美術鑑賞で日を過ごす幸せ 「若冲ワンダーランド」@MIHO MUSEUM

友だち2人と誘い合わせて、火曜日に信楽のミホミュージアムに「若冲ワンダーランド」展をみにいってきました。 JR石山駅(滋賀県)からバスで50分もかかる山の中にポツンとある美術館なので、6時30分に起きだして、すっかり遠足気分♪ ところが、早く着きすぎてバス停近くでぼんやり時間つぶしをしていたら、突如、外国人の団体さんが現れ、ミュージアム行きバス停に一気に行列!? 30人以上はいる…ええ~、朝一番のバスなのにッ! 平日なのにッ! あのぐにゃぐにゃの山道ルートで50分間立ちっぱなしなの~(泣)と焦りましたが、半分くらい行ったところの車庫でバスを増発してくれたので後半は座れました。 ホッ。

10.27若冲展

山の中は空気が澄んでいて、秋晴れで気持ちいい。 広大な敷地で、気分ものびのびします。

10.27ミホミュージアム

エントランスのこのトンネルがすごくSF的でかっこいい。 ミホミュージアムに来るのは2度目だけどワクワクします。 このトンネルを満喫したくて、電気自動車を待たずに徒歩で美術館へ向かいます。 とにかく広いので、エントランスから美術館まで数分かかります。

10.27ミホミュージアム2

トンネルを抜けると、真正面に美術館の入口が見えます。 妙に和っぽい入口のデザインが、いかにも宗教的な雰囲気を醸しだしているような。 建物はスッキリと明るくてモダンですが、トンネルほどのインパクトはありません。

さて展覧会ですが、展示数はそれほど多くありませんが、予想以上によかったです。 大胆な筆遣いの墨絵から色鮮やかな彩色画、ブームの発端ともなったドット画のようなプライスコレクション「鳥獣花木図屏風」、現代的なセンスの版画までバラエティ豊かで、驚くほど多面的な若冲ワールドに触れられて満足しました。 若冲ってあまりにもブームで、天の邪鬼なワタシは流行りものに無理やりでも背を向けたいところなんですが、若冲さん、やっぱり楽しいです、ハイ。 初公開となる新発見の「象と鯨図屏風」も迫力ありました。 パンフレットでみたときはたいしていいと思わなかったのですが、迷いのない筆で一気に描かれた巨大な屏風絵を眼前にして、そのスケールの大きさに圧倒されるとともに(これを80歳で描いたなんて!)、なにやら冗談めかしたような象の描き方にニヤリとさせられました。 一昨年、相国寺で展示された「動植綵絵」に感動したのですが、あの執拗な、ほとんど病的なほどの細密さとはまったく対極にある世界。 同じ人が描いたとは思えないほどです。

迷いに迷った末に、ものすごく分厚くて重い図録を購入。 3000円也。 この展覧会は6期に細かく分かれていて展示替えが激しいのですが、図録を眺めてみたところ、ブームになるよりずっと前に高島屋でみた「伊藤若冲展」に出ていたものとかなり重複していることがわかりました。 ちょうどいまの期間の展示作品はほとんどが初めてみるものだったのでラッキーでした。 しばらく図録で楽しめるわ。

エントランス横のレストランで食事を済ませて、秋期企画展「オクサスのほとりより 東西文明の架け橋・古代中央アジア」と常設展をぶらぶら。 その後、再び若冲を眺めて、結局コーヒーを飲む時間もないまま、終バスより1本早いバスで帰途に。 結局、朝一番の10時から夕方16時まで美術館に滞在、ほんとうに遠足の一日でした。

10.27ミホミュージアム3

もう紅葉が始まっていました。 緑からオレンジ・赤へのグラデーションがとてもきれいでした。 コンパクトデジカメではきれいに撮れてませんが。
Category: 展覧会

人生の晩秋 メイ・サートン「一日一日が旅だから」

先日、図書館へ本を返しに行って、ピンとくるものがあったら読んでみようと本棚を眺めていてみつけました。 メイ・サートンという名前だけは知っているけれど、どんな小説を書く人かも知らずに手にとってみたら詩集でした。

10.26一日一日が旅だから

「一日一日が旅だから」というタイトルにひかれました。 同名の詩が収録されていましたが、イメージしたのとは違って老女の日常を切り取ったものでした。 メイ・サートンが書いた膨大な詩の中から、壮年・中年・晩年と創作した時代別に分けて選んであるようです。 平明でやわらかな言葉の中から、人生のきらめきや孤独、哀しみが立ちのぼってきます。 晩年の詩を読んで、親もこんな気持ちで自然やめぐる季節を眺めているのかと胸を突かれました。 晩年の寂しさ、心細さと同時に、死は忌み嫌い恐れるものではないというメッセージが強く心に残りました。 返却期限まで、あと何度か読み直してみたいと思っています。

10.26秋の雨

庭は柿や花梨が落葉して、もうすっかり秋です。 今日は一日、冷たい雨。 今年は紅葉がずいぶん早い気がします(近ごろは12月にやっと紅葉することもあるくらいなのに)。 赤く染まるよりも枯れているようで、今年はあまり色鮮やかな紅葉にならないかも。

■Tさん、いつも拍手をありがとうございます! ビーズに凝ってられた方なら、これはそれほど手強くないと思います。 くまちゃん、一匹いかがですか?(KIWAの回し者か) それほど小さくないビーズの穴にテグスがすっと通せないのって悲しいですねえ…。

