の分厚い図録と、図書館で借りてきた佐藤康宏「もっと知りたい伊藤若冲」をパラパラ。

1.13もっと知りたい伊藤若冲

「もっと知りたい伊藤若冲」は75ページほどの薄い本ですが、オールカラーで見応えがありました。 若冲の人生に沿って時系列的に絵を紹介・解説する構成が、「若冲ってどんな人生を送ったんだろう?」と興味があったワタシにはちょうどぴったり。 掲載されているのはみたことがある作品がほとんどでしたが、隅から隅まで興味深くじっくり眺め、じっくり読みました。 入門書なので深くつっこんだ内容ではありませんが、作風の変遷を俯瞰して眺めることで、若冲という画家の全体像を把握できる良書です。 ふりがながたくさんついているのも素人にとっては親切(日本画の技法や絵画名はむずかしいですから)。 買おうかなあ…と、ただいま悩み中。

若冲が大好き!というわけではないんですが、若冲の絵には眺め始めると目をそらすことができない力を感じます(もともとは福田平八郎のようなおっとりとした日本画が好き)。 以前は「鶏の絵がスゴイ人」としか認識していなかったけれど、「動植綵絵」をみて衝撃を受けてから、ワタシにとって特別な画家になりました。 「動植綵絵」とは趣がまったく異なる版画がまたステキで(特に黒地に鳥を描いた連作)、ポストカードでもいいから欲しいと思っているのに、なかなか出会えないのが残念です。

この本で「動植綵絵」の細部図像のひときわどぎつい赤の色を目にして、幕末の高知の絵師「絵金」を思い出しました。 先日、NHK教育で「絵金」の放送をやっていて、そのおどろおどろしい絵をひさしぶりでみたからかな。 あの人の赤もすごいのですよ。 絵の題材が凄惨すぎて(赤は血しぶきの色)、怨念が籠もったような描写はけっして好きにはなれませんが。 仕事で絵金のことを少しだけ調べた10年前と、いまも絵金についてわかっていることはあまり変わっていないようで、最後まで放送をみて少し肩すかし。 でも、こういうどぎつい色遣いは現代の感覚に呼応するところがあるのでしょう。


1.13夕空

日本中が強烈な寒波に覆われた13日。 鹿児島でもあんなに雪が積もったのに、このあたりはただただ底冷え。 冷蔵庫の中みたいに寒くて、体調もよくないし、家で一日うだうだ。

装飾品が伝える東西交流 鶴岡真弓「阿修羅のジュエリー」

新聞の書評欄に(たしか)金原瑞人さんが「大人も興味深く読める本」と紹介していたのが気になって、図書館で予約。 やっと手元にきたんだけれど、いまの気分にあまりぴったりこなくて、子ども向け(中学生以上のすべての人向けという編集方針らしい)というのに、読むのに手こずりました。

7.24阿修羅のジュエリー

東京の展覧会で大人気だった阿修羅像を、表情やポーズではなく、装飾品や布の文様といった別の角度からアプローチしてみると、アジアとヨーロッパをつなぐ文明の道がみえてくる…という内容です。 インドのヒンズー教の神を仏教にとりこんだ阿修羅なんですが、装飾品にはペルシアのゾロアスター教の影響がみられるというあたりはなるほどとは思いましたが、目からウロコ!というほどではなかったです。 手工芸品が好きなワタシは仏像でも西洋の肖像画でも、布の文様や装飾品をジーッと見る方なので、著者の視点に新鮮味を感じなかったのかもしれません。 かえって後半の阿修羅とは直接関係ないところ、たとえばルネサンスの肖像画のオリエンタルな装束とか、ギュスターヴ・モローのサロメを描いた作品については興味深く読めました。

ポップな表紙同様、中身も若い子を意識してのポップな文体+すべての漢字にルビ。 これが、ものすごく読みにくかった。 内容はおもしろい気がするんだけど、妙にハイテンションでくどい文章で読むことに集中できず。 気に入った表現なのか、まったく同じ言い回しを短い章の中で何度も何度も繰り返すのはちょっと…。 特に「きらきらしい」という言葉に、すごく違和感がありました。 きらきらしいって、普通に使われているのを一度も見聞きしたことがないんですが、ワタシの経験が偏っているのでしょうか?? 普通の大人向けの本なら、もう少し楽しめたかな。

7.24サフランモドキ

本筋とはまったく関係がないんですが、この本ですごく気になったのが、ルネサンスの画家カルロ・クリヴェッリ(この人はぜんぜん知らなかった)の絵。 「聖母子」に描かれた陰険な目つきの母子(こんな嫌な目つきの幼子イエス、初めてみた!)、何かを企んでいるかのような「マグダラのマリア」の横目。 宗教画なのに、こんなの眺めてもぜんぜん心が平安にならないよ! いったいどんな意図が隠されているのか、「怖い絵」の中野京子さんに解説して欲しいものだ。


