ひさしぶりの恵文社一乗寺店

昨日の午後、夕立で少し気温が下がったようなので、ひさしぶりに恵文社
一乗寺店までお散歩しました。 やっぱり夏にてくてく歩くにはちょっと
遠い距離で、途中で水分補給をしないと気が遠くなりそうになりましたが、
汗をたっぷりかいて気持ちよかったです。 冷房どっぷりの体がリセット
できた気がします。

7.29恵文社

主な目的は、8月7日(月)まで店内のギャラリーでやっている「関美穂子
型染め展
」。 関美穂子さんの作品は蔵書票やマッチ箱などの小さなもの
しか見たことがなかったのですが、今回は着物や帯・浴衣などの大きな
染め物が中心でした。 この方の作品はカラフルで小さな文様という印象が
あったので、着物にすると沖縄の紅型染めみたいになるのかと予想していた
のですが、ちょっと違いました。 う~ん、正直な感想としては、着物や帯の
染めはもう少し修業が必要かも。 ワタシの目には、どこか未消化な感じに
映りました。 小さな面積の作品の方が密度が濃いというか…。 この方、
ひょっとしたら紙を染める方が合ってるのかな、などと勝手なことを考えたり。
がま口を手にして、しばし物欲と戦って克服(やれやれ~)。 がま口を
買うより、今のワタシに必要なのは髪の毛のカット&仕事にも着られる
セール品の安いパンツ。 我慢できてえらいぞ、ワタシ! 

恵文社一乗寺店から何気なく持ち帰った展覧会の案内をみると、9月1日~
30日に開かれる「倉敷意匠分室 机の上のしあわせ展」で関美穂子さんとの
コラボレーションによるステーショナリーが登場するとか。 こちらの方が
ワタシ好みかもしれません。 楽しみ。

ところで、恵文社一乗寺店の隣に「生活館」がオープンしましたね。
う~む、こちらもビミョー(あくまでもワタシ個人の感覚で、ですよ)。
ただの雑貨屋さんみたいで、恵文社らしがあまり感じられない。 残念。
本屋さんなのに、本の間にパラパラと雑貨がおいてある混沌としたところが
よかったのに。 あの空間が横にできたことで、店内の空気が薄まった気が
するのはワタシだけかな? でも、ワタシ以外の人には大好評なのか、
店内はかなりの人。 わざわざ遠くから訪ねてきたと思われる人の姿が
目立ちました。
Category: 日々の記録

意外な拾いモノ 畠中恵「しゃばけ」

最近話題になっている畠中恵「しゃばけ」を思いきって(?)読んでみました。
江戸を舞台に、大店の病弱な若だんなが妖怪たちと繰り広げる小さな冒険譚
なんてあんまり好みに合わないかな~と否定的な先入観を持っていたのに
予想に反して楽しかった! 「陰陽師」に似たような設定で、けっして目新しい
素材ではないのですが、この小説の魅力は斬新さや切れ味のいいサスペンス
とは違う次元にあるように感じました。

7.29しゃばけ

やたらに体の弱い若だんなが、目撃した殺人事件を妖怪たちの助けを借りて
解決する…ストーリーは結構単純です。 若だんなの周辺にいる個性的な
妖怪は、恐れの対象ではなくて、若だんなを助けたり一緒に遊んだりする
愛すべきものたち。 ふつうの人間には見えない存在なのに、若だんなには
妖怪たちが見える。 そこには若だんなの誕生をめぐる秘密があって…。
「鳴家(やなり)」という家の隅にいて家をギシギシいわせている小さな
妖怪がすごくかわいいな、と読んでいるうちに思えてきます。 ワタシも
1匹欲しい(笑) それにしても、これがデビュー作とはすごい筆力だなあ。

妖怪に対しても優しく接する若だんなもいいけれど、若だんなの幼なじみで
和菓子屋の息子が脇役ながら、とてもいい味を醸し出しています。 やる気は
あるのに和菓子作りが上達しない焦りや落胆、仲のいい幼なじみとの生活
レベルの差を感じざるをえない年齢になりつつある寂しさを抱えながらも、
それでも仲のいいかけがえのない友だちを思いやる心持ちが、物語に奥行きを
与えています。 江戸時代を背景にすると人情モノべったりになりがちなのに
適度に乾いた語り口なのも好感が持てました。 日常とは隔絶した物語世界に
遊ぶ感覚が楽しい1冊です。 楽しい本が読みたい人におすすめ。 中・高生
でも楽しめるんじゃないかな。 ただし、この本をネタに感想文を書くのは
かなり高等技術を要しそうです(笑)
Theme: 読書メモ | Genre: 本・雑誌
Category: 畠中恵

中学生女子におすすめ 森絵都「アーモンド入りチョコレートのワルツ」

角川文庫の夏のキャンペーン対象本から選んだもう1冊は、このあいだ直木賞
を受賞した森絵都の作品です。 直木賞のニュースを聞いて「森絵都って誰?」
と思ったワタシ。 最近の流行作家を全然知らなくて。
 
7.23アーモンド

森絵都は児童文学でデビューした作家で、この作品も児童文学に分類される
と思われます。 おませな小学校6年生くらいから中学生が読むのにちょうど
いい内容です。 収録されている3編の短編の主人公はいずれも、親の庇護から
少しずつ離れて、それまで見えていた世界が急に違った角度で眺められるように
なってくる微妙なお年頃である中学生。 きらきらしていたり、何かにわけも
なく苛立ったり…不安定な気持ちを抱えて一人でもがいていたあの時代、
戻りたいとは思いませんが、でも楽しくサラッと読めました。 ただ、同じ
児童文学出身でも、江國香織のような陰影に富んだ物語世界ではなくて
ワタシは少し物足りなかったです。 これからも森絵都を読むかどうか??

