かすかなふれあいを切りとる 青山七恵「お別れの音」

青山七恵は芥川賞受賞作「ひとり日和」を以前に読んだきり。 気に入らなかったのにまた読んでみる気になったのは、「お別れの音」というタイトルになんとなくひかれたから。 この人は2009年に川端康成賞を史上最年少で受賞したんですね、知らなかったわ。



あまり相性がよくない職場の先輩が出産を機に退職することになり、先輩と2人きりの仕事部屋でギクシャクと過ごす最後の数日を描いた「新しいビルディング」、いつも必ず同じメニューを注文する女の子に勝手に感情移入する学食のおばちゃんを描いた「うちの子」など、記憶に埋もれていってしまうような日常でのかすかなふれあいを切りとった短編集。

小説になりそうもないような、ごくごくかすかな感情の揺れを小説にまとめている手腕は評価します。 最近の若い作家にしては、言葉の選び方もひとつひとつとてもよく吟味して、自分にしか書けないような表現を追究している姿勢にも好感を持ちました。 読んでくだらないとは思いませんでしたが、ではおもしろかったかというと…。 ストーリーの起伏を求める人には向きません。


9.25芙蓉

実はショッピングモールの書店で買いたい本がひとつもみつからず、仕方なく買った本でした。 現代の作家で誰か「すごくいい!」と思える人に出会いたいのだけれど、むずかしいですね。


最近、なんの理由もなく(ひょっとしたら9月半ばの義姉の命日あたりから?)急にまた悲哀感が増幅してきて眠れなくなってしまいました。 途中で4回も5回も目が覚めるのが苦痛。 どうなっちゃったんだろう? 今日の「ためしてガッテン」で「いますぐでも眠れそうなほど眠くなるまで寝室へ行くな」と言ってたから試してみようかな。 しかしなあ…月末は仕事が重なってるし、日中眠くなるのはヤバイんだよなあ。 8月が仕事なさ過ぎだったから、とにかく仕事があるのはありがたいのに、人の話を聞きながら眠くてボーッでは困るんだよなあ。

小さい秋

先週行った比叡山頂のガーデンミュージアムでみつけた小さな秋。

9.19コスモス

斜面一面のコスモスとブルーサルビアの混植も草原みたいでいい感じ。

9.19チカラシバ

イネ科の穂が秋の陽光を浴びてキラキラ。 晴れていると、何でもきれいに見える。 これはチカラシバ?

9.19センニチコウ

紫がかった深い色のセンニチコウ。 きれいに見えるのは空気が澄んでいるから?

9.19オミナエシ

睡蓮の池周辺にはオミナエシなどの野草も植えられていました。

9.19コムラサキシキブ

色づき始めたばかりのコムラサキシキブ。 名前の通りムラサキシキブより小粒で、その愛らしさにキュン。 思わず売店で買って帰りました。

9.19シュウメイギク

山頂は涼しいから、ピンクのシュウメイギクはすでに満開間近。


9.19ミッシェルブラス 9.19ジュリエットグレコ

9.19秋のバラ 9.19秋のバラ2

バラ園も初夏のように花がたっぷりとはいきませんが、思ったよりも咲いていました。 マクロで写真を撮っていると、ほのかないい香りに包まれて癒されます♪

花の端境期だったみたいで、花は少なめ。 全体にちょっと荒れた感じだったのは、たぶん今夏の異様なほどの猛暑と台風直撃から3日後だったためなんでしょうね。 強い陽射しの下で、職員の方はせっせと手入れをされていました。 母曰く「ベニシアさんがガーデンデザインしたら、同じような植物を植えてもぐっとセンスよくなりそう」。 うん、確かに。 カフェはオープン当時より充実して味もよくなっていたし、小さな旅気分を味わえていい気分転換になりました。 また違う季節に行ってみたいな。
Category: 日々の記録

