戦争を語り伝えたいという熱気 百田尚樹「永遠の0」

本屋さんでみかけてすぐに文庫本を買ったのに、何度か読みかけては挫折した百田尚樹「永遠の0(ゼロ)」。 特攻隊の話は重そうだし…とずいぶん長い間読まずにいました。 でも、日本人として戦争から目を背けてはいけないと思えて、終戦記念日から読み始めました。 小説としていろいろ欠点が目についたのですが、それでも後半は話に引きこまれて、ひさびさの一気読み。 戦争世代の父も夢中でむさぼり読んで、あっというまに読了しましたよ。


永遠の0 (講談社文庫)永遠の0 (講談社文庫)
(2009/07/15)
百田 尚樹

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零戦での特攻隊として終戦直前に亡くなった祖父。 姉の依頼でいやいやながら、祖父の足跡を調べるために戦友たちを訪ね歩く主人公は「優秀なパイロット」「卑怯者」と対立する評価に戸惑い、祖父の真実の姿を探しはじめる。 絶対に生きて妻の元に返ることにこだわり続けた男は、なぜ特攻となることを受け入れたのか? 姉弟はやがて思いがけない事実を知ることになる…。

小説としていいかどうかと尋ねられたら、ハッキリ言ってすごく下手です。 小説を読み慣れた人は、主人公である姉弟の安直で薄っぺらい会話や、老人なのにあまりにも現代口調であることなど、そこかしこで気持ち悪さにムズムズすること間違いなし。 最後の最後のどんでん返し(?)も「う~、そこまで書かなくても。寸止めで暗示するくらいで終わった方が余韻があったのに」と、サービス精神満点過ぎたところが残念。

でも。 でもなのです。 そういう下手な語り方にもかかわらず、ひきこむだけの力がある小説でした。 力というよりも「熱気」かな。 「どうしても書かなくてはいけないことがある」という著者の思いの熱量が半端じゃなかったのだと、あとがきを読んで納得しました。 書きたいことなんてなにもないけど、なんとなく作家になりたいといった軽い動機で書かれたものとは自ずと違うのだと感じました。

11.03赤い実


太平洋戦争に関するノンフィクションや戦記ものをまったく読んだことがない人に特におすすめ。 そういうものをすでに読んだ人には内容的に既視感がありそうですが、歴史の教科書に書かれていることくらいしか知らなかった私は、戦況や前線での戦闘に関しても知るところが多かったです(無知すぎ?)。 零戦のなにがそんなにすばらしいのかも全然わかっていなかったのが「なるほど」と深く納得しました。 飛行機を操縦している感覚や空中戦の緊迫した描写は、主人公姉弟の気持ち悪い会話とは雲泥の差といえるほどすばらしいし。

欠点が多い小説ながら、読んでよかったと心から思いました。

コメント

こんばんは
角田光代さんから検索して、お邪魔しました。
癒される文章にほっとしています。
ありがとう。
同じ京の空の下にいるのが嬉しいです。
明日は実家に泊まり母の病院に行きます。
出来事をこなしていきますわ。

2011/11/06 (Sun) 18:54 | まことん #- | URL | 編集

まことんさん、はじめまして!

コメントをありがとうございます。
好き放題に書いている文章でちょっとでもほっこりしてもらえたとしたら、よかった。
角田光代が大好きっていうのでもないのですが、結構いろいろ読んでいます。
お母さまが入院されているのですね。
寒暖の差が激しいので、まことんさんご自身もお疲れがでませんように、くれぐれもお体を大切になさってください。

また、本の感想など教えてくださいね。

2011/11/07 (Mon) 18:10 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

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