くまちゃんに一目惚れ

フェリシモのこぎん刺しは2回目がきたというのに、まだ1回目のが刺しかけたまま停滞しているし、クロスステッチもちょこっと刺しかけても続かないし、もうこれ以上、手作り系の買い物はしない!と心に誓っていたのに、かわいさのあまりついポチッとしてしまったビーズのキット。 ビーズってそれほど興味なかったんですが、このくまちゃんに一目惚れ。 くまちゃん自体は安いんだけど、ついでにあれこれ買いすぎました。

10.23ビーズくまちゃん

あああ、やっと完成させました! 何日かかって、何回ほどいてやり直したことか。 時間の無駄では…という思いが胸をよぎるのですが、せっかく買ったのに形にしないのはもったいなくて、最後は意地。 思ったよりずっと面倒くさくて泣きそうでした。 そして、ロウガンがついに始まっていることも認識させられた、厳しく辛いキットでした。 でも、できあがったら、かわいい~♪と自己満足。 最近はやっているらしいバッグチャームにしてみました。 しかし、かわいすぎて、自分の持っているカバンに合わない(汗)。

10.23ビーズくまちゃん2

お腹もお尻もぷっくり幼児体型なのが、また愛らしい(すっかり自己満足ワールド突入)。 そして、しっかり自立する(必要ないけど)。 欲しい方はコチラ

10.23チロリアンランプ

秋の陽ざしを浴びたチロリアンランプ。 ほんとに灯がともったみたい。 雑草との戦いに負けず、野放図に伸びまくってます。

不思議な仏縁で

10月19日の深夜、ネットでうろうろしていて偶然、1年に1度、10月20日にだけ公開される秘仏の写真をみかけました(ホントは浄瑠璃寺に行こうかと思って情報を探していたのに、秘仏公開つながりで)。 一般的な憤怒の摩利支天像とは違ってとても穏やかで、仏様を乗せている台座の四方八方向いているイノシシが愛らしくて妙に心ひかれました。 1年に1日だけ御開帳だなんて、みにいこうと決めていても用事があったりしてなかなか行けないもの。 ちょうど次の日に何も予定がないのは、みに行けってことかも…と不思議なご縁に導かれるように、建仁寺塔頭の禅居庵にある摩利支天堂へ向かいました。 実は摩利支天堂が建仁寺のどの辺にあるのかもよくわかっていなかったのですが。

10.20建仁寺

めったに入らない建仁寺の境内。 広々していて、観光客があまりいなくてとても静か。 花街・祇園のど真ん中にいることを忘れさせる凛とした禅寺らしい佇まいです。

10.20摩利支天堂

摩利支天堂だけは建仁寺の塀の外にあるんですね、知らなかったわ。 ご本尊の摩利支天像は絶対秘仏で、毎年ご開帳されるのは御前立の像。 ご開帳というからその日は1日中みられるものと思っていたのですが、お堂の中に上がらせていただいてもまったくみえません。 あきらめて帰ろうかと思ったら、10分ほどで法要が始まるとのこと。 せっかく来たから参列させていただくことに(足のしびれが心配でしたが)。 結局、小1時間の法要後、参列者は内陣の台に上がって間近に摩利支天像を拝ませていただけました。 とても優しい感じの小さな摩利支天さまを拝観でき、法要の儀式も興味深かったし、さっさとあきらめて帰らなくてよかった。
 
10.20摩利支天根付

仏像はあまりはっきりわかりませんが、こんな感じ。 絵はがきがなかったので、プリティすぎる根付だけいただいてきました。 あとはお線香とお灯明、お賽銭で秘仏に出会えた御礼を。 特別拝観といって高い入場料を取っている寺院もあるんだから、それと変わりないくらいに。 オトナですから。

ところで、法要前に内陣に座った女性、雑誌でみたことあるなあ、誰だっけ?誰だっけ? ひょっとして書評家の豊崎社長?などと気になって気になって。 法要の前にご住職からご紹介があり、現代アートのMAYAMAXX(マヤマックス)さんと判明。 そうでした、美術雑誌で何度もみかけてました、失礼しました。 マヤマックスさんが描かれた絵馬を奉納されるということで、間近で拝見できたのも嬉しいおまけでした。 かわいい絵馬は絵馬堂にかけて公開されるそうです。

微妙な年頃のせいか、ここのところずっと気分がシャッキリせずにいるんですが、いままで足を踏みいれたことのないところへでかけて、いい気分転換になりました。 摩利支天のお導きですね。 摩利支天は勝利と開運の守護だとか。 なにかいいことあるかも。
Category: 日々の記録

生命と死の尊厳を問われる 映画「私の中のあなた」

ただのお涙頂戴の映画だったら嫌だな、とみるかどうか迷っていた「私の中のあなた」。 街中にでかけたついでにみてきました。 心配したような安っぽい映画じゃなくて、よかった。 それでも涙腺がもともと壊れているワタシは初めから最後まで泣き続け、ハンカチ1枚グッショリ。 すぐ前に座っていたお姉さんは、ラストで嗚咽にむせび、ついには大きな音でハナかんでました。 涙もろい人はハンカチとティッシュ必携の映画です。

