純文学の香り 堀江敏幸「いつか王子駅で」

本屋さんでみつけた堀江敏幸「いつか王子駅で」。 この人の文章が特に好きってこともないんですが、不必要に美文調じゃなくて味わいのある端正な日本語が発作的に恋しくなって、薄い文庫本だし買ってみました(近ごろは金銭的なことより収納スペースの問題で本をむやみに買えない)。

9.30いつか王子駅で

ごく薄い文庫本ですが、そのわりに時間がかかりました。 ストーリーはほとんどなくて、東京の王子駅近くに暮らす主人公が、下町の風情を残した町を歩き、飲み屋などで町の人とさりげない会話を交わすだけ。 さっと読み流す小説ではなく、一語一句を味わうように読むのに向いた小説です。 会話や古本屋で手に入れた本から心に浮かんだこと、街角の風景など、脈絡のなさそうなことが不思議なほどすらすらと次から次へと素直につながっていき、漂うような主人公の想念と足取りにつきあって、ふらふらとさまよっている感覚に満たされました。 私小説ネタのようでありながら語り口はさらっと乾いていて、純文学的でありながらヘンに小むずかしい感じではなくて。 相変わらず「この小説、大好き」というのではないんだけれど。

10.2ホトトギス濃紫

今日は雨降りの一日。 濃い紫がまじったホトトギスの写真は先日撮ったもの。 ひさしぶりに美容院へ行って、うっとうしく伸びていた髪をカットしたら、雨空でも気分はスッキリ! 髪がさっぱりした直後、うれしいお誘いが。 明日はたっぷり遊ぶぞ!

■Tさん、藤田さんのワンニャン、かわいいでしょ。 今回は苦肉の策でワンニャン写真てんこ盛りだそうですが、動物好きにはたまりませんよね。
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エッセイは著者が好きでないと 堀江敏幸「もののはずみ」

アレクサンドロス大王の小説を読んで、脳内がひさびさにギリシア・モード
になったので、購入したまま数年ほど放置していた歴史関連の本を読み
かけました。 しかし…この翻訳、近年珍しいほどの直訳でイライラ。
書いてあることを理解しようとすると文章を2回ずつ読まなくてはいけないほど。
ワタシの理解力が弱いだけかもしれませんが。 しまいに、ワタシならこの
どうしようもない直訳をどう添削するかな、などと考えることに楽しみを
感じたりしてます。


7.23もののはずみ

まともな日本語が読みたくなって、以前から少しずつ読んでいた堀江敏幸の
単行本「もののはずみ」を手にとりました。 ひきこまれるというほどでは
ないのですが、きちんとした日本語でホッとします。 この本は芥川賞作家で
仏文学者でもある堀江敏幸が主にパリで巡りあった「もの」について語った
エッセイ集で、各エッセイに著者が撮影した「もの」の小さなモノクロ写真が
添えられています。 著者のファンならとても楽しめると思います。
読みながら、思わず何度か「堀江敏幸って男よね?」と確認してしまったほど
最近はやりの「ちょっと古いものをテーマにした雑貨系」に非常に近い感覚
で、そのことに(著者のファンではないワタシは)驚きました。 一番の驚きは
古い家からはがされた陶器のタイルをアンティークショップで買った話で
著者はそういうタイルの裏にフェルトを貼って、マグカップ用コースター
として使うというエピソード。 それって雑貨系あるいは「天然生活」系の
発想では…というか、世の中の一般男性はそういうことするんですか??

体言止めも形容動詞止めもない美しい日本語のエッセイなので、手元に置いて
ときどき自戒の念をこめて読み返してみようかと思います。 ただ、モノに
ついてのエッセイでは、江國香織の「とるにたらないもの」の方が著者独特の
ちょっと普通とは違った視点で語られていて好きです。 エッセイは、やはり
著者への興味があるほどおもしろく読めるものなんですね、きっと。


さてさて、サッカー日本代表監督はオシムさんになりましたね。 日本らしい
スタイルに戻す、と言ってましたね。 それって、ジーコ流指導に対する
言外の批判ではないのかしら? どんな人が代表に選ばれるのかな、楽しみ。
たとえば、中村はオシム好みではない(ワタシの好みでもない)ような気が
するけど、どうかな? 8月初旬の試合では海外組は招集されないから、
どの程度変わるかはハッキリしないけど、オシムさんの今後に期待します。
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