江戸時代案内書 杉浦日向子「大江戸観光」

暑くてだらんだらんしている上にオリンピックが始まって、読書もハンドメイドも長期停滞中。 このあたりで、ずしんと読み応えのある長編を読んでみたいのですが、気力が衰え気味のときは勘が鈍っていて「店頭で何げなく手に取った本が大当たり!」なんてことは起こりそうもなくて。 仕方なく軽いエッセイや短編集ばかり読んでいます。

杉浦日向子は初めて読んだ「一日江戸人」がめっぽう面白くて、亡くなられた後に杉浦さんの本に出会ったのがとてもとても残念に思えました。 で、本屋さんで「大江戸観光」という文庫本をみつけて購入。 杉浦さんの本は何冊か読みましたが、う~む、やっぱり最初に読んだ「一日江戸人」が一番好きだなあ。 最初に読んだ本があまりにも好みにぴったり合い過ぎると、そのあとで手に取る同じ著者の本がどれも満足できなくなってしまう…そういう状況になりかかってます。 読む順番が違ったら、この本がもっと楽しめたかも。


8.22大江戸観光

「大江戸観光」は「はとバスに乗ったつもりで、江戸の街をご案内。 江戸の空気を気楽にお楽しみください」というノリで書かれています。 杉浦さんがまだ漫画を描いていた若いころに、いろんな雑誌に掲載された短文を集めたものです。 そのため日本語の表現がまだこなれていなくて、内容の深さに合っていない感じがしました。 全体としても「寄せ集め」という感じは否めません。 一番おもしろかったのは、江戸時代の不良。 服装やまゆ毛の整え方が現代と不思議なほど似た感覚で驚きました。 おもしろすぎて眠れなくなることもないし、かといって退屈でもなく、適度なところで眠くなる…暑くて眠れない夜に読むのにぴったりの本でした。

8.17芙蓉

もう芙蓉が咲き始めました。 毎日こんなに暑いのに、季節はゆっくり移り変わりかけているようです。 そういえば、日が暮れるのがずいぶん早くなりましたよね。

今夜はものすごくひさしぶりに涼しい(といっても室温は27℃)。 月が冴え冴えとしていて、どこかでかすかに秋の虫が鳴いています。 今夜は熟睡できるかな。
Category: 杉浦日向子

のんびりエッセイ 杉浦日向子「隠居の日向ぼっこ」

昨日ブログに書いた佐野洋子が柔らかな内面を守るために、山嵐のようなトゲトゲで武装したエッセイを書くのとは対極にいるのが杉浦日向子さん。 力みのない、のほほんとしたエッセイは技巧を凝らすことなく、書いている人の人柄がそのまま出たような温かさが伝わってきます。 ぬるいお風呂につかっているような心地よさがクセになります。 「一日江戸人」を読んで以来、ワタシの中では「エッセイなら佐野洋子か杉浦日向子」です。 新潮文庫の新刊として並んでいた「隠居の日向ぼっこ」は迷わず購入しました。

この本は、主として江戸時代のモノに焦点を当てたエッセイ集で、杉浦日向子が子どもだった頃の昭和の面影もちらちら出てきます。 それぞれのモノについて1ページ半で書かれていて、とても短いので、移動のときに読もうと思っていたのですが、読み始めたらおもしろくてアッという間に読んでしまいました(もったいない感じがします)。 のんびりとした口調で語られるモノももちろん魅力的なのですが、そのモノが使われていた時代のゆるやかな空気がなんとも気持ちいいのです。 エッセイの中にあった「ちうくらい(中くらい)のほどよいしあわせ」を思ってしみじみしたり、(江戸時代の耳掻き商売のような)「他愛ない身すぎ世すぎが、暮らせるような、おおらかな世紀が到来しますように」という祈りのような言葉にジンとしたり。 1編ごとにイラストが添えられていて(描き下ろしではないけれど)、それも楽しい雰囲気を醸しだしています。 イラストにあった平野屋さんの雀の根付、鳥好きとしてはものすごく欲しい…。

4.10海棠

今朝は暴風雨並みの激しい雨が降って、わが家の山桜は全部散ってしまいました。 雨に濡れた海棠(かいどう)のつぼみ。 雨の中で一瞬、薄日がほんの少しさして、いい色に写りました。

4.10乙女椿

満開の乙女椿もまだ落花していませんでした。

先日お会いした方に「早朝の空気の中でしか生まれない言葉があるし、夜明け前にしか感じられないものがあるから、早起きしなさい」と諭されました。 今日こそ早寝しようと思ったのに、もうこんな時間…早く寝なくちゃ。
Category: 杉浦日向子

夏が過ぎた頃に 「落語百選・夏」「お江戸でござる」

落語はワタシにとって未知の世界。 一緒に仕事をしたことのある人で
非常に落語が好き、というか単なる「好き」を通り越して心酔するというか
陶酔している人が2人もいるんですが、2人とも落語のテープが(古い!)
すり切れるほど何度も何度もきいているようで、その人たちと話をすると
「一度くらいは落語もきいてみるべきかな」と思っていました。 でも、
舞台系の表現にはものすごく疎いもので、落語に接する機会がないまま。
そんなとき、P&M Blogのpiaaさんが書かれたレビューを読んで「落語百選」
を手にとってみる気になりました。