庭はすっかり蚊の巣窟&雑草の塊と化してしまい、ゆっくり落ち着いて写真を撮る気になれません。 あんまりよくみていないうちに、関係ない花の鉢植えで勝手にサフランモドキが咲いていました。 花が少ない夏にぱちっと明るい色の花を咲かせるのに、モドキだなんて名前つけられて気の毒な植物です。

気楽に読める美術案内 中野京子「怖い絵2」

中野京子「怖い絵」がおもしろかったので、引き続き「怖い絵2」を図書館で予約。 人気の本のようで、しばらく待たされた末にようやく手元へ。 すでに読み終えていたのですが、誕生日の日記に、この冷たい目をしたおじさんの表紙を貼るのはどうも気が進まず、そのまま放置してしまいました。

7.6怖い絵2

「怖い絵」と同様、安定感のある楽しい美術案内でした。 「ほほ~」などとうなずきつつ、疲れていてもすらすらと読める気楽な本です。 ただ、1巻目のように、「うわぁ、こんな風に切り口で書くと違った風に鑑賞できるんだなあ」という新鮮な驚きはなかったです。 「怖い」という感じさせるポイントが減少しているような…。 それは、読者であるワタシが慣れてしまったからなのか、著者が1冊目に一番自分の強く感じていることをすべて吐きだしてしまっていたせいなのか? 柳の下にドジョウが2匹…まではいいですけど、でも次はまるで違った「アッ!」と驚くような斬新な切り口で美術鑑賞するポイントを解説してほしいです。 この人の語り口は好きなので、また別の本が出たら読んでみたいと思っています。

7.6ニイニイゼミ

今年はじめてニイニイゼミの抜け殻をみつけました。 小さなアジサイの株に2匹。 1匹は普通に泥まみれで白っぽかったのに、写真の抜け殻は泥がほとんどついていません。 ニイニイゼミにしては珍しいんじゃないでしょうか。 母が朝みつけて「1匹がまだ脱皮できていない」と心配していましたが、仕事を終えた午後に庭に出てみると、ちゃんと脱皮できていました。 よかった。 ニイニイゼミは昔より数が減ったから、小さな抜け殻をみつけるだけでなんとなくウレシイです。

仕事は週末にヒイヒイ言いながら、ひとつクリア。 それにしても、締切日の朝になってから「この言葉も太文字でどこかに入れてください」と気楽にメールしてくださる取材対象者に、ひさびさに脳みそ沸騰。 3時間も好きなようにベラベラしゃべって、そんな話しはまったくしなかったのに、なんなのよ! だいたい太文字指定って何? スポンサーでもないのに、なんであんたがレイアウトまで指図するの?と、デザイナーの分まで怒って、担当者に「そんな言葉、いまさら入れられるわけないでしょッ」という文面をつけて納品。 とかいいつつ、ご希望の言葉を半ばやけくそで本文じゃないところに押しこみましたが。 そんな安っぽい言葉をとってつけたように入れたら、バカみたいに見えるって、本人だけは気づかないんだな。

父の入院が後に控えているので仕事はなるべく早く片付けたくて、嫌なことはすっぱり忘れ、引き続いて、他の仕事のテープ起こし作業を終わらせました。 インタビューは苦手なのに、近頃、気づけばインタビューばかり…。 明日は別の純粋な広告仕事のために大阪へ。 代理店にしては珍しくウマの合う人が担当なのであまりストレスはないんですが、広告の仕事は一般に不必要に締切がキツイのが難点。 でも、こんな不景気な時代に、無愛想なワタシが仕事をいただけるだけありがたいことですね。 感謝の心で、珍しい多忙期をのりきらなくては。

読んで楽しい美術案内 中野京子「怖い絵」

以前ぼんやりみていた「週刊ブックレビュー」での著者インタビューで初めて知ったのですが、中野京子「怖い絵」はこういう美術案内としては異例なほど好調に売れている本なんだそうですね。 著者はドイツ文学と西洋文化史が専門の早稲田大学の講師だとか。 興味をひかれて図書館で借りてみたら、これがホントに楽しい本でした(タイトルには「怖い」とついているけれど)。 美術に興味がある人にはおすすめです!