物語性+日本語表現の妙 久生十蘭「十蘭万華鏡」

久生十蘭…字面でなんとなく名前を知っているだけで、この本を読むまで「ひさお じゅうらん」と読めなかった私(汗)。 ずいぶん昔の作家なのに、ここ何年か再出版されていて話題になっていましたね。 流行っているものにあまり興味をひかれない天の邪鬼なんですが、「P&M Blog」のpiaaさんのレビューで読んでみる気に。 本屋さんにあった唯一の久生十蘭の文庫本「十蘭万華鏡」を買ってみました。

なんなの、これ…江戸川乱歩や夢野久作系の推理小説家のイメージが強かったのに、想像していたのと全然違う! ひさびさに「小説を読む」ことを堪能しました もっと早く読めばよかったと後悔。 



戦前にパリに留学した”お嬢さん”たちの無軌道な生活を描いた「花束町一番地」、幕末に国後島にロシア艦船が寄港したゴローニン事件を題材にした「ヒコスケと艦長」、謎めいた女を巡るミステリ風味の「贖罪」、戦時中の男女の淡い交流を描いた「花合せ」、遣唐使一行の帰国船がたどった運命「三笠の月」、第二次世界大戦に巻きこまれた在外邦人のカップルを淡々と描いた「川波」など、12編を収めた短編集。

どれも本当におもしろかった。 その中でも、カラッと明るく乾いた文章で戦争の悲惨さを切りとった「少年」と、「ヒコスケと艦長」で描かれた日本人に不慣れなロシア人艦長の目を通してユーモラスに語られる(でも実は悲惨な)抑留生活、恋愛風味の「花合せ」が特に心に残りました。

9.19キノコ

とにかくジャンルも舞台も味わいも文体も、これでもかというほど幅広いことに度肝を抜かれました。 変幻自在、まさに万華鏡のような短編集です。 12編全てが違う切り口と味わいなんですよ。 それなのに、通して読むと、そこにあるのは誰にも真似ができない「久生十蘭らしさ」。 物語が唐突なほどスパッと終わっても、そこがまたなんともいえず独特でいい。 すごいよ、十蘭! あまりにも多彩すぎて「十蘭というのはこういう作家ですよ」とはいえないのがもどかしいです。

ちょっとクラシックというかレトロな語り口も独特なんですが、文章がすばらしくて、ひさびさに読むことそのものが楽しめる小説家に出会えてウキウキ。 今日も本屋さんで久生十蘭の文庫本を探したもののみつからず残念でした。

9.19ネコジャラシ


わが家の庭は夏の暑さと蚊の大群に恐れをなして、まったく手入れをしていなかったのですっかりジャングル状態。 ネコジャラシもわんさか…恥ずかしい。 ようやく蚊が少し減ってきたから(でもまだまだ健在)、そろそろ草ひきできるかな。

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秋晴れの比叡山へ

この3日間、気持ちのいい秋晴れが続いています。 比叡山頂のガーデンミュージアムのチケットをもらったので、青空に誘われて母を誘ってひさびさに比叡山へ。

9.19琵琶湖

今日は琵琶湖がきれいにみえています。 南の方はますます家が増えているな。

9.19ススキと琵琶湖

風になびくススキ。 いつのまにか、すっかり秋。 陽射しのもとでは暑いけれど(市内の最高気温は30℃)、カラッと乾いていて木陰では風が心地いい。

9.19睡蓮の庭

園内にはモネの「睡蓮」を再現した池があります。 開園してすぐに来たときはまだ造園したばかりで落ち着いていなかった庭が、自然な佇まいになっていました。 青空を写した水面に浮かぶ睡蓮の丸い葉。 そのまま印象派の絵になりそう。

9.19睡蓮

睡蓮もまだ咲いていました。 テキスタイルに写しとりたくなるような色と形。

敷地はそんなに広くないけれど、比叡山頂のすがすがしい空気を満喫して、のんびり花を眺めて写真を撮って。 うるさいBGMがないのが◎。 自然の中で気持ちのいい一日を過ごしました。 花の写真はまた後日に。


