たあいない雑談の大切さ 山崎ナオコーラ「ここに消えない会話がある」

山崎ナオコーラってどんな作家なのか、ずっと興味がありました。 名前が変わってるし、デビュー作は「人のセックスを笑うな」なんていうタイトルだし。 すごく若い感じの小説なのかなとか、とんがりすぎてたらついて行けないかなと躊躇してたんですが、図書館で新作の「ここに消えない会話がある」を借りてみました。

9.18消えない会話

あれ…意外に普通じゃないの!というのが正直な感想。 名前やタイトルは奇をてらってる感じ全開なのに、文章は普通に読みやすくて素直でした。 内容は、テレビ欄のデータを新聞社に配信する職場の小説です。 社員と派遣社員混成の小さな班の中で、日常の厳しい業務の合間に交わされる小さな会話の断片。 それぞれが少しずつ相手のことを考えたり、職場での自分の立場や将来を考えたりしながら、たあいない「おしゃべり」が続くだけの小説です。 登場人物6人が特に親しくなるわけでもなく、でもギスギスしない人間関係をおしゃべりを通して構築していて、読むとちょっとホッとした気分になれました。 深くどーんと迫ってくるテーマがある小説ではなくて、コーヒーブレイクのような感じ。 それにしても、派遣社員の待遇はキツイなあ…格差あるのに悪びれずに働いている20代の子たちがけなげに思えたりしました(それは小説の本筋とは違うことなんだけれど)。

視点となる人物が変わったりシーンが変わるたびに行間をとるスタイルと、ところどころに著者による箴言のようなものが入っているのが文学的にちょっと変わっていて、そういう点では芥川賞ぽい小説の書き方だと思います。 何度か候補になって、まだもらっていないようですが。

9.20サンジソウ

そういえば駆け出しの頃は、「仕事ができたらメールで送って終わり」なんていう時代ではなかったから、締切日にはフロッピーもって行かなくてはいけなくて、それ以外にも打ち合わせが頻繁にあったり、写真の切り出しに呼びつけられたりと、たびたび事務所に顔を出す用事がありました。 当時は面倒くさいなあと思っていたんですが、いまから振り返ると、みんなで集まってワイワイしゃべるのがすごく楽しかった。 資料をコピーしたり写真切ったり行数を数えてる横で、ほかの人たちがおしゃべりしているのを聞くのはおもしろかったな。 いまは通信手段が便利になった分だけ、あんなに熱気のある仕事場に遭遇することがなくなって、ちょっと寂しような物足りないような。 そういう点でも、「ここに消えない会話がある」のような職場が現在もどこかにあってくれたらなと思えました。


上の写真の花、わが家では「サンジソウ(三時草)」と呼んでいますが、ネットで調べると「ハゼラン」「コーラルフラワー」「サンジカ(三時花)」となっています。 そろそろ咲いているかなと、2時過ぎに庭に出てみたんですが、まだつぼみ。 ホントに3時頃にならないと咲かないんですよ。 かすみ草くらいの小さな小さなピンクの花のまわりに、ドットのような真っ赤な実を散りばめたところは、雑草とは思えないほどかわいい。

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