5.9怖い絵

タイトルに「怖い」とありますが、別に視覚的に怖い絵ばかりではありません。 むしろ一見すると穏やかでやさしい絵にしか見えないけれど、その裏側に絵が描かれた当時の社会的な背景や、画家の人生の断片が隠されていて、それを知っているとまた違った見方もできますよ…と、平易で生き生きとした言葉で解説しています。 かなり個人的で主観的なとらえ方で紹介しているのですが、「これが正解」と押しつけているのではないので違和感はまったくなし。 あまり美術に関心がない人でも楽しく読める語り口で、専門家にありがちな、こむずかしさやうんちくを振り回すようなところがなくて、でもなかなかに知的で、すごくいいさじ加減でした。

この本に出てくる絵がどれも、ふだんワタシがほとんど興味を持たない時代やジャンルのものだったため、よけいに目からウロコでおもしろく読めました。 ルネサンス以降の王様や貴族の肖像画とか、受胎告知や十字架のイエスといった宗教画とか、ギリシア古典に題材をとった絵画とか、ワタシだったら展覧会で目にしても「ふーん」と眺めて終わりとなりそうなものばかりが取りあげられています。

5.9エニシダ 5.9カタバミ

絵画は理屈ではないと思うから、まずは真っ白な気持ちで眺めるのがいいなとは思いますが、ヨーロッパのどこかの美術館でここに出てくる絵が並んでいてもスルーしちゃいそうなので、多少なりとも知っていれば「おお、そうか、この絵だな」と立ち止まって眺めるきっかけになるだろうと思います。 ヨーロッパを旅しているとうんざりするほどみかける受胎告知も、そのシーンが福音書にいかに書かれているかをはっきり知ると、「人類史上もっともすごい不条理に見舞われた瞬間」として眺められて興味深いです。 ティントレットの「受胎告知」をみると、確かに押し寄せてくる天使がいっぱいいすぎて、それも黒々としてゴキブリみたいかも(笑)。 この絵からは「喜び」は伝わってきませんね。 この本は2000円で買ってもよかったな…と思いつつ、「怖い絵2」を予約してしまいました。

庭にはまだ紫の花があるんですが、今日は黄色の花をアップ。 エニシダは写真を撮っていると、甘い蜂蜜のような香りが漂ってきます。 黄色のカタバミがいっせいに咲き始めました。 柔らかな緑の葉っぱがかわいくて草ひきのときにあまり取らなかったら、庭のあちこちにはびこって…花が終わるまでは置いておきましょうか。

歴史的背景をからめた概説 「図説西洋建築史」

ヨーロッパを旅して教会ばっかり眺めると、どんなに美しい建築でもだんだん感覚が麻痺して、最後はどうでもよくなってしまいます(外国人が京都でお寺ばっかり回ると同じことになるでしょうね)。 いつも「建築史を知っていたら、もっとおもしろいんだろうな」と思いはするものの、簡単な流れだけつかもうと概説書を読んでも眠くなるだけ。 古い教会はロマネスクで、高くそびえてステンドグラスがキレイなのがゴシック、調和がとれているのはルネサンス、うねうねゴテゴテしてるのがバロック…という程度になら、すでになんとなく認識しているから、簡単すぎる概説書では物足りない。 でも詳しい概説書となると、建築のテクニックみたいな部分が増えて、素人には興味が湧きません。

2.22西洋建築史

この間、図書館で借りた「図説 西洋建築史」(彰国社)は、そんなワタシにちょうどいい概説書でした。 お勉強としてじっくり、興味がない部分も飛ばさずに通し読みました(メモはとらなかったけど)。 図や写真が全部モノクロで、眺めてワクワクするようなビジュアル系の本ではありませんから、ときどき眠くなりましたが(汗)、でもおもしろかったです。 歴史的な背景と、往時の「時代の気分」を建築スタイルにからめて解説してあって、無味乾燥な概説とは一線を画す内容でした。 ようやく、時代の流れと建築の変遷がぼんやりとながら頭に入りました。 バロックのうねうね曲線に、当時の人たちが感じていた不安(地動説が登場して民衆は信じる基盤を失い、現世さえも幻影のように感じていたらしい)が投影されていたのだと知れば、「ゴテゴテして、いやーね」と感じていた教会も違って見えるかも。 ルネサンスについてもわかっているようで、さっぱりわかっていなかったことを知りました。 イタリアを旅する前に読んでおけば、ずいぶんおもしろかっただろうなあ。

2.22建築の歴史

上の本と一緒に「図説 建築の歴史 西洋・日本・近代」(学芸出版社)も借りました。 こちらは西洋も日本も扱っているため、よりコンパクトに解説してあります。 ざっと流れをつかむにはよさそうです。 建築を勉強している学生さん向きの一般的な概説書といった内容でした。 近代のところをもう少し読みたかったけどタイムオーバー。 時間ができたら、ドイツに限定した建築史の概説書を借りるついでに、もう一度目を通してみたいです。

2.22ロウバイ

フェンス越しに枝を伸ばしている、お隣のロウバイが満開に。 近寄ったら、ほのかに甘い香りが漂っていました。 今日は暖かな日射しいっぱい。 どこかに出かけたかったけど、花粉が飛び始めて頭が重い。 うかうか出歩くと翌日が辛いので断念しました。 とほほ。