難病にかかった姉ケイトを救うため、ドナーとして的確な遺伝子をもつように体外受精で操作されて生まれた妹アナ。 アナから何度も血液の提供や骨髄移植を受けて命をつないできたケイトだが、15歳になったいま病気はさらに進行して腎不全を起こし、生命の危機に。 そんなとき、献身的に姉ケイトを支えてきた妹アナが、突然「臓器を提供しない」と両親を相手に裁判を起こします。 なぜ姉思いのアナが? そこには、両親にとっては思いがけない真実が…。

10.20私の中のあなた

難病に苦しむ子どもの話ですからテーマは重いのですが、みたあとにどーんと落ちこむような後味の悪さはありませんでした。 かといって「みんなで支え合って、それが家族の愛よね」などと、脳天気な家族愛絶賛の映画でもありません。 臓器移植のこと(生体肝移植も脳死移植も含めた)、不妊治療のこと、生命に対する倫理、死の尊厳…鑑賞後にいろんなことを考えさせられる、非常に生真面目な内容を押しつけがましさゼロで描いた作品です。

兄弟に難病の子がいたためにどうしても親の関心が薄くなってしまう他の子どもたちの寂しさ、自分の病気のために家族にさまざまな犠牲を強いてきたことをしっかり認識しているけなげな長女、娘かわいさのあまり一人てんぱって周囲が見えなくなっている愚かしいほど必死な母親、そんな妻に違和感を覚える寡黙な父親。 全員の視点から語られることによって、それぞれがお互いを思いやっていて、それでも娘の長年の病気に家族が押しつぶされそうになっていることがひしひし伝わってきて、とても切ない。 法廷シーンはメインというではなくて、家族の過去から現在までがいろんな立場からていねいに描かれています。 親は子どもを自分の従属物だと思っていても、子どもは幼いながらも自分なりの考えがあり、いつのまにか親よりもしっかりしていることだってあるんですよね。 ケイトとアナは病気を通してお母さんよりずっと大人になってしまっていて、それもとても切なかったです。 ただひとつ、ラストシーンをみながら、アナは姉のケイトとは深く結ばれているけれど、あんなにひどいことばかり言った母親と確執なく生活できているのか気になりました。 

キャメロン・ディアスは「よくこんな役を引き受けたな」と思うほどエキセントリックな演技で、次女にしてみればほとんど鬼母なんですが、カラッと明るい持ち味で嫌な感じが中和されていたかも。 子役の3人の演技がとてもすばらしくて、特に次女役のアビゲイル・ブレスリンは「リトル・ミス・サンシャイン」の幼児からすっかり大人びて、真っ直ぐなまなざしだけでもハッとするほど存在感がありました。

キャメロン・ディアスが演じた母親への嫌悪感で映画全体に感情移入できなかったという意見もあるようですが、周囲の人の言動をみていると母親ってああいうエゴイスティックなところがあると思います(映画ではオーバーに表現されているけれど)。 不妊症に悩んで悩んで「他人の卵子を使って体外受精でもいいから産みたい」と本気で思い詰めていた友人もいたし、子どもの脳死からの臓器移植について「子どもを産んだら、あなたのように冷静ではいられない。自分の命なら失ってもいいけれど、自分の子どものためなら『脳死になったのならさっさと心臓をちょうだい』と他人に迫るかもしれない」と言った知人もいます。 たとえば他人の卵子をもらうとしたら、なるべく姿形がいい人、頭がいい人を選ぶでしょうね。 そういうことが行き過ぎると、この映画のような理由で意図的に選別した子を産むことだって決してありえないことではない。 この作品での「自然の摂理に反した自分たちへの罰だと思った」というお父さんの独白に、この映画を作った監督のメッセージを強く感じました。 …と、語りたいことは山のようにあるのですが、いやほど長くなったので今日はこのあたりで。
Category: 映画

週末あれこれ

土曜日は恒例のNHK-BS「俳句王国」をみて午前中はのんびりと過ごし(今回の放送は出演者のつくった俳句に個性があっていつになく楽しかった)、午後は母につきあって高島屋で開催されていた「日本いけばな芸術展」へ。 会場は仰天するほどの人だかり。 すごい動員力。 おばさん世代を中心に若い女の子も結構いて、意外に(?)みなさん熱心にみてらっしゃいました。 やっぱり習っている方には参考になるのでしょうか。 それにしても、前衛的すぎて花の美しさが感じられないもの、凝った花器に寄りかかりすぎて「評価されるべきは花器を作った職人さんのウデじゃないのか?」と感じるもの、生の花一輪、葉っぱ一枚さえないモダンアート作品みたいなのとか、こんなんいけばなといえるのか!と頭の中は「??」。 そして、目が回るほど流派が多くて、展示数は200点以上。 ささっと流してみただけで疲れ果てました。 あ~、いけばなは習わなくていいわ、あんなのいいと思えないもの、ワタシは。

10.19アカマンマ紅葉

日曜日は友だちが新たな試みにチャレンジするということで、開店準備期間中の多忙な折に、お昼をご馳走になりました(おいしかったよ~、ありがとう!)。 素人が知らない法律の不思議とか、いろいろたいへんなことがどっさり。 「なんだか楽しそう」などとお気楽に考えていたから、現実的にお金や人が動くことの厳しさにガツンとやられた気分(地上から2cmくらい浮世離れしたところを漂って生きているようなワタシなので)。 でも、もちろんワクワク感もたっぷり。 彼女の想いが伝わる場になりますように。

