不穏な気配 鹿島田真希「冥土めぐり」

芥川賞受賞作の鹿島田真希「冥土めぐり」は本屋さんでさんざん迷った末、表紙にひかれて単行本を購入。 著者はドストエフスキーにのめりこんで日本正教(←ずっとロシア正教だと思っていた)に改宗して、夫も正教の聖職者だと報道されて、いったいどんな作品を書く人なんだろうとずっと気になっていたんです。 

芥川賞だからなあ…と身構えて読んでみると意外にそうでもないようで、最後まで読むと(併録されている短編も合わせた読後感は)「やっぱり芥川賞」なのでした。



生活破綻者の母と弟の呪縛から逃れるように、平凡な公務員の同僚と結婚した女性が主人公。 結婚してまもなく脳の病を患って体の自由がきかなくなった夫を介護しながら働く、地味な毎日を送っている。 ある日、母親が執拗なまでに繰り返し語っていた優雅な高級リゾートホテルが格安の保養所になっていることを知り、夫とともに1泊の旅に出る…。


えっと、ひと言でいうと、無垢な夫に魂を救われるという話…でいいんでしょうか? なにか不思議に要約しきれないものを抱えたような感じがする作品です。描いている内容はしごく真っ当で健全…なはずなのに、どことなく不穏なものが背景に漂っていて、でも実際には何も起こりません。 ひどい人たちとしてお母さんと弟のことが何度も作中で主人公の視点で語られるんだけれども、どうしてそこまで反発するのか、主人公に感情移入できない浅い描き方に思えてなりませんでした。 なんとはなしにつかみ所のない、モヤッとした読後感が独特といえば独特。 好きか嫌いかと聞かれれば、ビミョウ。 もう一冊読むかと聞かれたら、うむむ。 という感じ。

サッと読むと読みやすそうなのに…やたらと句読点が多い、平易な言葉で書かれているわりに不思議にちょっと読みにくい文体です。 ポツポツと切れた文体はこの作品を描くために使ったもののようで、併録されている短編はわざとだらだらと続くような文体でした。 併録の短編はヘンタイ的な世界観と粘っこい視線がひと昔前の「これぞ芥川賞」みたいで(単に私のイメージとしてですけどね)、これを先に読んだら本を途中で放りだしてしまっただろうな。

10.18白いマツムシソウ

清里で咲いていた名残のスカビオサ(マツムシソウ)。 薄紫のマツムシソウが好きだけど、真綿色もいいなあ。

清里から帰ってきて、京都の家の中が寒くて母がひどい風邪をひき、それが父にうつって、二人ともお医者さんに行ったのにいっこうに風邪は治らず。 ついに昨日から私も風邪。 来週はキビシイ日程の仕事がびっしりなのに。 今週中に治さないと(汗)。


■いつも拍手をありがとうございます。
■とりほさん、完全燃焼よかったですね。 厳しかった夏の疲れがドッとでませんように。 柳生真吾さんは残念ながらこの日はいらっしゃいませんでした。 声がソックリな方(兄弟かな)がいらして一瞬「オッ」と思ったんですが(笑)。

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