無名の郷土画家発掘の裏にあるもの 篠田節子「薄暮」

ブログを書くとたびたびフリーズして記事が消えてしまうため、ブログを更新する気力がめっきり落ちてしまいました。 自動バックアップにしておいてもごっそり消えてしまったりして、画面を見つめて夜中にひとりゲッソリ。 だいたいブログ以外ではあまりフリーズなんてしないし…どうなってるんだろう? どう考えてもIE8にしてからの不具合、ブラウザの問題と思われるけどPC音痴にはわからない。

さて気を取り直して、何度目かの書き直し(泣)。

篠田節子の小説を読むのはひさしぶり。 本当は新興宗教のことを書いているという「仮想儀礼」が読みたかったんだけど。 上下巻に分かれていて結構な値段になるので、単行本を買うのはちょっと…。 図書館でも人気で、予約をして借りたのでは上下巻をバラバラの時期に読むことになりそう。 それもイヤだなということで、文庫本化されるまで気長に待つことにしました。 そこで、最新刊らしき「薄暮」を図書館で借りてきました。

2.7薄暮

中央画壇に背を向け、新潟の片田舎で絵を描き続けて無名のまま亡くなった画家。 その作品をたまたま目にしたエッセイストが雑誌に書いたことから世間に知られることになり、雑誌編集者・橘は地元の人々の熱意に引き寄せられるようにして画集をだすために奔走しはじめる。 ところが、献身的に画家を支えた未亡人から思いがけない横やりが入り、さらに画家を経済的に支えた旦那衆も絵画の値上がりを目の当たりにして足並みが揃わなくなり、あやしげな画商の姿もちらついて…。

無名の貧乏画家に尽くし続けた女の情念、そして美術品をめぐる人間の欲をえぐった長編小説です。 未亡人が抱えるどろどろした複雑な思いが強烈で、新潟の陰鬱な冬空を思わせるような重苦しさに包まれた話なのですが、ミステリ風の味つけもあって意外にさっくり読めました。 突然の絵画ブームのしかけ、画商の存在や著作権のことなど、一般人がうかがい知ることのできない美術界の舞台裏が、かなりリアルに(たぶん)描かれていて興味深かったです。 人間の嫌な部分が次々に出てくるから読み心地は決して良くないし、読み終わった後に「人生観が変わる」といった建設的な内容ではないけれど、それでも読ませてしまうのは小説家・篠田節子の手腕ですね。

人間が胸の奥に抱えるどろどろした情念をテーマにしていること、ふだんは知ることができないさまざまな業界の裏側をのぞきみる面白さ、読者をひきつけるミステリアスな展開(ミステリではなくて)、そして読者をやるせない気持ちにさせる物語の最後を必ず一筋の光を感じさせるシーンで締めくくる親切心…ああ、これが篠田節子の小説なんだと独りごちしました。 重くて知的なエンターテイメントという感じ。 前回読んだ「ロズウェルなんか知らない」がちょっと意外なほど軽くて作風が変わったのかと思ったのですが、本質的に変わってなくてファンでもないのに妙に安心しました。


ああ、やっと最後まで書けた…またフリーズしたらイヤなので、とりあえずアップ。
Category: 篠田節子

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