晩ご飯の後は、フィギュアスケートをボーッと眺め、楽しみにしていたTBSのドラマ「仁 JIN」。 第2回もおもしろかったなあ。 武家の娘姿の綾瀬はるな、かわいいなあ…と、もうほとんどおっさんのような気持ちでみる(笑)。 ドラマ自体もおもしろいから、これは続けてみよっと。

10.19飛行機雲

世の中はいつのまにか秋本番。 庭では落ち葉や小さな紅葉が目につくようになってきました。 アカマンマがひと足早く鮮やかな紅葉。 静かな秋の夕暮れを眺めていたら、人恋しい気分に。

■おーりさん、修学院離宮を満喫されたようでうらやましいです。 あれこれ言って無理に歩かせてしまったのでは…(汗)。 大丈夫でしたか? ヴォーリズ展は期待しすぎず散歩のつもりで行くと、ちょうどいいという感じでしたよ。
Category: 日々の記録

ひさしぶりに百万遍手づくり市

昨日はお天気がすごくよくて暑くも寒くもない絶好のお散歩日和でした。 家にジッとしているのがもったいないほどで、思いついて午後に百万遍の手づくり市(毎月15日開催)へ。 往復ともにてくてく歩いて、ついでに運動不足も解消してスッキリ!

それにしても人が多くて驚きました。 午前中は何も見られないほど混雑していると聞いたから、午後遅めに行ったのに。 会場の知恩寺に着いたのは2時30分くらいでしたが、結構な人でした。 ま、見られないってほどじゃないですけど。 出展数もまた増えて、会場がさらに広がっていました。 寂しいような端っこの場所を割り当てられた人は気の毒だな。 きょろきょろしながら歩いていると、お客さんと出展者の会話が聞こえてきて、どちらもすごい遠方から来ていたりして、またまたビックリ。 京都じゃない人がいっぱい来てるんですねえ。 帰る頃には門前に観光バスが次々にお迎えに来ていました。 いや~、もう立派な京都の観光名所なんですね!

うろうろしているうちに、「ちょっといいな」と思った店の場所がわからなくなり、二度とたどり着けない…まさに一期一会です(笑)。 朝早くから大賑わいしていたんでしょうね、3時過ぎになるとあちこちで店じまいが始まりました。 4時頃、どうしても欲しいというものに出会わないまま、そろそろ帰ろうかなと思って最後にのぞいたエリアで、すでに片づけ始めている台の上にあったネックレスに一目惚れ!

10.16ネックレス2 10.16フィルムしおり

左の松ぼっくりみたいなネックレスを買いました。 ひとつひとつ天然のものを石膏で型どりしてシルバーを流しこんで作っているそうで、よくみるとみんな少しずつ形が違っています。 こんなの見たことない。 すごく気に入って即買い。 右は写真をフィルム風にあしらった栞。 とても気に入ったものがみつかって、お金使っちゃったけどホクホクで家路につきました。

■拍手をありがとうございます!

■Tさん、いつものぞきに来てくださってありがとうございます。 「待ち暮らし」、いいですよ。 筋書きだけ読むと馬鹿みたいな話なんですが、なんともいえない味のある小説でした。 嫌なヤツが出てこないので、読んでいても嫌な気分にならないし。 アラハン世代がこの小説の読者としてはちょうどいいくらいです、きっと。
Category: 日々の記録

人生の苦みを詩情豊かに ハ・ジン「待ち暮らし」

作家の名前も本の題名も知らないまま、図書館の本棚で出会ったハ・ジンの「待ち暮らし」。 「待ち暮らし」という言葉の響きにひかれて、何をそれほど待ってるのか?と手にとってみると、田舎の妻と離婚して若い看護婦の恋人と結婚したいと思っているものの、なかなか離婚できず、別居している妻を一方的に離縁することが認められる18年が経つのをひたすら待つ男というあらすじが本の裏に載っていました。 え~、そんな嫌なヤツの話なんて最悪!と思ったのに、それでもなぜだか読みたくなったのでした。 不思議なことに。 読み終わって、ああ、出会えて良かったとしみじみ思う本でした。

10.13待ち暮らし

著者のハ・ジンは中国出身。 アメリカ留学中に天安門事件が起こり、帰国を断念してアメリカで英語で小説を書くことを決意した作家だそうです。 この本で「全米図書賞」と「フォークナー賞」をダブル受賞し、アメリカで一躍注目の作家になったと、翻訳者のあとがきにありました。 大人になってから獲得した外国語で小説を書いているためなのか、とつとつとした語り口が中国大陸の田舎を舞台にした小説の雰囲気にとてもよく合っています。 華美で浮ついた言葉をいっさい排した、素朴で詩的な言葉が紡ぎだす物語世界は、ほとんど起伏のないものすごく地味な内容であるにもかかわらず、いままで読んだことのない味わいがありました。 前半のまどろっこしいほどの男のウジウジぶりに何度も睡魔に襲われましたが、それによって待って待ってひたすら時間が経つのを待っている感じを醸しだしているのだと、読了してから思い至りました。

