昭和の激動期を生きた人々 多島斗志之「離愁」

この本を手にとるまで、多島斗志之という作家をまったく知りませんでした。 ネットでうろうろしていて、いい評判をいくつもみかけたので文庫本を買いました。 単行本は「汚名」というタイトルで出版され、文庫化の際に「離愁」と改題されたそうです。 ひさびさに一気読み。 派手なストーリー展開ではないのに、先が気になってページを繰る手が止まりませんでした。

9.18離愁

美しいのに世の中のすべてに心を閉ざしたまま亡くなった叔母。 その叔母が他界してから30年後、生前にほとんど交流がなかった甥が叔母の謎めいた人生に興味を持ち、叔母の遺品にあった手紙をたどる中で、明らかになってくる叔母の知られざる青春の日々。 人を寄せつけなかった叔母にも、明るく輝く青春と恋愛があったのだ。 しかし、戦争へと突入する不穏な空気に叔母の恋愛は飲み込まれていく…。 そして、叔母の足跡をたどる甥は、思いもかけない事実を知ることになる。

第2次世界大戦前夜から戦中・戦後にかけての激動の時代とゾルゲ事件を背景に、昭和という時代をていねいにじっくり描いた長編小説です。 文庫本裏の紹介文には「渾身の純愛小説」と書かれていますが、そういう軽いノリの小説ではなくて、もっと大きな時代のうねりを描ききっていると感じました。 叔母の主観はまったくわからないまま、さまざまな人物が自分の視点からみた叔母を語っていく構成が秀逸で、ミステリではないけれどミステリっぽく先が気になって気になって。 思いがけない人が後半に登場することで、一方的に被害者・加害者と決めつけない多角的な視点になって、ストーリーに奥行きがぐっと増しています。 最後の最後までひきつけられました。 物語世界をたっぷり堪能して満足。

9.9スイレンボク

ただ…ただね、最後のページは、ワタシの感覚では違和感が残りました。 最後のページで感動できた人なら、別格扱いになるほど気に入ったかも。 最後のオチになんとなく釈然としなかったので、手放しで大絶賛!まであと一歩届かなかったなあ。 でも、叔母だけでなく時代に翻弄されたさまざま人の足跡をあぶりだし、時代の空気を描くのがこの小説の主眼だとワタシは思うので、読んでよかったです。

甥がよく知らなかったおばの人生を、おばの死後にたどる設定ということで、ずっと前に読んだ「嫌われ松子の一生」を思い出しました。 雰囲気はぜんぜん違うけど、あの小説も(生々しい描写があってもなお)結構よかったな。


今日の花は、母が買ってきたスイレンボク。 「茶花にもなる」と売っていたおばさんはいったらしいけれど、それほど風情のある花でもないです。 花の形はホトトギスに似ているんですが、名前の通り「木」なので全体をみると頑丈そうなイメージです。 ひさしぶりにまじめにサッカー日本代表の試合をみました。 ひさしぶりに勝てて、少しはいいイメージトレーニングができたんじゃないでしょうか。 前半はどうなるかと思ったけど。 GK下手だなあ。 シュンスケがさがってからの方がずっとチームとしてよくなってるようにみえましたが、岡ちゃんはどうしてシュンスケがそんなに好きなの? ずーっと前からシュンスケのプレーが嫌いなワタシはイライラしっぱなしだったわよ。

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