深夜の道で

先日、ちょうど日付が変わる頃、深夜に堀川通りを雨の中をひとりで歩いていて、晴明神社の前を通りがかりました。 鳥居奥の門は閉まっていましたが、社殿両側には常夜灯がともっているようでした。 神社にお参りするのは「喪が明けてから」と聞いたので、1年間は鳥居をくぐることができません。 鳥居の前で一礼しました。 たいして宗教心があるわけではないけれど、日本の八百万の神さまに私の思いを聞いて欲しかった。 いつか救われる日が来ると言って欲しかった。

この十数年の間に、兄一家に次々に起こった悲しいことをどう考えればいいのか、いまもまったくわかりません。 もうすぐ兄の一周忌。 私と末の姪の誕生日が兄の命日だと考えながら神社の前に立ち尽くしていたら、割りきれない思いが心の奥底から噴きだしてきて。 一生もう二度と、姪と私は自分の誕生日を笑顔で祝えないのだろうか。

片道3車線の大通りである堀川通りの向こう側、晴明神社の向かいにある一条戻り橋の方を振り向いて、「帰ってきて。お兄ちゃんなら怖くない。だから帰ってきて」そう強く祈った。 でも、夜の暗がりのなか、一条戻り橋をふさぐように小型トラックが3台並んで駐車しているのがみえるばかりでした。

事故の前日に戻りたい。 平穏無事であるのが当たり前と思っていた、そう無邪気に思っていた自分に戻りたい。 そうでないなら、高齢の両親の毎日の世話も、姪たちのために戦っている保険支払いを巡るトラブルも、全部ぜんぶ投げ捨ててどこか遠くへひとりで逃げてしまいたい。 そんな風に思ってしまう私を許すと、誰かに言って欲しかった。 激しい雨で人通りが絶えた深夜の歩道は、傘に隠れて思い切り涙を流すのにちょうどよかった。 晴明神社の神さまに、私の声は届いただろうか。
Category: 日々の記録

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