この短編集の中で一番気に入ったのは「彼女のアリア」。 不眠症の男の子が
旧校舎のピアノの前で出会った女の子は、すさまじい家庭環境を語り出し…
ラストがしみじみ温かくてよかったです。 小学生の時から毎日食事を作って
いる姪たちも、こんなステキな恋をしていて欲しいなあ…と叔母として感情移入
してしまいました。

【追記】
とりほさんには特におすすめではありません。 この本よりは山本文緒の
「ファーストプライオリティ」の方がいいかも(あくまで個人的な趣味
でのことなんですけど)。 山本文緒ならホントは直木賞をとった
「プラナリア」の方がずっといいんだけど、残念ながら角川じゃないのよ。

【追記その2】
このあいだの芥川賞・直木賞は受賞作にはたいして心ひかれなかった。
ただ唯一気になったのが芥川賞受賞作家が「角田光代の夫」とニュースで
流れたこと。 角田光代って、とっても結婚に対して否定的なことを言って
いたのに…いつのまに? などということを気にしていたのはワタシだけじゃ
なかったことが、先日従妹と電話で話していて判明しました。

青空

ひさびさに青空が広がって、気持ちのびのび。 精神状態がすごくお天気に
左右される体質だから、晴れているだけで気持ちがシャキッとします。 とは
いっても暑くて暑くて、冷房が大嫌いなくせに一日どっぷり冷房漬け。
パソコンや電話を使って仕事をしていると、35℃の日に冷房なしというわけ
にはけっしていきません。

7.27青空

午前中は来客だったので、お昼になってから洗濯。 干す頃になったら
空がどろんと曇天になってしまいました。 洗濯物がパリッと乾かなくて、
ちょっとがっかり。 でも! 昨日の激安仕事は先方が内容を気に入って
くれて「はじめのお約束で、あの出来ではあまりにも安すぎるから」と
ギャラがアップ。 こんなことって、普通はあり得ないからウレシイ。
なによりも、そこまで気に入ってくれたことがうれしくて、ひさびさに
仕事に対して前向きな気持ちになれました。 依頼してくださった方に
感謝。 ハリーポッターの翻訳者と何桁くらい違う仕事をしているのか…
ずーっと昔、翻訳者になりたいと思ったことがあるワタシ。 翻訳は
まるでワタシの性格に合っていなかったから(ホントは語学力が問題!)、
どうでもいいけど。 問題の翻訳者は「スイス移住に関する事情は
プライバシーに関わることだから公表できない」といってるそうですね。
それって結婚とか? あるいは余命5年(←そんなことあるのか?)と
宣告されて、大好きなアルプスを眺めながら死んでいきたいとか?
Category: 日々の記録

静かに語られる言葉をめぐる物語 小川洋子「偶然の祝福」

角川文庫の夏のキャンペーンから何かを読むとしたら、という基準で本屋さん
の店頭で探してみました。 小川洋子は「博士の愛した数式」があまりにも
ワタシ好みだったので、期待しすぎてガッカリするのが嫌でほかの本を手に
とらないままだったのですが、ほかにあまり「読みたい!」と思える本がなくて
ついに小川洋子の本を読んでみることに。 角川文庫は昔から、内容も
字組みも好きではなくて、ほとんど読んだことがありません。 角川文庫で
読んだのは姫野カオルコぐらい?

7.23偶然の祝福

あまり期待せずに読みはじめた小川洋子「偶然の祝福」は、でもとっても
よかったです! 万人向きではないのでしょうが、ワタシ好みの日本語で
書かれた静謐な物語の世界が、気持ちよく心に流れこんできました。 短編
より長編が好きな体質だから「最高ッ!」まではいきませんでしたが、
読んでよかったと思いました。 ただ、裏表紙のまるで的を射ていない
ヘンテコリンな紹介文は謎です。 なんの参考にもなりません。でも、
それなら、この本をなんと説明すればいいのか…とてもむずかしいです。
あえていえば、小川洋子が紡ぎだす言葉そのものを味わう小説、とでもいえば
いいのかなあ。 

家族からも社会からも孤立した主人公が小説家として、たったひとりで
言葉と向き合う生活を綴った小説…う~む、そういうと違うかも。 主人公の
過去や現在が交差しながら、さまざまなものを失ってきた主人公のひっそりと
静まりかえった内面が浮かびあがってくる連作短編集…といえば、少しは
近づいたかな? 主人公のそばにいるのは、まだしゃべれない幼い息子と
犬だけ。 誰にも頼れずひとりきりで生きる生活の中で、言葉を心の奥の
引き出しから探す孤独な作業。 著者とは別人格なのでしょうが、小説家の
孤独が心に響きました。 犬好きなので、犬のアポロとのエピソードが
特にグッときました。 子どもと犬、心にグッとくる2大要素を背景に
使っているところがちょっとズルイ!(でも、そういう話が好きなのよね)。


ところで、ハリーポッターの翻訳者が脱税疑惑、というニュースが。 3年間で
35億円も儲けていたのね! 印税がかなりな額とは思っていたけれど、
それほどまでに儲けていたとは…。 それで節税したくてスイスに居住地を
移したんだって…ふーん、そんなものなの? 曲がりなりにも児童文学でしょ。
日本の子どもが買ってるんだよ、それでいいのか、あんたは!(←翻訳者に
言いたい) あの人、子どもいないんじゃなかったっけ? なんのために、
それほど多額のお金を抱え込んでいたいの? 30億以上のお金をひとりで
使い切れるものなのかな? お金が儲かると、1億でも失いたくなくなるの?
そんなお金を持ったことがないから分からないよ(笑) 少しくらい児童施設
に寄付するとかしないのかな。 だって児童文学で儲けたのよッ!!
お金持ちの心理は、ワタシには一生理解できそうもありません。

今日はものすごくひさしぶりに晴れました。 関西も梅雨明けしたみたい。
そして、気温はぐんぐん上がって34.8℃! あ~しんど。 でも、洗濯物が
本当にひさしぶりにパリッと乾いて気持ちよかった! 激安&超特急の
仕事がやっと片付いて、それも気分よし。 素人の依頼者だったけど、
ものすごく喜んでもらえて、引きうけてよかったと思いました。 あんなに
素直に感謝の言葉を言ってもらえることって、最近ほとんどなかったから。
業界人は仕事を受けとっても「受け取りました」の一言もなく、ましてや
感謝やねぎらいの言葉などなく、率直な感想や叱責さえない…文句を
言ってこないから、一応それでよかったのだろうとこちらが勝手に思うだけ。
そんな風な相手に対して、仕事のやる気が起きるわけがない。
Theme: 読書メモ | Genre: 本・雑誌
Category: 小川洋子

