底なしの孤独と寂寥感が漂うSF 映画「月に囚われた男」

このところ、みたいと思っている映画をことごとく見逃しています。 今日も強い雨にひるんだけれど、ひさびさに映画館へ。 低予算映画ながら意外に評判がよさそうなSF映画「月に囚われた男」をみてきました。

公式ホームページにリンクを貼っていますが、ワタシは予告編もみず予備知識ゼロでみました。 当然といえば当然ですが、ネタバレなしのまっさらな状態でみるのがおすすめです。 興味がある方はあまりあちこちの映画評をみない方がいいですよ(かなりネタバレしているものが多いので)。 ホームページの予告編でも半分ネタバレしてますからね。 そこまではばらしてもいいという自信があるのかもしれませんが。

5.7月に囚われた男

サム・ベイルは資源掘削会社と契約して、妻子を地球に残して月の基地に単身赴任中。 月の裏側にある基地で、彼はたったひとりで働いている。 地球とは通信機器の故障で直接交信ができない状態が続き、話し相手は人工知能搭載のロボット・ガーディだけだ。 孤独でまったく変化がない単調な仕事の毎日を、植物栽培やミニチュアの町作りをしてなんとかやり過ごしてきた。 契約期限の丸3年まであと2週間となった頃、サムは幻聴や体調不良に悩まされ始め、仕事中に事故を起こしてしまう。 意識が戻ったときは基地内でガーディの介護を受けていた。 そして、ガーディが交信不能なはずの地球の企業に直接連絡を取っているのを立ち聞きしてしまったサムは、基地内に違和感を覚えて…。

ストーリー展開は意外にもかなりゆっくりで、サスペンスもそれほどでもなく、ハリウッド映画大好きな人には退屈かもしれません。 でも、いまどきCGではない月面基地の映像&人間型でないロボット・ガーディがレトロ感いっぱいで、それが不思議な味わいを醸しだしています。 月面のモノクロの世界と、月面ローバーががたがたと走る単調な映像が、静まりかえった世界に取り残された男の寂寥感をうまく伝えていると感じました。 真実にたどり着いたときのサムの耐えがたい孤独、飛び去っていくカプセルを見送るうつろな瞳が切なくて、会社のやったことの非道さを言葉ではなく映画らしい方法でうまく描写していました。 ああ、ネタバレせずにこの映画について語るのはむずかしいなあ。 「自分」の存在とは何なのかという深い問いとともに、どこまでも膨張していく人類のエゴと労働搾取を糾弾する社会性のあるテーマを扱った、小品だけれどなかなかにいい古典的SF映画の佳作です。 デヴィッド・ボウイの息子が監督かあ…と、ボウイの全盛時代を知っているワタシはそんなところでも感慨深かったです。
Category: 映画

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