主人公の軍医は教養のある心優しいヤサオトコ、いまの草食系男子そのもの。 不美人で時代遅れの纏足をした妻を恥じて、一緒に歩きたくないなどと思ってはいるけれど、別に嫌いなわけではない。 留守宅を女手ひとつで切り盛りして文句も言わないおとなしい妻を、恋人ができたからと捨ててしまうことに良心が痛むわけです。 読者は(たぶん誰でも)男にも妻にも愛人にも感情移入できないながらも、読んでみると誰にも腹が立たない。 最後に「本当にこれが自分の求めた人生だったのか」と後悔する、まことに立派なダメ男ぶりなんですが、それは誰でも一度は胸をよぎる「こんな人生のはずじゃなかった…」という思い、中年になって感じる人生の苦みに重なるものがあるんです。

そんな話なのに西洋的な絶望感いっぱいの読後感ではなくて、意外に重苦しい気持ちにはならないのは中国人の感性で書かれているから? 中国人作家の書いたものをほとんど読んでいないので(「ワイルド・スワン」しか読んでないかも)、これがハ・ジンの個性なのか、中国人特有のスケールの大きさなのかわかりませんが、こんな小説ならもっと読んでみたいと思いました。 「待ち暮らし」の時代背景は文化大革命なんですが、「ワイルド・スワン」とはまったく趣が違っていて、それも興味深かった。 「ワイルド・スワン」は文化人で迫害される立場の人だったけれど、「待ち暮らし」の方はあまり弾圧されない庶民の市井を描いていて、ほとんど波風は立ちません。 ひたすら個人的な苦悩に振り回される気の弱い男の人生なんて、とんでもなくつまんないんだけど、文学としてみごとに昇華されていました。 でも、あんまり若い人にはおすすめしません。 読んでも「しょーもな!」のひと言で終わると思われますので。

休日の散策におすすめ 「ヴォーリズ展 in 近江八幡」

先日、近江八幡での用事のついでに「ヴォーリズ展 in 近江八幡」をみてきました。

10.13近江八幡

よく時代劇のロケに使われている近江八幡の八幡堀の風景。

このすぐ近くの「白雲館」でチケットを買って、町のあちこちに残っているヴォーリズ建築を散策しながら見学します。 「白雲館」はヴォーリズ建築ではありませんが、2階でヴォーリズの人生を紹介するパネル展示がされていました。 会場に流れている音楽…あれ、これって母校のカレッジソング…ん?と思ったら、ヴォーリズさんが作詞したものだったんですね。 一度くらいは教えられたはずだったけど、すっかり忘れてました(汗)。 学生時代は「なんで英語の古語なんだよ~、内容がわからないじゃないか」なんて思いながら歌ってましたが、そう思って聞けば理想主義的なヴォーリズらしい歌詞の内容でした。 ステキな校歌をありがとうございました、ヴォーリズさん。

10.13ヴォーリズ展1 10.13ヴォーリズ展2

「旧八幡郵便局」と「近江兄弟社学園ハイド記念館」は内部を公開していますが、別に往時をしのばせる調度品があるわけではなく、がらんとした空間にパネル展示がたくさん。 あまりにもパネルが多くて、このあたりですでに読むのに疲れてきました。 右の写真、丸に点がヴォーリズ自らが書いていたマークだそうです。

10.13ヴォーリズ展3

一番興味深かったのは「ヴォーリズ記念館(旧ヴォーリズ邸)」の内部公開。 ヴォーリズ夫妻ゆかりの家具や本が置かれていて、夫妻の日常生活の様子をうかがうことができます。 建築家として活躍し、さまざまな事業を興した人にしては小さくて質素な家。 私有財産を持たないという高潔なキリスト者であり理想主義者だった人柄がしのばれます。

10.13ヴォーリズ展4

「アンドリュース記念館」もほんの一部ですが、調度品があって往時の様子がわかるのでおもしろかったです。 暖炉の横にある据え付け型の本棚付きベンチ、いいなあ。 隅っこの囲われた空間でとっても落ち着けそう。 冬の寒い日に、あんなところに座って本を読むのっていいだろうなあ。

10.13ヴォーリズ展5

つい最近手入れしたところらしい「ウォーターハウス記念館」(見学は外観のみ)。 どこもかしこもピカピカ(笑)。 構造もいま建てられているのとほとんど同じで、とても大正2年(1913)の建築とは思えません。

10.13近江八幡2

時間があれば、近江八幡らしい古い町並みももっとゆっくり眺めたかったな。 「ヴォーリズ展」のおすすめルート上で眺められる古い町並。

10.13近江八幡4 10.13近江八幡3


10.13近江八幡5

この立派な建物はお料理屋さんかなにかだったのかな? ガラスの桟のデザインが凝ってます。

最後に八幡宮前の「たねや」でお茶でも飲んでいこうと思っていたのに、のんびり歩いていたら意外に時間がかかって、泣く泣く断念。 返す返すも残念でした。 たねやの和菓子、おいしいのに。 誰かと一緒にぶらぶらと散策気分で時間を気にせずに歩けば、ずっと楽しめたと思います。 せっかく近江八幡へ行くのなら、近江牛のちょっと贅沢なランチやカフェタイムを組み合わせてでかけるのがおすすめです。 ひとり&時間がないワタシは近江牛コロッケを頬張ったランチ。 ま、それはそれでおいしくてよかったんですけどね。 次に来るときは、西の湖まで足を伸ばしたいものです。