ワーキング・プア

「とりほの日常」のとりほさんが、角川文庫の夏のキャンペーン対象の中で
良さそうな本を探しておられたので、昨日ひさびさに本屋さんへ行った
ついでに、店頭で本を手にとって探してみました。 直木賞をとった森絵都
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」と、小川洋子の「偶然の祝福」を購入。
その感想を書こうと思ったのに、ぼんやりみていたNHKスペシャルに衝撃を
受けて、今日はお気楽な「本の感想」なんて書けなくなってしまいました。
とりほさん、少し待ってね。

NHKの番組は働いているのに貧困層に落ち込んでしまった人たちをレポート
していました。 働いているの貧乏だから「ワーキング・プア」。 ほんとうに
まじめに働いていても生活が成り立たないテーラーのおじさんは、介護保険の
減額を申請しても、アルツハイマーの奥さんの葬式代にと最後まで手をつけず
とってある100万円の貯金があるために却下されていた。 田舎で仕事が
ないから、もっと安定した職場を探して東京へ出た青年は、働く意欲が
あるのに正式雇用されないまま、貯金をすべて使い果たしてホームレスに。
その青年がハローワークで相談した担当のおじさんは、横浜まで面接に行く
交通費がないからと青年が面接を辞退したとき、「気の毒ですね」と
言いながら笑顔でした。 どうして、そんな顔してられるんだろう。
仕事がなくて切羽詰まっている人と毎日接していると、あんなにも他人の
不幸に鈍感になれるんだろうか。 怠けてなんていないのに、住む家もなく
その境遇から這い上がる道もない。 日本はこんなことでいいんだろうか?

村上ファンドやホリエモンは「お金儲けて悪いんですか?」と開き直って
いたけど、お金儲けしかしないのはやっぱり下品だと思う。 人間は社会の
中で生きているものなんだから、巨万の富を得た人は何らかの形で、一部を
社会に還元すべきではないんだろうか。 社会を通して稼いだお金でしょ?
本人の責任ではなくて貧困にあえぐ人だって世の中にはいるわけで、資産の
一部を寄付して基金とか奨学金とか設立するっていうアイディアをどうして
もてないんだろう。 偽善でもいいから、やって欲しい! 仕事を選り好み
して、年中金欠なワタシを助けてくれとはいいませんから。

異常気象続きの地球、レバノンに侵攻したイスラエル、貧困にあえぐ人が
こんなにたくさんいる日本…悲しいことばかり。

7.23雨降り

雨、雨、雨。
九州や長野はすさましいほどの雨で、恐ろしいほど。 水害にあわれた方々を
政府はちゃんと助けてほしいです。
Category: 日々の記録

エッセイは著者が好きでないと 堀江敏幸「もののはずみ」

アレクサンドロス大王の小説を読んで、脳内がひさびさにギリシア・モード
になったので、購入したまま数年ほど放置していた歴史関連の本を読み
かけました。 しかし…この翻訳、近年珍しいほどの直訳でイライラ。
書いてあることを理解しようとすると文章を2回ずつ読まなくてはいけないほど。
ワタシの理解力が弱いだけかもしれませんが。 しまいに、ワタシならこの
どうしようもない直訳をどう添削するかな、などと考えることに楽しみを
感じたりしてます。


7.23もののはずみ

まともな日本語が読みたくなって、以前から少しずつ読んでいた堀江敏幸の
単行本「もののはずみ」を手にとりました。 ひきこまれるというほどでは
ないのですが、きちんとした日本語でホッとします。 この本は芥川賞作家で
仏文学者でもある堀江敏幸が主にパリで巡りあった「もの」について語った
エッセイ集で、各エッセイに著者が撮影した「もの」の小さなモノクロ写真が
添えられています。 著者のファンならとても楽しめると思います。
読みながら、思わず何度か「堀江敏幸って男よね?」と確認してしまったほど
最近はやりの「ちょっと古いものをテーマにした雑貨系」に非常に近い感覚
で、そのことに(著者のファンではないワタシは)驚きました。 一番の驚きは
古い家からはがされた陶器のタイルをアンティークショップで買った話で
著者はそういうタイルの裏にフェルトを貼って、マグカップ用コースター
として使うというエピソード。 それって雑貨系あるいは「天然生活」系の
発想では…というか、世の中の一般男性はそういうことするんですか??

体言止めも形容動詞止めもない美しい日本語のエッセイなので、手元に置いて
ときどき自戒の念をこめて読み返してみようかと思います。 ただ、モノに
ついてのエッセイでは、江國香織の「とるにたらないもの」の方が著者独特の
ちょっと普通とは違った視点で語られていて好きです。 エッセイは、やはり
著者への興味があるほどおもしろく読めるものなんですね、きっと。


さてさて、サッカー日本代表監督はオシムさんになりましたね。 日本らしい
スタイルに戻す、と言ってましたね。 それって、ジーコ流指導に対する
言外の批判ではないのかしら? どんな人が代表に選ばれるのかな、楽しみ。
たとえば、中村はオシム好みではない(ワタシの好みでもない)ような気が
するけど、どうかな? 8月初旬の試合では海外組は招集されないから、
どの程度変わるかはハッキリしないけど、オシムさんの今後に期待します。
Category: 堀江敏幸

またまた兄弟+女1人 映画「ウィスキー」

藤田嗣治展が今週末で終わりなので行こうかと思いながらも、なんとなく
雨が降ってて気が乗らずパス。 フジタの絵はあんまり好みじゃないから
見なくてもいいかな。 NHKの宣伝に流されて好きでもない絵を見なくても
いいだろうと思い切りました。 フジタの子どもの絵って、奈良美智とすごく
似てますよね? 奈良美智がフジタの影響を受けたとしか思えないほど
目つきが似てますね。 奈良さんにもまったく興味がありませんが。

