静かに語られる再生への日々 大島真寿美「戦友の恋」

大島真寿美という作家の名前さえまったく知りませんでしたが、ネットをさまよっていてなんとなく気になり、図書館で予約しました。 下で紹介した角田光代のどろどろとした「森に住む魚」の対局ともいえる、あっさりとした水彩画のような味わいの小説でした。

3.15戦友の恋

表紙の色のトーンはちょうどいい感じなんだけど、絵があんまり内容に合ってないなあ。 少女マンガっぽい表紙ですが、もう少し「大人」の話です。 若い頃の気力体力で仕事も恋も強引にでも押していくイケイケな気分がなくなる年齢=30代後半~の女性なら、とても共感できると思います。

漫画の原作者である佐紀と担当編集者・玖美子は、互いの駆け出しの頃から仕事上で支え合うだけでなく、仕事を離れても友だちとして多くの時間を一緒に過ごしてきた間柄。 玖美子はその関係を友だちよりも深い絆で結ばれた「戦友」と呼んでいた。 ところが、玖美子はあっけなく佐紀の人生から消えてしまう。 深い深い喪失感からの再生、ゆっくりと進む日々を静かで清澄な筆致でたどる長編小説です。

3.19クリスマスローズ 3.19クリスマスローズ2

暗い内容だったら嫌だと思って警戒していたんですが、ぜんぜん違いました。 この小説には号泣も嗚咽も後悔もありません。 主人公が涙を流すシーンもほとんどなかったように思います。 涙を押し売りするような話がもてはやされている風潮とは真反対に、とても静かな筆致が心地よい大人の小説でした。 日々の仕事に向かいつつ、周囲の人たちと少しずつ関わり、その人たちを喪うかもしれない恐れを胸に抱えた主人公・佐紀。 その淡々とした暮らし方から、かえって喪ったものの大きさが伝わってきました。 仕事のパートナーでもある大切な友人を失うって、どれくらい深いあなぐらに落ちこんだ感じになるんだろう。 幸いにもいままでそうした喪失感を経験していないのだけれど、ワタシは耐えられるだろうか。 みんな長生きしてよね、お願いだから(涙目)。


昨年買ったクリスマスローズは咲き始めは白で、時間がたつとだんだんチョコレート色に変化していきます。 たくさん花がつくと、1株でいろんな色合いになるのがいい感じ。 本日は、風邪ひき中にやりかけたものの、体調不良で集中力・決断力が足りずに放置していたアクセサリーを2本完成させました。 微々たるものだけれど、ひさびさに達成感を味わえました。 この調子で明日はこぎん刺し、明後日はニードルの赤ちゃんをなんとか完成させたい!(あくまで希望ですが)

ただいま読書中の「警官の血」、おもしろい! 上・下巻の長編だから遅読のワタシは一気には読めず、寝不足になるのが困るけど。
Category: 大島真寿美

コメント

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2011/06/02 (Thu) 01:57 | 藍色 #- | URL | 編集

藍色さん

こんばんは。
コメントをありがとうございます。
この小説、よかったですよね。
これがお好きなら「ピエタ」もおすすめです。
藍色さんのBlogにも、そのうちお邪魔しますね。

2011/06/05 (Sun) 23:06 | vogel #W67uyqfM | URL | 編集

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2011/06/02 (Thu) 01:42 | 粋な提案