展覧会全体の印象としては、私有財産を持たないという信念の人だったからか「ゆかりの品」といったものが皆無で、建築の外観+一部ガランとした内部を眺める以外は、ほとんどがパネルによる展示だけだったため、ちょっと物足りなかったかな。 それでも、名前だけはよく知っているけれど(京都にもヴォーリズ建築はいっぱいあります)どういう人なのかはっきり知らなかったヴォーリズの人生が改めてよくわかったのでそれはよかったな。 伝道者として近江八幡に来て、子爵の米国留学帰りのお嬢さんと結婚し、第2次大戦前夜に日本に帰化したこと。 ご両親も老齢になってから戦前に(←うろ覚え)来日して、そのまま日本で天寿を全うされたこと。 メンソレータムで有名な近江兄弟社を設立したことは知っていたけれど、社員の給料は能力や年齢に関係なく一律で、一方、社員の家族の教育や福祉が充実していたことも改めて認識しました。 すごい人生…。
Category: 展覧会

のんびり連休

連休初日の土曜日は、母につきあって京都市美術館の「JPS(日本写真家協会)展」をみた後、買い物嫌いの父を引っぱりだしてデパートの紳士売り場で、あれもこれもとまとめ買い。 もともとまったく服装について考えない人だったんですが、年を取ってさらに悪化して、どんどん爺むさくなってしまって。 年寄りが身なりにかまわないと、ホントにすごいことになります。 ボケてなくてもボケて見えます。 なだめすかして買わせたら、それだけでぐったり疲れましたよ。 で、今日は家でのんびり。 急に涼しくなったので、綿のセーターなどをせっせせっせと手洗いして、ほんの少しだけステッチをやりかけて。

先週行った近江八幡の「ヴォーリズ展」のことを書こうと思ったんですが、指が痛いのでまた後日に。 洗濯を干していたときにピンチの変なところに薬指が挟まって、皮膚は切れなかったんですが、中の肉が切れて内出血(痛ッ)。 キーボードに薬指の腹が少しでも触れると痛い。 ヒ~。

10.12ピラカンサの赤い実

台風が通り過ぎた朝、突然、ピラカンサの実が真っ赤に色づいていました。 少しずつ色づいていたんですが、前の日はまだ緑っぽかったのに。 柿の実は台風で意外に落ちず、鳥たちがすごく嬉しそう。

■おーりさん
修学院離宮に行かれるんですか、いいですね! 実は地元のくせに行ったことありません(汗)。 あのあたりは、う~ん、あんまりこれといったスポットがないんですよ。 唐紙の「唐長」の工房が修学院の住宅街にあって、以前は唐紙の美しい絵はがきやポチ袋が買えるショップを併設されていたのですが、いまも修学院でも販売をやっているのかどうか最近行ったことがないのでわかりません(四条烏丸の南西にある「COCON烏丸」にはショップがあります)。 唐長の唐紙は本当にステキでおすすめなんですけど。 工房は不便なところにあって、わざわざ行って買えないとガッカリなので事前に問い合わせてから行ってくださいね。 みどころなら…お天気が良くて歩くのがイヤでなければ、曼殊院から詩仙堂へと裏道を歩くと気持ちいいです。 ただし、修学院から詩仙堂までは道が入り組んでいるので必ず地図を持参してくださいね。 詩仙堂の近くで一服するなら「一乗寺中谷」の茶房かな。 途中の圓光寺か詩仙堂でも、お抹茶がいただけるのだったような…?? あるいは雑貨や本に興味があれば、叡山電車の修学院駅から1駅だけですが電車で一乗寺駅までいって、「恵文社一乗寺店」をのぞくのも楽しいですよ。 いまや全国区の名所らしいです。 恵文社一乗寺店のHPをのぞくと、その近くのカフェなども紹介されていますよ。
Category: 日々の記録

ほのぼの青春電車 有川浩「阪急電車」

有川浩って、いますごい人気なんですね。 「図書館戦争」(というタイトルでしたよね?)がベストセラーで名前だけは知っていましたが、 いつだったかNHKの「トップランナー」でたまたま有川浩のインタビューをみて、どんなものを書く人なんだろうと気になって、「阪急電車」を図書館で予約。

10.6阪急電車

阪急今津線を舞台に、乗ったり降りたりする乗客同士が電車や駅ですれ違い、ひょんなことから恋が始まったり終わったり。 次の駅に着くまでの短い時間に、電車の中で交わされる会話や視線をつなげて、連作の物語としてはなかなかうまくできています。 文章も歯切れが良くて、でも意外に情緒的なところもあって過不足なくて、うまい作家だと思いました。 イマドキの人なのかと敬遠していたんですが、そういう文章や表現の荒さはまったくなかったです(あとがきは思いっきりイマドキでしたけど)。 ほのぼのとしたいい読後感でした。 あっさり読めて楽しくて、でも、ただそれだけ。 残るものはないなあ…。 阪急のあの線を知っている人なら、また違った楽しさがあるかもしれません。 ワタシはあの支線に乗ったことないからな。