そういえば、昨日映画をご一緒したTさんが「これからBSで放送されるよ」と
教えてくださって録画したままの映画があったな…そういえば、アレも兄弟
が主人公だったっけ…と思い出して、今日やっと映画「ウィスキー」を
観ました。 いや~「ゆれる」の次に「ウィスキー」を観るって、すごい
偶然ですが、この映画2本、モチーフがとても似ています。 父親の家業
(靴下工場)を継いだ兄+故郷を離れて、母親の介護もお葬式もすべて
兄一人に押しつけた要領のいい弟+兄弟の間に女1人。 弟は気が利いて
人懐っこい性格、兄は偏屈で無口、兄弟の間に立たされた女はどちらを
選ぶのか…。 ただ「ウィスキー」では、全員が冴えない中年というか
初老一歩手前くらいなのが違います。 画面が暗いシーンが多くて、
「ゆれる」のような起伏さえない地味なストーリーなのも違います。

ウィスキーのように、観た後にじっくり熟成されていくような映画です。
といっても、実はタイトルはお酒とは一切関係ありません。 写真を撮る
ときに笑顔になるようにいう言葉が「ウィスキー」で、日本での「チーズ」
と同じ意味。 ちなみに南米ウルグアイの映画です。 みはじめたときは
寒々しい風景にウクライナかと思いました(笑) だって南米らしい明るさ
なんてカケラもありませんから、この映画には。

母親の葬式にもこなかった弟が、1周忌のようなお墓建立式(?)にブラジル
からやってくる、と知った兄(初老にして独身)は何を思ったのか、工場の
古株従業員の女・マルタに、弟の前でだけ妻のふりをしてくれと頼みます。
2日だけのはずが、弟に誘われて季節外れの海辺のリゾート地へ3人で行く
ことになり…3人がそれぞれに微妙な気持ちの揺れを感じることに。 台詞は
ものすごく少なくて、カット割りも固定カメラを使った地味なもので、
兄とマルタはほとんど無表情で無口…でも、ビミョウな感じがひしひしと
伝わってきました。 恋愛にも生きることにも不器用な兄とマルタはほとんど
喜怒哀楽を表しません。 でも、弟と楽しそうに話すマルタを見ているうちに
それまで長年マルタを女としてみたことなどなかっただろう兄はなにやら
嫉妬を感じているらしいことは分かるのです。 そして「ゆれる」の香川照之
もビックリなほど、マルタを演じた女優さんがよかった! どうしようもなく
「おばさん」だったマルタが、偽装結婚という非日常的な出来事を通して
どんどん生き生きとキレイになっていくさまがステキでした。 「ゆれる」は
兄弟の間にはさまれた女の子がやけっぱちというか精神的に荒んでいて
それがあまり気分的によくない要因になっていましたが、「ウィスキー」は
女性がキレイになっていく過程がよかったです。 結末が観ている人間に
完全にゆだねられている、という点も「ゆれる」と「ウィスキー」はとても
似ていました。

最後はどうなったのかなあ。 マルタはどうしたんだろう? マルタが弟に
渡したメモには何が書いてあったのだろう? 観終わった後、誰かと意見交換
したくなる映画です。 でもでも…やっぱり、もう少し結末はハッキリして
欲しかったな…ワタシはね。 それと、男性のみなさん、思っていることは
言葉にしましょう! 女は分かっているようでも、言葉にしてくれないことは
結局は分かりません。 3人でゲームをしているシーンで兄の気持ちは
マルタに伝わっていたと思うんだけどね…でも、女はダメなのですよ、
それだけでは。

こんな渋い映画を観ているくせに、「ハイジ」などにもかなりひかれます。
スイスの風景を眺めるために「ハイジ」を観にいこうと。

7.20気になる映画


↓は公開予定がなかったのに、W杯決勝戦の騒ぎで急遽上映が決定した模様。

7.20ジダン

ジダンは好きだけど、結局MVPを剥奪されなかったことにビックリしました。
Category: 映画

兄弟の絆とは? 映画「ゆれる」

3日ほど午後ずっとゴロゴロ雷が鳴るお天気が続いたと思ったら、昨夜は
心配になるほどの豪雨。 でも、そのためにひさしぶりに涼しい一日でした。
午前中、出町柳から見た賀茂川が濁流になっていて、恐ろしい…。
全国各地で被害が出ているようですね。 これ以上、ひどい災害が起こり
ませんように。

ひさびさに映画を観にいきました。 京都シネマは水曜日が割引デーだからか
「ゆれる」はビックリするほど大盛況。 1時間前に行ったのに100人あまりの
会場で、入場番号は50番近く、立ち見も出ていました。 すごい人気です。
ちなみに、オダギリジョーはワタシの好みではありません(笑) 会場は
オダギリジョー目当ての若い女性でいっぱいかと思いきや、おじさんや
おばさんの姿もかなり見られました。 評判がかなりいいからでしょうね。
邦画はあまり観ないのですが、「ゆれる」はいいセンいってると思いました。

7.20ゆれる

主題は兄弟の葛藤です。 信頼の裏側に封印されている妬ましさや羨望、
競争心と挫折感、無責任さと甘え…まさに「愛憎」の大きな振幅にゆれる
兄と弟の心の内が、ある事件をきっかけに少しずつあらわになっていきます。
弟は東京へ出てカメラマンとして成功しているモテ男、兄は田舎の実家で
父親と二人暮らしをしながら家業を継いでいる冴えない男。 物語は弟役の
オダギリジョーの視点で描かれているのですが、兄は東京、ワタシは年老いた
両親と実家で暮らしているわが家の構成上、ワタシはこのお兄ちゃんに
感情移入するシーンがたくさんありました。 ご一緒したTさんも言って
おられたのですが、母親が亡くなって頑固者の父親と二人で住んでいる兄が
洗濯物(=父親と自分のパンツ)をたたんでいるシーン…背中だけで
わびしさと諦観、怒りを演じた香川照之はスゴイ役者さんだと思いました。
裁判を通して、周囲が思っていた「誰にでも優しくて誠実な兄」からどんどん
ずれていく「何を考えているのか分からない」感じもよくて、香川照之が
オダギリジョーを圧倒していました。