正直にいうと、落語は話芸だから読んでもおもしろさが伝わるとは思えない
と、「落語百選・夏」を読むまでは決めつけていました。 いや~この本は
スゴイですよ。 話し言葉そのままでト書きが一切なしなのに、ちゃんと
落語らしい味わいがあるんですから。 話し言葉をテープ起こししても
ぜんぜん意味が通じない、という経験をいつもしている身からすると、
ひたすら会話だけで、ちゃんと話が通じてしまうこと自体に驚きます。
落語はそういうものなのかもしれないけれど、でも会話だけで読ませるのは
本当にたいへんなこと。 やはり編者の落語に対する深い理解と強い
思い入れがなくてはとうてい書けない本だと思います。 読んでもおもしろい
落語とは驚きでした。

10.12落語百選

piaaさんと同じく、一番心に残ったのは「唐茄子屋」でした。 幽霊や
タヌキが日常に普通に顔を出す、のんびりとした江戸の空気もいい感じだし、
人情に厚いところも世知辛い現代人にはうらやましい限り。 江戸情緒に
浸れる一冊です。 ただ、少し前に読み終えていたとはいえ、夏が終わって
から読み終えたのだけが残念でした。

「落語百選」を買ったとき(=夏)、本屋さんでは「杉浦日向子キャンペーン」
(?)がされていたので、ついでに文庫本「お江戸でござる」も買いました。
NHKのバラエティ番組から杉浦日向子のコメントを活字化した本で、それなりに
江戸時代のうんちく満載で楽しいのですが、やはり杉浦日向子自身が書いた
一日江戸人の方が百倍よかったです。 もし、どちらも未読の方には
「一日江戸人」の方を強くおすすめします。 文章がすばらしいし、内容に
合ったイラストも豊富で、たっぷり楽しめます。 杉浦さんが亡くなられて
ああいう本に今後出会えないのかと思うと、とても残念です。
Category: 杉浦日向子

のほほんとした江戸の空気 杉浦日向子「一日江戸人」

本屋さんの新潮文庫キャンペーンの平台に並んでいて、何気なく買った
杉浦日向子の「一日江戸人」は、ホントにひさびさの「拾いもん」でした。
特に期待していたわけじゃないのに、めっぽう面白かった!

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「お江戸もの」(つまり時代小説)はどうも苦手なので、江戸時代の風俗にも
たいして興味がないワタシ。 それでも読み出したら、「へぇ~、あの頃は
こんな生活だったのか」とすぐに引きこまれてしまいました。 外仕事で
出かけるとき、電車やバスの中でパラパラ読むのにちょうどいい、と思って
買ったのに、読み出したら最後まで一気読みでした。 江戸時代に関する
杉浦日向子の知識が半端じゃないのは知っていましたが、知っていることと
楽しく読めるように文章を書けることはまったく別の次元なので、正直
驚きました。 本人のイラストが豊富で、当時の風俗が理解しやすいのは
もちろんのこと、イラストに添えられた小さなコメントから本文の隅々まで
杉浦日向子の江戸時代への愛情がほとばしり出ていて、それがけっして
おしつけがましくなくて好感が持てました。

江戸人ののんきなその日暮らしを紹介した「生涯アルバイター」や、
美女の定義の変遷「美女列伝」(イラストページはバスの中では開けない…笑)
大奥勤めが町娘にとってはハクを付ける嫁入り道具だったという「ザ・大奥」
冷え切ったまずい食事に甘んじていた将軍さまの悲哀「将軍の一日」
混浴の銭湯も湯気もうもうで怖くなかったという「浮世風呂」などなど
「トリビアの泉」よりもよっぽどヘェ~の連続です。
「江戸見物」なんて、東京を知らないのでそのままのルートを歩いてみたく
なりましたし、「食」に出てくる豆腐や大根の料理は本気で作ってみたく
なりました。 最近の食ブームに対する痛烈なコメントには思わず「そうだ
そうだ!」と膝を打ちたくなったり。
江戸に興味がある人もない人も、一度本屋さんで手にとってみてください。


昨日の仕事はお昼頃までに(珍しく)ササッと終わり、午後は花粉症予防に
耳鼻科へ行ったら「本日は午後休診」。 ひさしぶりだから忘れてました。
出かけたついでに近所の美容院が空いていたので、ひさびさにカット。
かなり短く切ってもらってサッパリしました。 仕事は曖昧なまま進めるのは
やはり効率が悪いので、具体的な指示が出るまでは手をつけず、明日やれば
いいことは明日やろう…という主義になりつつあるワタシ。
そのおかげで髪だけはこざっぱりできました。 ま、いいっか。
Theme: 読書メモ | Genre: 本・雑誌
Category: 杉浦日向子