青春小説の王道 三浦しをん「風が強く吹いている」

三浦しをんは好みではないのだけれど「まほろば駅前多田便利軒」が意外におもしろく読めたので、話題作だった「風が強く吹いている」を続けて読みました。



箱根駅伝を目指す弱小陸上部のユニークな面々。 ボロアパートの合宿所を舞台にして、元旦の駅伝出場へ向けて切磋琢磨し、ときにいらだったりケンカしたり、お酒を飲んでバカ騒ぎをしたり恋をしたり。 そして、運命の元旦。 はたして弱小チームはゴールにたどり着けるのか。

箱根駅伝を真正面から描ききった正統派の青春小説です。 すがすがしい読後感のお約束はきっちり守ってもらえますので、安心して読めます。 それだけに波瀾万丈なようで予定調和でもあるのですが、こういう小説は四の五の言わずに読んで楽しければそれでいい。

登場人物が多くて、著者独特のノリについていけないところがあって、前半はだるくて眠くて。 そして最後まで、誰にも感情移入できないまま。 しかし、後半の駅伝の描写は疾走感がびしびし伝わってくるテンポの良さで、とてもよかったです。 走っているときの、それぞれの選手の視点がリアルに感じられて、実際に駅伝を観戦しているような爽快感がありました。 確かに、駅伝の選手たちの顔に当たる風が体感できたような気分に。 運動音痴で走るのが何よりも苦手な私にとっては、それだけでも読む価値はありました。 ああ、いいなあ、走る人ってこんな感覚なんだって。
Category: 三浦しをん

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