なにもかもがとても曖昧で、真実が何なのかわからないところは芥川龍之介
の「藪の中」モチーフといえるのかもしれません。 ひとりで観るよりも
誰かと一緒に観て「あのシーンはこういう意味かな?」とあとで話すのが
楽しい映画だと思います。 予想していたよりも重いテーマで、けっして
スカッと気持ちよくなる内容ではないのですが、結末は絶望的ではなく、
後味が悪いということもありませんでした。 ただ3ヶ月ほど前に観た
「白バラの祈り」があまりにもいい映画だったので、そこまでは及ばないな
と感じました。 「ゆれる」は曖昧なところがおもしろみなんでしょうが、
もう少し監督の主張が感じられるような結末の方が個人的には好みです。
Category: 映画

歴史を下地にした恋愛小説 「アレクサンドロスと少年バゴアス」

メアリ・ルノーの「アレクサンドロスと少年バゴアス」を読み終わりました。
アレクサンドロスとは、もちろん1代限りの大帝国を築いた大王さまのこと
です。 バゴアスはペルシア人の宦官で、アレクサンドロスの寵愛を受けた
人物。 映画「アレキサンダー」を観たのですが、みごとな舞踏を披露して
アレクサンドロスからキスされたのがバゴアスですね。 あの役者さん、
(ダンサーらしいけど)ものすごくキレイな男性でした、やっぱりね(笑)

7.20アレクサンドロスとバゴアス

大王さまには非常に関心があるので、期待が大きすぎてガッカリするかも
と思って、この本はずっと前に買ってあったのになかなか読めませんでした。
読んだ感想は、まあまあというところ。 アレクサンドロス大王のことをあまり
知らない人が読んだ方が楽しめるのかもしれません。 ある程度の知識が
あって読むと、少し物足りない気がします。 アレクサンドロス大王の足跡を
たどるよりも、バゴアスのアレクサンドロスへのまっすぐな愛が主題なので。
バゴアスの視点で語ることで、アレクサンドロスの東方遠征の血なまぐさい
部分がほとんど抜け落ちています。 アレクサンドロスが残虐だったのか
ペルセポリスを酔った勢いで焼き払うほど愚かだったのか、といったことに
何もふれずに物語を展開させているところは「うまく逃げたな」と思ったり。

2段組で430ページほどあっても飽きることはありませんでしたから、物語
としてはうまく構築されていると思います。 アレクサンドロス大王について
知らない人が、歴史の一端を楽しむのにはちょうどいいかな。 個人的には
体言止めや形容動詞止め(?)があまりにも多いのが気になりましたが、
これは原文がそうなのかしら。 歴史を扱っているのだから、ある程度
キチッとした文章の方が重みと格調がでたのでは…と思えました。

ところで、ネットを見ているとアレクサンドロス大王のことを「アレク」
とか「アレックス」と書いてあるのをよく見るのですが、こういう呼び方は
とっても気持ち悪いです。 「アレックス」て…三都主じゃないんだから。
ワタシの感覚としては、英語の「アレキサンダー」より、さらにイヤ。
お願いだから、みなさん「アレクサンドロス」と呼んで!

7.16キノコ

庭では相変わらずキノコだけが元気。 反りかえったキノコは杯みたいに
雨水をためています。 今日も午後から恐ろしいほどの雷雨がありました。
でも、そのおかげでほんの少し温度も湿度も低くなって、夜は昨夜より
過ごしやすくなっていて、心身ともにホッとしています。
Theme: 読書メモ | Genre: 本・雑誌

湿気でヘロヘロ

昨日・今日と、うっとうしいお天気が続いて頭が重くて、冷房を入れたら
入れたで(冷房に弱い体質だから)体がだるくて…と、仕事が進まない
言い訳を自分に百ほど言ってみる。 結局、自分の首を絞めているだけ。
わかっているんだけれど。 昨日も今日も、朝だけほんの少し晴れて昼前に
真っ暗になって、あとは雨雲にふたをされて、午後はずっと雷がゴロゴロ。
降りそうで降らないから「大丈夫か」と思って、おつかいに出たら雨が
降り出しました。 仕事をしないバチが当たったんでしょうか(笑)

うだうだしている間に藤田嗣治展が終わってしまいそう。 平日でも非常に
人が多いと聞いて、なかなか行く気になれないでいます。 それよりも、
ミホミュージアムの和ガラスの心」展の方がゆったりできるかな。
信楽の山の中、すごくへんぴなところにあるのですが、京都からだと
ちょっとした旅行気分が味わえる程度に遠くて、なかなか楽しい美術館です。
新興宗教の美術館なので、はじめて行ったときは「違和感あるかな?」と
心配したのですが、そんな雰囲気はぜんぜんありませんでした。 ただ、
収蔵品が半端な博物館よりずっと立派でビックリ。 さすがに宗教はお金を
持っているのだな…と変なことに感心したり。

7.15ヤブカンゾウ

母はこの花を「ノカンゾウ」と呼んでいますが、ネットで調べてみると
八重は「ヤブカンゾウ」らしいです。 花の形としてはあまり美しいと
思えないのですが、うっとうしい天気続きで花の少ない季節の庭には
鮮やかなオレンジ色が映えます。

7.15キノコの芽

ジトジトの毎日で元気なのはキノコだけ。 土から出てくるところみたい。
でも、この状態のまま3日もジッとしています。 さっき、ものすごい
雷雨だったから、明日の朝には少し成長しているかな?
Category: 日々の記録

祇園祭

昨日・今日と最低気温は25℃、最高気温33℃で、湿度85%…息が苦しくて
グッタリするような気象条件下で人混みの中へ連続して出かけたら、
熱中症気味なのか珍しく頭痛が。 水分をたっぷりとって早く寝なくては。

7.13祇園祭1

用事の合間に、祇園祭の山鉾をちょこっとだけ眺めてきました(頭痛い
と言いながら)。 今年は祇園祭と3連休が重なって、明日以降はものすごい
人出になりそうで、想像するだけで気持ち悪くなりそうなので、今日のうちに
祇園囃子を聞いておきたいと思って。 上の写真は長刀鉾。 祇園祭の
先頭を行く立派な鉾です。 京都人にとっては長刀鉾は一種のブランドの
ような位置づけで、街中の鉾町(山鉾を運行する町内)に住んでいない
ワタシのような部外者は「厄除けのちまきを買うなら長刀鉾」と理由もなく
前から決めています。 なんの意味もありません。 ただなんとなく。