それにしても、あとがきで延々ダメ出しされている若い編集の子って、いったいどれくらいすごいことをして、ここまで売れっ子作家を怒らせたんだろう? そのことの方が気になりました(笑)。 普通、あとがきには形式的でも謝意を表してあるもので、たまに編集者への謝意がないものをみかけると「よっぽど腹に据えかねるものがあったのか」と思っていたんですけど、これほどあからさまに名前を挙げてあとがきで怒られている人って…。 編集者の失態を書く方も書く方だと思うけど、怒らせる方がたぶんものすごい仰天するようなことをたんまりやらかしたんだろうと想像。 そのままでいい部分に間違った日本語で赤を入れたとか? あるいは「表記の統一」とか言って、作家固有の漢字かな表記を勝手に全部変えちゃったとか? どっちもイマドキの編集者ならありそうな気がする。 でも、さらに何かしたのか?? 気になる~…て、ぜんぜん小説と関係ないことに反応してしまった。

10.9キノコ

台風一過の庭に元気いっぱい顔を出した立派なキノコ。 台風が通過した夜は風がすごくて、ゴーという強風にときどきギシッという不気味な音が…ボロ家の屋根が飛ぶんじゃないかと本気で心配になりました。 仕事に追われて疲れきっていて、ひと眠りしてからもう一度練り直そうと思っていたのに、なかなか眠れなくて。 そんなこんなで、翌朝(というか仮眠後)に必死で仕事を片づけて、それから台風のために家にとりこんだ植木鉢を庭に運びだして、ついでに庭仕事を手伝ったら、夜は気絶するみたいに寝てしまいました。

■いつも拍手をありがとうございます!

■Tさんも植木鉢の入れ出し(?)お疲れさまでした。 角田光代の「八日目の蝉」、気に入られたんですね、おすすめしてよかった。 うんうん、ウルッときますよね。 カクタさんの小説としては、ちょっと異色なんですよ。 カクタさん自身もなんか独特の人で、気になるでしょ? 仕事で「知る楽」の放送はみてなくて、残念です。 ホントに本をいっぱい読んでいて、しっかり独自の言葉で語る人ですよね。 ちなみに、太宰は有名なのはいくつか読みましたが、ワタシは苦手派でした(笑)。

大型台風接近中

大型の台風が接近中。 このあたりはまだ強い雨だけですが、そろそろ暴風圏内になるのかな? 大きな被害が出ませんように。

テレビで、雨が降っていない午前中に植木鉢を取りこんでおきましょうと言っていったので、仕事でお尻に火がついて火傷寸前状態なのに、午前中はひたすら植木鉢を屋内に運びこむことに励みました。 いったいどれだけ植木鉢あるんだ、わが家は! そして現在、仕事はまだ終わらず…停電になったらどうしよう(焦)。

10.6ちびヤモリ

昨日の朝、網戸にしがみついていたちびっ子ヤモリ。 3cmあるかないか。 小さくてかわいい。 愛らしくてパチパチ写真を撮ったら、戸袋に逃げこんでしまいました。 網戸やガラス戸で挟んでしまわないか心配。

ああ、そろそろ、仕事に戻らなくちゃ。 みなさん、台風の風雨にくれぐれもお気をつけくださいね。
Category: 日々の記録

おでかけ日和 「民藝の巨匠たち 濱田・河井・芹沢」展@大阪日本民芸館

土曜日は朝から晩まで、たっぷり楽しみました。 満足! はじめて行くところばかりで、もうそれだけでワクワク。

10.3太陽の塔

最初は大阪モノレールに乗って、万博記念公園へ。 ゲートを入った真っ正面にそびえたつ太陽の塔に圧倒されます。 う~む、なんなんだ、このすごい迫力は。 すごいなあ、岡本太郎も、岡本太郎の爆発の芸術(?)を受け入れた当時の人たちも。

実はワタシ、万博へ行った世代です。 この太陽の塔の前にあった大広場で、ガールスカウトの一員としておおぜいで踊ったのはひょっとして開会式だったのかな? ガールスカウトの中で一番のちびっこだったワタシは大集団の中で仲間からはぐれ、退場口がわからなくなって、広場の真ん中で泣いたんだった…(笑)。 行列嫌いの一家なので、ほとんど何もみなかった気がします。 ただ未来的なパビリオンの外観を眺めただけ。 幼かったのであまり訳がわかっていなかったけど、当時は日本全体が明るい未来を夢みていた時代だったんですよね。

10.3万博公園2 10.3万博公園

マンホールの蓋にも太陽の塔。 友だちが右のイラストを見つめて「こんなアレンジ、岡本太郎がみたら怒るよな」とぶつぶつ。

公園内の国立民族学博物館のレストランでランチをした後、お目当ての大阪日本民藝館で開催中の「民藝の巨匠たち 濱田・河井・芹沢」展をじっくり鑑賞。 土曜日というのにほとんど人影がなくて、心ゆくまで眺められました。 それにしても、民藝って近ごろかなり注目されているのに、どうしてここには人がいないんだろう? もったいないなあ。 ワタシが大好きな濱田庄司と、同行の友だちがご贔屓の河井寛次郎の天衣無縫な陶器にうっとりし、芹沢介の描くように型紙を切り出した型染めの楽しそうなオーラに、ふたりそろって型染めがやってみたくなり。 古い伊万里の自由でのびやかな絵付けもいいなあ。 展示品を思う存分ふたり占めで鑑賞。