9.19夕焼け飛行機雲

家に帰り着いてしばらくすると、キレイな夕暮れ。 ベランダで日暮れをボーッと空っぽの心で眺める。 夕日色に輝く飛行機雲が幾筋もみえました。

9.19中秋の名月

みごとな中秋の名月が東山から昇りました。 サンマを焼いている間に大急ぎでベランダまで駆け上がってパチリ。 姪っ子たちも東京で夜空をみあげているかな?
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台風一過

今回の台風はすごかった…今までで一番激しい台風でした。 京都は内陸で盆地だから、台風の影響を受けることってほとんどないんですよ。 昨夜ブログを書いた頃から風雨が急激にきつくなり、それからは窓を叩く風と雨の音で眠れないほど。 朝方まだ真っ暗な時刻に耳慣れないメール着信音2連発でビックリして、寝ぼけ眼で確認すると「大雨特別警報」の文字が。 最大級に警戒しろって書いてあるから、あわててワンセグでテレビをみたけど、このあたりがどういう状況なのか全然わからない。 で、わが家は川から離れているし土砂崩れの心配もないしと、そのまま寝てました。

ひときわ風雨が激しいときに、新聞配達らしきバイクの音が聞こえてきて、新聞配達の人が突風にあおられて転倒しないかとドキドキ。 こんな荒天でも働いている人に感謝。 でも、これほどひどい天候なんだから予定通りに配らなくてもいいんじゃないかと、市内のあちこちで配達しているだろう人たちのことが本気で心配になりました。 朝のニュース映像で茶色に濁った水が逆巻く桂川と鴨川をみて、ぼう然。 それでも、市内では人的被害があまりなかったようでよかった。 今頃は北の方がまたたいへんみたいですね。 どうか大きな被害が出ませんように。

9.16シュウカイドウ

午後は急速に天気が回復して、空気が一気に涼しく爽やかになりました。 半袖では肌寒いくらい。

おつかいに行って、家の前だけササッと庭掃除して、靴を全部磨いてサンダルと秋物を入れ替え。 足元だけ秋が来ました。
Category: 日々の記録

幸せとは?を問われる 姫野カオルコ「リアル・シンデレラ」

中島京子「小さいおうち」が直木賞をとったときの選評を改めてネットで読んでみて、候補にあがっていて受賞を逃した作品に姫野カオルコ「リアル・シンデレラ」があったことを思い出しました。 話題になっていて気になったけど、懐が寂しくて文庫化を待っていて…すっかり忘れていました。 とっくに文庫化されていたんですね。 ちなみに、この回の直木賞候補作の中には、万城目学「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」や冲方丁「天地明察」もありました。

この表紙、すごいインパクト。 家の中で読むときはふだんはカバーをかけないんですが、これはカバーをかけて読みました(笑)。 内容はタイトルや表紙から想像していたものとはずいぶん違いました。



倉本泉(せん)は料理旅館の跡取り娘として生まれたにもかかわらず、妹が病弱だったために影が薄く、幼い頃から両親の愛情を十分に受けることができずに育つ。 周囲には良き理解者(あるいは同情者)もいるのだが、大人になっても常に表舞台から一歩引いたところにいる泉。 脇役に甘んじている泉に幸せはやってくるのか?

周囲の人々の証言から泉の人生をあぶりだすノンフィクション仕立ての小説です。 あまり文章が上手くないライターが書いているという前提なので、読む楽しさがちょっとそがれるような気がしました(「小さいおうち」と似た歯がゆさ)。 主人公が地味なので話もすごく地味、どこまでも。 それでも途中からは、いったい泉はどうなるんだ?というのが気になって、後半は一気読みでした。 ミステリではないけれど、伏線が巧みに張ってあって、終盤でそれが「あれ、これってひょっとしてあの…?」と浮かびあがってきます。 読み終わってから、もう一度どこかに伏線があったかどうか確かめたくてザッと目を通したくらい気になりました。 ただ、ラストがこれでいいよかったのかどうか…カタルシスがなかった。

みんなにかわいがられる華やかな妹に対して、誰かのお下がりの粗末な服ばかり着せられている姉の泉…という出だしはシンデレラそのもの。 しかし、読み進めていくうちに、女性にとっての幸せは「白馬にまたがった王子様が現れて結婚すること」だけなのか?という問いを突きつけられる小説です。 とはいえ、姫野カオルコは読ませるのが上手い作家なので、小難しさはありません。 大絶賛でない程度におすすめ…というか(態度曖昧)。


