オランダ絵画から紡ぎだされた小説 デボラ・モガー「チューリップ熱」

なんの予備知識もなく図書館でたまたまみつけたデボラ・モガー「チューリップ熱」。 タイトルをみて、ひょっとしてチューリップを媒介にして広まる病気の話?なんて想像しながら取り出してみると、表紙の装丁が退廃的だけど素敵。 パラパラとページを繰ると、いくつもオランダ絵画のカラー画像が入っていて美術書みたい。 これが小説?と気になって借りてきました。

10.31チューリップ熱

スペインから独立して市民階級が台頭した17世紀のオランダを舞台に、豪商の若き妻と肖像画家の不倫の顛末を描いた小説です。 美しく敬虔なカトリック教徒だった人妻は画家との道ならぬ恋に溺れ、やがて望まない妊娠をしてしまった女中を利用して年配の夫から逃れようと画策するが…。

いい意味でも悪い意味でも、ものすごく映画的な小説というか、映画を小説化したかのような感じを受ける本でした。 スピルバーグが映画化権をもっているというのもうなずけます。 この本なら、素人目にも脚本化するのもとても簡単そうに思えます。 前半が少々だるくて、深みがほんの少し足りないような読後感でしたが、エンターテイメントとしてはおもしろく読めました。 オランダ絵画からインスパイアされた小説で、かつ各章の前に当時の格言や画家の言葉を入れた額縁のような構成(当時は絵と格言で構成された本があったとか)も凝っていたため、なんとなく文学的なものを期待していたのですが、これは完全にエンタメ系でした。

一気に興隆してきた市民階級の需要を受けてオランダ絵画が描かれた時代背景、トルコから伝来したチューリップが人気となり、やがて投機対象となりチューリップ・バブルに湧いた歴史的事実が、この小説を通してすんなり頭に入りました。 最近みた「ルーブル美術館展」や、中野京子「怖い絵」シリーズの影響で、これまでそれほどオランダ絵画に興味を持っていなかったワタシも楽しめたのかも。 たしか「怖い絵2」に載っていたと記憶しているんですが、年寄りの金持ちと若くて不幸そうな顔つきの妻のオランダの肖像画が、ものすごくこの小説に似通っていて、ひょっとして著者はあの絵を見て小説を考えついたのでは…なんて想像したり。 さしはさまれているさまざまな絵から紡ぎだされたような小説なので、フェルメールをはじめとする17世紀のオランダ絵画に興味がある人に特におすすめです。

11.1センリョウの実

センリョウがすっかり色づいています。 例年よりずいぶん早いなあ。 お正月までもつんだろうか?

みなさん、いつも拍手をありがとうございます。 ちょこちょこでかけて買い物したり友だちと会ったり羊毛チクチクしたりしてるんですが、なんとはなしにブログはサボり気味。 集中力に欠けて読書もほとんど進まず。 これがトシってやつらしいです…とほほ。 連休明けはきつい締切の仕事が重なってるのに、大丈夫なんだろうか、ワタシは。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する