7.13祇園祭2

7.13祇園祭3

大通りの四条通から細い横道にはいると、鉾や山が点々と据えられています。
写真を撮っていたら、街中に住んでいる同級生にばったり会いました。
「今日、眺めに来ておいて正解やわ。 明日からはスゴイ人や」とのこと。
立ち話をしていたら、釜山の友だちから突然携帯に電話がかかってビックリ。
ひさびさに懐かしい声が聞けてうれしかった。 それにしても、韓国人と
ドイツ語で話している…て、なんだか妙だと同級生に笑われました。


わが家の庭のキノコ。 今朝、また違う種類を発見しました。

7.13キノコ

どうせなら食べられるキノコも生えたらいいのに(笑)
Category: 日々の記録

オシムさん

サッカー日本代表の監督にほぼ決まったオシムさん。 前から「お金が
自分にとって重要だったことは一度もない」と言っていたとか。 今の
交渉でもお金についてオシムさんからの要求はいっさいないと報道されて
ました。 そこまでハッキリ言い切ってしまうって、すごいなあ。 昔の
日本人にはこういうタイプの人がいたでしょうけど、いまはヒルズ族が
幅をきかせてる世の中。 「お金もうけて悪いですか? 儲けすぎたから
いけないんですか!」と逮捕直前に開き直り会見した村上ファンドに
オシムさんの爪の垢を煎じて飲ませたいものです。 お金を儲けて
悪いわけじゃありません。 でも、使い切れないほど儲けて、それに
どれほどの価値があるんでしょうか? 最近、村上ファンドやホリエモンは
何してるんでしょう? あいかわらず、お金儲けに夢中??
 
7.11キノコ

ジメジメムシムシが最高潮で、今日は湿度が80%! すでに最低気温が熱帯夜。
息苦しい…。 庭では立派なキノコが出現。 昨日、根元にある殻のような
ものが割れてチョコボールそっくりの頭が見えていましたが、今日はこんな
に大きく伸びてる! 後ろのキノコは傘が何ものかに喰われています。
犯人は根元にいるニョロンとしたヤツ?
Category: 日々の記録

古代のビール

W杯が終わりました。 サッカーに興味がない人は連日のサッカー中継に
さぞやうんざりだったでしょうね。 これで、ワタシも静かな生活に戻って
安眠できます(笑)。 さっき、ちらっとジダンがテレビに映ってました。
チームメイトと一緒に、フランス大統領に帰国の挨拶をしていました。
決勝戦では、なににキレちゃったのかなあ。 無口だから、あの頭突きに
ついては何も語らないんでしょうね。

昨夜、前々から気にしていた京大と早稲田が共同開発した「ホワイトナイル」
を飲みました。 古代エジプトのビールを再現したものなんだそうです。
京大の生協に行けば簡単に買えるかと思いきや、人気で品薄になり、
持ち帰りのビールは週に2回だけ朝から発売するんですって。 一度
わざわざ買いに行ったのに買えなかったと嘆いていたら、知り合いが
「2本もらったから」と1本くれました。 やった! 飲んでみた感想は、
独特の香りはなかなかいいんだけど、味にコクがありません。 でも、
「古代エジプト人はこんなような味のビールを飲んでいたのかな」と
想像しながら飲むのは楽しいです。 値段が高いし、ほかのビールより
おいしいということはないから、一度飲んだら満足しました(笑)。
それにしても、古代エジプトって、いつ頃のことなんだろう?

入手したい方は、京大生協に問い合わせてからお出かけください。
生協のカフェで飲むなら、いつでもOKらしいです(持ち帰り用が入手困難)。

7.10古代ビール

飲んでしまって中身はありません(笑)。
Category: 日々の記録

いよいよファイナル

また早朝からW杯3位決定戦をTV観戦。 3位決定戦は監督さん同士が試合前
から、やたら楽しそうに話していたりして、緊迫感より「最後の試合を楽しもう」
という雰囲気でした。 ドイツとポルトガル、どっちもがんばって欲しいから、
観ているのは微妙でしたが。 どちらのチームも若手が活躍していて、
うらやましかった…日本はこれからどうなるんだろ。 大活躍したドイツの
シュヴァインシュタイガーは日本語にすると「豚登さん」か? すごい名前だな。
37歳のカーンもがんばってゴールを守ってたし、観ていて楽しいゲームでした。

それにしても眠い…でも、このねむねむ月間も明日早朝で終わり。 夏休み
最後の日、あるいは高校の学園祭が終わったあとみたいな気分です。
勝っても負けても、ジダンらしい「男の花道」をみせてくれるんじゃないかと
期待しています。 でも、朝3時ってホントに中途半端な時間帯で、その日
一日が長くてつらい。

7.9アガパンサス

ずっと前から買ってあった「アレクサンドロスと少年バゴアス」を読み始め
ました。 憧れの大王さまが小説でどのように描かれているのか楽しみだけど、
2段組で50ページ読んでも、まだ大王さまにお目にかかれない。 大王さまに、
そろそろお出ましになっていただきたいものです。 でも、話の展開が
モタモタしているかというと、そうでもなくて、物語としてなかなかおもしろい。
これからの展開が楽しみです。
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短編にこめられた人生の深み アリス・マンロー「イラクサ」

美しい装丁にひかれて手にしたものの、2500円を超える価格に躊躇して、
ジュンク堂の中をぐるぐる回って…しまいに「ワン!」と吠えたくなるほど
迷いに迷って買った本です。 読み終わって、しみじみ「買ってよかった」
と思いました。 静かに繊細に、かつ力強く「人生」を描いています。

