遅れてきたカウボーイの旅路 コーマック・マッカーシー「すべての美しい馬」

なんとなく気になったハヤカワepi文庫の新刊「越境」。 買って帰ってよくよくみたら、コーマック・マッカーシーの国境3部作の2作目と書いてあって、あれれ失敗した! やっぱり最初から読んだ方がいいだろうと第1作の「すべての美しい馬」をさらに買い求めました。 最後まで読んでみたら、「越境」は「すべての美しい馬」の続編というわけではなくて、主人公も別だとわかりました。 なんだ…。 ただ3作目の「平原の町」で第1作と第2作の主人公が登場するそうです。 ということで、「越境」が気になる人はとりあえず「越境」を先に読んでも問題ないみたいです。

12.7すべての美しい馬

物語は主人公ジョン・グレイディの祖父の棺を前にして唐突に始まります。 祖父が守ってきた牧場が人手に渡ることになると知った16歳のジョン・グレイディは、親友ロリンズとともに愛馬を駆ってメキシコへと向かいます。 途中で正体不明の少年が2人の旅に強引に割りこみ、3人で違法に国境を越えてメキシコに入国。 荒れ地をさまよううち、少年が馬を失ったことから、とんでもない災厄に巻きこまれていくことに…。 馬を愛し、牧童として生きたいと願うものの、生まれてくる時代が少しばかり遅すぎたジョン・グレイディの魂の旅を描いたハードボイルド風の小説です。

最初の100ページくらい、さすらいの旅の部分は眠気を誘う何らかの特殊効果が埋めこまれているのかと疑いたくなるほど、えらく読むのに時間がかかりました。 叙情的でゆったりとした前半とは打って変わって、後半は怒濤の展開であっというまに読了。 物語にひきこまれたというのとは少し違うんですが。 唐突に暴力的な世界にぶちこまれて(この小説のストーリーはすべて唐突なんです)、「こういうのはあんまり好きじゃないなあ」と思いながらも読み続けてしまいました。 それだけ小説に力があるっていうことかもしれません。

12.7小さな紅葉

この小説は文体がものすごく独特です。 句読点がないまま何行にもわたって一文が続き、会話には「」がありません。 説明も心理描写もありません。 ただただ起こったことを描写するだけ。 かなり読みにくいのだけれども、反面、このねじくれた文体が小説に強さを与えていて、読み終わってみると、ひょっとしたらこの小説はこの文体がすべてなんじゃないかという気さえしました。 ストーリーは通俗的というか、全体を俯瞰すればハリウッド映画によくありそうな話です(実際に映画化されているそうです)。 現代に舞台を移した西部劇をベースに、時代がかったロマンスの甘みとピカレスクの苦みのテイストをまぶしたハードボイルドという感じ。

全米図書賞を受賞したベストセラーだそうですが、ストーリーは意外に陳腐。 女性の描き方も薄っぺらいし、あんまり好きなタイプの小説じゃないんだけど、馬の美しさ、馬への愛情、メキシコの乾いた風景は強く心に残りました。 ひたすら馬に乗って、夜になれば焚き火に当たりながらコーヒーを飲んで煙草をくゆらす。 男臭いシーンが多くて、アメリカ人なら古き良き時代への郷愁、ニヒルな男の世界への憧れでうっとりするのかもしれません。 裏表紙の紹介文に「青春小説の傑作」と書かれていましたが、この主人公はどう考えても16歳とは思えません。 途中で主人公の年齢を忘れて、漠然と20代後半くらいの男を想像しながら読んでいて、最後の方で「16歳」と何度も出てきて、「うっそー! こんな16歳、いるわけないだろ」と突っこみたくなりました。 こんなに寡黙で自分のするべきことがわかっていて、強いのに罪の意識も持てるようなまじめな16歳っている? と、文句たらたら言いながら、しばらくしたら「越境」を読むつもり。 好きじゃないけど、嫌いでもないので。

■sifakaさん、はじめまして! 拍手とコメントをありがとうございました! いっぱい拍手してくださっていたんですね、本当にありがとうございます。 コメントを残してくださって、とても嬉しかったです。 アカリスの写真をみました。 かわいいですねえ。 リスってあまりにもかわいいから、どんな風に作っても本物よりかわいくできないんですよ。 リスを作るとき、このリスの写真を参考にしました(←かわいくて萌えますよ~。動物好きの方はぜひ!)。 最近ちょっとサボりペースなんですが、また遊びに来てくださいね!

■とりほさん、こぎん刺しでエールを送っていただいてホントに感謝です! あれがなかったら、まだ放置していたかも(笑)。 近ごろ羊毛沼にはまってしまって…こぎん刺しの在庫消化は年が明けてからかな。 とりあえず、材料だけは着実にためこんでます。

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