10.3民藝館 10.3民藝館2

中庭は撮影できるので記念にパチリ。 右の謎の石像は、韓国の獅子だそうです。 出っ歯でファニー(笑)。

民藝館を出て、さて広い公園の自然でも満喫しようかと思ったら、あれ、民藝館でゆっくりしてて閉園時間間際じゃないの。 大急ぎで次なる目的地へ、よくわからない大阪の電車路線を乗り継いで向かいます。 南森町…まったくしらない町で帰りはどっち向きの地下鉄に乗ればいいのかわからず(終点の地名が北なのか南なのかそれさえわからない)、田舎ものはきょろきょろ。

10.3繁盛亭

もう一つのメインイベントは、はじめての落語。 ずっと行きたかった天満天神繁盛亭で寄席を楽しみました。 思ったよりこぢんまりした会場で、高座と客席の距離が近いんですねえ。 おお~、これが落語ってものなんだ! 生はやっぱり違いますね。 京都でも、もっと落語会が頻繁にあったらいいのになあ。

寄席の後、京阪の特急があるうちにとささっと晩ご飯を食べて解散。 タクシーに乗り継いで11時30分に帰宅。 それでも思ったより早く帰れた方です。 タクシーを降りるとき、運転手さんが「今晩は中秋の名月ですよ」といいつつ、曇り空に満月を探して「ほら、真上にいまは雲間に出てますよ」と教えてくれました。 楽しい一日の最後を締めくくりに、運転手さんの温かい言葉がうれしかった。 Mさん、運転手さん、ありがとう。
Category: 展覧会

純文学の香り 堀江敏幸「いつか王子駅で」

本屋さんでみつけた堀江敏幸「いつか王子駅で」。 この人の文章が特に好きってこともないんですが、不必要に美文調じゃなくて味わいのある端正な日本語が発作的に恋しくなって、薄い文庫本だし買ってみました(近ごろは金銭的なことより収納スペースの問題で本をむやみに買えない)。

9.30いつか王子駅で

ごく薄い文庫本ですが、そのわりに時間がかかりました。 ストーリーはほとんどなくて、東京の王子駅近くに暮らす主人公が、下町の風情を残した町を歩き、飲み屋などで町の人とさりげない会話を交わすだけ。 さっと読み流す小説ではなく、一語一句を味わうように読むのに向いた小説です。 会話や古本屋で手に入れた本から心に浮かんだこと、街角の風景など、脈絡のなさそうなことが不思議なほどすらすらと次から次へと素直につながっていき、漂うような主人公の想念と足取りにつきあって、ふらふらとさまよっている感覚に満たされました。 私小説ネタのようでありながら語り口はさらっと乾いていて、純文学的でありながらヘンに小むずかしい感じではなくて。 相変わらず「この小説、大好き」というのではないんだけれど。

10.2ホトトギス濃紫

今日は雨降りの一日。 濃い紫がまじったホトトギスの写真は先日撮ったもの。 ひさしぶりに美容院へ行って、うっとうしく伸びていた髪をカットしたら、雨空でも気分はスッキリ! 髪がさっぱりした直後、うれしいお誘いが。 明日はたっぷり遊ぶぞ!

■Tさん、藤田さんのワンニャン、かわいいでしょ。 今回は苦肉の策でワンニャン写真てんこ盛りだそうですが、動物好きにはたまりませんよね。
Category: 堀江敏幸

読書系で楽しみにしているのは

いままで読んだことのない作家を開拓したくなったとき、参考にしていたのがこちら。 書評家・藤田香織さんが日記形式で、日常の雑感と読んだ本について綴っている連載です。 「参考にしていた」とあえて過去形で書いたのは、はじめは本の紹介目当てだったのが、近ごろは日記の方を楽しみにしているから。 更新が遅れることもたびたびなんですけど、おもしろいからいいのいいの。 ときどきチラッと出てくるワンコとニャンコがまたいい味だしていて。 今回はワンニャンの幼少期の写真がいっぱいでかわいい! これからも、ずっと細く長く続けて欲しいなあ。 親が入院したり、いろいろたいへんそうだけれど、同世代としてひっそり応援しています。 脱力して楽しめて、おすすめです。

ほかに「この作家ってどういう人なんだろ?」 と思ったときは、ここ。 話題の作家に、子どもの頃から現在にいたるまでの読書についてインタビューしている連載です。 先日読んだ山崎ナオコーラも、へえ、こういうことを考えて書いているんだと納得。 なかなか興味深いサイトです。

10.1ホトトギス

10月だというのにムシムシ暑いです。 まだ半袖でOKなのに、世の中は衣更え。 といっても、自宅にいる時間が圧倒的に長いワタシにはまったく関係ないのだけれど。 それでも、昨夜は雨音の奥で、かすかに鹿の鳴く声が聞こえたような…もう秋なんですねえ。

昨日、ひとりででかけた母がえらく遅く帰ってきたと思ったら、地下鉄と京阪を勘違いして駅の中をうろうろして迷ってしまったと聞いて、胸の奥がひやっとしました。 すごくよく知っている場所で、そんなところに地下鉄の駅がないことなんてよくよく知っているはずなのに…。 母自身が相当ショックを受けているようだったから、「地下の駅ってどこも同じに見えるからね」と、さらっと流しておいたけど。 ご飯が作れなくなって、次は自分がどこにいるのかわからなくなって、その次は…考えたくない。 でも、親の老いは確実に進んでいるんだなあ。 「あなた、誰?」と母親に尋ねられら、どんな気持ちになるんだろう。
Category: 日々の記録