7.7イラクサ

カナダの女性作家の短編集です。 カナダでの出版時、著者は70歳になって
いたようで、若い頃の理由もなく浮き立つような喜び、過去へのこだわり、
そしてたいした原因もなくすれ違ってしまう夫婦の気持ちなど、人生の
明るい面も、人が意識的に目をそらしているような片隅の暗さも、さまざまな
味わいをみごとに凝縮した短編ばかりです。 けっして明るい物語ではない
のですが、人生を自分の力で切りひらいて紆余曲折しながら生きてきた著者
だからこその重みと深みがあり、読者を絶望に追いこんだりはしません。

主人公の意識のぶれがそのまま地の文章に表れて、ときどき場所や時系列が
混乱するような独特の文章なのですが、バージニア・ウルフのように感覚的
すぎず、読みにくいということはありません。 そのブレが女性的で繊細な
味を醸しだしているようにも思えました。

収録されている9編の中で、冒頭の「恋文」と最後の「クマが山を越えてきた」
は映画化されるそうですが、個人的にはこの2編はあんまり…。 単純な
ストーリーなので、映画化しやすいのでしょうね。 ほかの短編は本で読んで
こそ楽しめる世界。 女性の内面の奥深くにわけいって、ふだんは本人も
気づかずにいる「小さな揺れ」を丁寧に静かに描いています。 たとえば、
他人には明るく寛大なのに、病んだ妻の心情にまったく鈍感な夫に苛立ったり
(「浮橋」)、結婚によって上の階級へと移った女性が、流行の家に住み
ながらも、自分のライフスタイルだけを押し通そうとする夫に憎しみに近い
感情すら抱いていることに気づいたり(「ポスト・アンド・ビーム」)。
あるいは、昔は機知があって輝いているように見えた年上の女性に対して、
主人公が故郷を離れて都会で生活するうちに冷淡になってしまったり
(「家に伝わる家具」)。 それでも、「浮橋」ではハッとするほど美しい
ラストの情景が心に残り、幼なじみとして淡い恋心を抱いた男女の再会に
人生の苦みが重なる「イラクサ」でも、淡い思い出を糧にそれからの人生を
歩いていく女性の姿には、哀しく突きぬけた透明な孤独感があって、それは
けっして暗くはないのです。

ワタシは結婚していないのでハッキリとはわかりませんが、結婚している
女性の内面にも迫っていて「結婚て、こんな日常の積み重ねなんだろうな」
と諦観にも近いものが伝わってきました。 20代で読むと違和感があるかも
しれません。 たぶん40代から50代くらいで読むと、感覚的にちょうどいい
かも。 直接的にではないけれど、老いについても考えさせられるところが
あり、ほんとうにこの1冊に人生そのものがずっしり詰まっている感じ。

個人的には「イラクサ」「浮橋」が一番気に入りました。 「ポスト・アンド・
ビーム」や「クィーニー」「なぐさめ」のガラッと逆転するラストも短編
ならではの醍醐味がありました。 また、時間をおいてゆっくり読み直したい
と思います。 大人におすすめの1冊です。
Theme: 読書メモ | Genre: 本・雑誌

また朝からため息

ふと目が覚めたら朝5時。 ポルトガルが勝っていますように、と願いながら
テレビをつけると、1-0で負けてる…。 あ~ん、そのままポルトガルが負けて
しまって、またまた早朝からガックリ。 コーナーキックでも身長差があって
シュートまでいけないのね。 お気に入りのクリスチアーノ・ロナウドくんの
ドリブル突破もみられなかったし。 でも、ジダンはすてきですね。 どんな
場面でも闘争心むきだしにならない、どこか哀しげな表情が独特です。
移民の子だからかな。 決勝は意外なことにイタリア×フランス。 どっちが
勝つだろう。 どちらも手堅い守備で、お互いの攻撃をつぶし合って
地味な試合になるかもしれません。 ジダンが喜ぶ顔を見たいけど、
イタリアの粘りはすごいからなあ…。 イタリア人て、いつからあんなに
根性ついたのかしら? ワタシの中では「飽きっぽい」「むら気」という
イメージなんだけど。

ガックリついでに、毎月決まってある仕事がなぜか先月はなかった…
おもしろい仕事ではないけど、単価がほかより高いので当てにしてたのに。
ジトジトの湿気でよれよれな上に、ちょっと弱気になりたくなる要素です。
でも、ウダウダ考えても仕方ないので、こういうときはもっぱら読書。
こういうスポッと空いた時間を利用して「イラクサ」をじっくり読めてよかった。
以前、完全に仕事がとぎれたときはドストエフスキーを次々に読みました。
「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」「白痴」…手軽な文庫本で読みでがあって
いま思えば集中して読めてよかった。 いま、ホントは退屈しているより
こういう時にこそ形になるかどうかも分からない「自分の仕事」に着手すべき
なんだよなあ…。 ネットで注文した最新の一太郎、早く着いて欲しい!

4月は毎週映画を観ていたのに、ここのところ観たい映画がなくてご無沙汰。
もうすぐ公開の「ゆれる」と、京都では今のところ上映予定のない「ココシリ」
観てみたい。 夏休み公開の「ハイジ」もスイスの風景にひかれて観るかも。
京都シネマの会員になるか、ただいま考え中。

7.6アガパンサス

アガパンサスのつぼみ。 今にも咲きそうです。
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W杯で寝不足

ドイツが開催国として決勝に進出するだろうと思いながらも、試合が気に
なって早朝4時過ぎに起き出しました。 あ~あ、負けちゃった。 朝一番から
がっかり。 延長後半14分にシュートを決められるとは…オーストラリア戦の
日本を再現したみたいな結果でした。 気落ちしたら、よけいに眠くて眠くて。
朝4時からの試合はキツイ。 なのに、明日早朝のポルトガル×フランス戦が
またまた気になってる(バカッ!)。 ジダンは好きだけど、ポルトガルに
勝って欲しいな。 体格で負けてもスピードがあっていい。 でも、鉄壁の
フランスDFにはばまれて、また膠着状態の試合になるのかな。