9.15雨の芙蓉

読了後姫野カオルコの近況が気になって(なんだか鬱になっていそうな感じがして)、ネットでインタビュー記事をみつけました。 ああ、姫野さんが一人っ子なのは知っていたけど、両親を一人で介護してすごくすごくたいへんだったんだなあ。 私にも遠くない未来にいつか来る日…鬱にならずに乗り越えられるだろうか。 小説そのものとは違ったことで胸に迫りました。


三連休なのに台風。 別にどこへ行く予定もなかったけど、なんだか残念。 ここのところ、また真夏日になったりとムシムシ蒸し暑くてウンザリ、 台風一過で爽やかな秋日和になるといいな。 あちこち深刻な被害が出ないといいけど。

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戦時下の庶民の生活 中島京子「小さいおうち」

直木賞作品の中島京子「小さいおうち」が文庫化されていたので読んでみました…て、最近こればっかり。 何を読んでいいのか勘が鈍っているから、芥川賞や直木賞受賞作は文庫化を待ってとりあえず買ってます。 読んでいる途中はおもしろいような退屈なような微妙な感じで、最後の章で印象がガラッと変わる小説でした。



昭和初期に東京に建てられたモダンな洋風住宅を舞台に、若い女中タキが美しい奥様にお仕えした日々――家政婦一筋に生きてきた老齢のタキの目から語られる、きらめくような懐かしい記憶のかけら。 刻々と厳しさが増す戦時下にもかかわらず、輝くような魅力を持った奥様のもとでの暮らしは意外なほど明るいものだった。 旦那様に連れられて現れた青年が、静かで充足したタキの生活に小さな波紋を引き起こして…。


読んでいる最中は正直、まどろっこしいような話の進展にときどき眠気を誘われたりしたのですが、最後の章で一転して(ほぼ予想したような展開であったにもかかわらず)不覚にも電車内でホロッとしました。 本を閉じてから後もしばらく悲しいような温かいような複雑な余韻があって、読後感はなかなかのもの。 戦争を背景にしていること+この読後感で直木賞をとったんだなと納得。 まどろっこしい感じがするのは、意図的に素人語り風に書いてあるからなんでしょう。 Amazonのレビューに最後がはっきりしないのがイヤだという意見がいくつかありましたが、「タキは○○と考えて××したのでした」なんて最後にハッキリ書いてあったら、思い切りしらけると思うけどなあ。

一応ほめてるんですけど、では「この小説が好きか?」と問われれば返答に困るのです。 なにかピタッとこない感覚。 よーく調べて書いたんだなということはわかるんですけど。 この人の作風がどうも好みに合わないみたいです。

もやっとした気分を抱きながらも、庶民が戦時下でも案外のんきに暮らしていたことなど時代背景を知ることもできるので、やっぱりこの小説は読まれるべきなのではないか、そんな風に感じました。 一読の価値はあります。

9.6ツユクサ

宮崎駿もインタビューで、当時はみんな「まさかアメリカと戦争するなんてことにはならない」と浮かれていた、そして気づいた時にはもう後戻りできないところまでいってしまっていたというようなことを言っていました。 危機感の欠如って日本人の得意技なのか? 福島の原発での汚染水問題だって、もうずっと前からわかっていたはずなのに政権が代わっても原発再稼働ばかり熱心で廃炉のことは放置。 それで、オリンピック招致の最終プレゼン直前になって突然、政府が乗り出すなんていかにもポーズって感じ(それでも何か対策をとる方が放置するよりずっといいけど)。 日本の政府はいつも外国から何か言われないと動かないのね。 オリンピック招致の空騒ぎに違和感たっぷりの私は、ひとりブツブツいってます。

ものすごい暑さの後は雨、雨、雨。 雨が上がったら突然、秋!? 何を着たらいいのか戸惑うばかり。


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