ヒデの引退コメント全文をじっくり読みました。 クールなふりしてるけど、
まだまだ青臭いヤツだったのね。 「自分探しの旅」なんて言葉を使う
あたり、年相応というか…同世代で社会人になってる人より子どもっぽい
ように思いました。 まあ、サッカーばっかりの特殊環境にいたから仕方
ないのかもしれませんね。 どうせならアメリカの大学でガンガン勉強して
きっちり卒業して欲しい。 そしたら、ほんとに「クール!」。
いろんなことに才能があるからこそ、サッカー以外の可能性を探したくなった
のでしょうね。 マスコミが嫌いだったようだけど、マスコミがあるからこそ
時代の寵児になったわけだし、中田は自己矛盾のかたまりみたい。
これからもマスコミに追い回されるんだろうな、ちょっと気の毒。
でも、中田引退について宮本以外ほとんどコメントしないのが、日本代表
チーム内での微妙な立場を物語っていますね。  

7.4キノコ3 7.4キノコ4

7.4キノコ1 7.4キノコ2

昨日は晴れやかなお天気だったのに、今日は一転して梅雨らしくジトジト。
庭のあちこちにキノコが顔を出しています。 いまのところ、ギョッとする
ほど気持ち悪いキノコはまだ見かけません。
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ニューヨークの友だち

昨日、ひさしぶりにニューヨークの友だちから電話がありました。 東京へ
出張できているんだけど、仕事が忙しくて誰も友だちに会えず、せめて
電話でも…ということだったらしい。 彼女はワタシの友人・知人の中で
間違いなく仕事を一番がんばっている人。 心身のタフさは驚くばかり。
稼いだお金をもって留学して、しっかりした資格をとって現地の会社に
就職、いまはアメリカ人と肩を並べて働いている。 でも、肩に力が入り
すぎてなくて、とても自然体なのがステキです。 あくせくした気配や
「がんばってるんだぞ!」という気負いが、いつ話しても全然ないのは
なんでなのかな。 そんな彼女はとてもカッコいい。 ワタシも湿気で
グニャグニャになってる場合じゃないなあ…そろそろエンジンかけて
仕事しなくては。

6.30クチナシ

一重のクチナシが終わって、いまは八重のクチナシの季節。 クチナシの
白って、青みがなくて独特の色ですね。 こういう色はなんと呼べばいいの?
真綿色??

ところで、サッカーの中田が引退表明とニュース速報が。 イギリスにも
居場所がないし、いまさら日本国内にも帰れないから仕方ないのかなあ。
スポーツ選手は下り坂になっても燃え尽きるまで続けるのが、個人的には
好きなので「ふ~ん」という感じ。 ワタシの理想は、燃え尽きて真っ白に
なった「あしたのジョー」ですから(歳がバレバレ…笑)。
Category: 日々の記録

みんな説教されたがってる? 平安寿子「センチメンタル・サバイバル」

こんにちは。 寝不足とジトジトの湿気にやられてダラ~ンなvogelです。
昨夜のW杯ドイツ×アルゼンチン戦をみていたら、途中でやめられなくなり、
延長戦・PK戦と勝敗が決まるまで、テレビの前で寝そべりつつ(さすがに
PK戦になったら、居ずまいを正して)観戦。 気がつけば午前3時を過ぎて
いました。 ドイツが勝ってホッ。 あぶなかったな~。 実は試合をみながら、
いつアルゼンチンの素早い切り返しでカウンター攻撃を食らうか…と、
ドイツDF同士の不用意なパスをみるたび内心ヒヤヒヤ。 PK戦になれば
アルゼンチンは正GKではなかったのが苦しかったみたい。 やっぱり地元は
強い、ということなんですね。 決勝はドイツ×ブラジル!(勝手に決定)

とここまで前置きが長くなりましたが、サッカー観戦しながら片手間に
ぼちぼち読んでいた平安寿子「センチメンタル・サバイバル」。 

6.29センチメンタル

どこかの書評で「元気が出る」と書いてあったこと、そして「24歳の姪&
48歳の叔母が同居」という設定に心ひかれて読んでみました。

この本を読んで元気はでたか?…う~む、ワタシはでませんでした。
姪との関係にいかせそうか?…え~っとですね…ワタシの参考には
なりませんでした。 「何をやったらいいのか、わからない」と姪が将来に
ついて、いろいろ迷っているようで、それに対してワタシなりにどう
答えようかと考えることが多いもので、そのあたりを期待したのですが。

本がよければ「この本を読んでみたら」とすすめてもいいと思ったのですが、
どうも主人公の24歳フリーターの女の子が、あまりにも茫洋としていて
「これなら、うちの18歳の姪の方がしっかりしてるわ」と感じました。
一方、主人公が家事を引きうける代わりに居候させてもらう叔母さんは、
ずっと独身でばりばりのキャリアウーマン。 主人公がぼやぼやと生きている
のをみては、そのときどきに叔母さんが「マシンガントーク」で説教をする
シーンがずらずら出てきます。 この叔母さんの言っていることは悪くない
のだけれど、どうも私の気持ちにはスッと入ってきませんでした。
なんぼなんでも説教くさすぎませんか、この叔母さん?
でも、ネットで検索すると結構「おばさんの説教がよかった」という声が
多い←20代前半? やっぱり読む年齢によって感じ方が違うんでしょうね。
若いみなさんは、そんなに説教されたいのでしょうか?

平安寿子を初めて読みました。 アン・タイラーに憧れて作家になったと
プロフィールに書いてあるのを読んで納得。 ほんとうに、それっぽいです。
アン・タイラーは文庫になっていた「ここがホームシック・レストラン」
「ブリージング・レッスン」「パッチワーク・プラネット」と読んだような
おぼろげな記憶しか残っていませんが、どれもいまひとつワタシの好み
じゃなかったんです。 ごくごく平凡に生きている人たちの日常会話を
多用して、ダラダラひっぱるのが苦手だったのかも。 その苦手な点が
「センチメンタル・サバイバル」でも同じように気になりました。 会話が
多すぎる…主人公の女の子がモノを考えるきっかけとして、説教じゃなくて
もう少し叔母さんの生きざまそのものから感じさせるシーンがあっても
いいのになあ…とか、勝手なことを考えました。 アン・タイラーがピンと
こない人は、平安寿子を読んでもピピッとこないのかもしれません。

6.30赤い実

コゴメザクラの赤い実がかわいい。