実は芥川賞っぽい 磯崎憲一郎「終の住処」

前の記事で西加奈子の「炎上する君」を「和風マジックリアリズム」と書いたら、昨年読んだ磯崎憲一郎「終の住処(ついのすみか)」を思い出しました。 芥川賞受賞で話題になっていた短編が文庫化されたので購入。



「妻はそれきり11年、口を利かなかった――。」なんていう帯のキャッチフレーズをみて、中年サラリーマンが主人公というから直木賞っぽい作品だと思いこんでいましたが、読んでびっくり。 正統派芥川賞作品。 ストーリーではなく、文体と文章表現にこだわった小説でした。 最初から最後まで改行がないまま、ごく短い短編の中で何十年ものときを描いているんですから。

短いからサッと読んでしまって、何日か経ってから「何かに似ているなあ」と後から気になって…考えてみたら、これってガルシア=マルケスの「族長の秋」へのオマージュなんだろうなと。 小説の長さはずいぶん違うけど、改行なしという文体のが同じだし、主人公の「俺様」目線で独りよがりに語られる話の滑稽さとその後に漂う哀しさや孤独感。 そんな風に「族長の秋」と対比させて考えると、読んでいたときよりも読み終わってから味わいがじわじわ増した感じ。 この作品にガルシア=マルケスのスケール感を期待してはいけませんけど。 好きかどうかといえば特に好きじゃないけど、それなりにおもしろかったです。

1.9南天の実


一昨日、本屋さんでみつけた柳広司「ジョーカー・ゲーム」の文庫本。 父が好きそうと思ってすすめたら、はまってます。 やっぱりね。 私が読み始めた「横道世之介」も、つかみはバッチリ。

仕事は集中力が欠如してなかなか進まず。 そんなときは、ちょっといつもと違う料理をつくるのが楽しい(単なる現実逃避)。

今日の晩ご飯は豚肉+ゴボウたっぷり+エリンギ+白菜+コンニャク(要するに冷蔵庫で余っていたもの)の豆乳鍋。 いつもは出汁+豆乳なんだけど、なんとなく味つけが物足りないので中華風にしたら美味しかった! 野菜を少量の水で炊いてから豆乳をたっぷり入れ、豚肉に火が通るまで加熱。 味つけは味噌(うちは山吹味噌だから)やや多め、豆板醤は隠し味にちょこっと入れて、醤油をほんの少し、胡麻油・すりごま・小口切りのネギを最後に加えてできあがり。 いままでつくった豆乳鍋よりずっと美味しくできました。 小さな満足♪

■拍手をありがとうございます。

コメント

更に高みを目指せる作家かな?

終の住処。
「abさんご」ほどじゃないですが、びっくり感ありましたね。
ただ、内容はワタシにはあんまり分からなかったかも。
ちょっと難しい・・・。
良くかんで食べるように何度も読んでみたり、期間を
開けて再読したりすると、だんだん分かってくるかも?
新作『往古来今』の方が面白かったかな。

磯崎さんの作品の感想をいろいろ読んでいたら、
http://birthday-energy.co.jp/
ってサイトでかなり奥深い分析をしていました。
詳しくはそのサイトの主に訊いて頂くとして、
書いてある分析内容から、なんとなく終の住処の様な
作品を書いちゃう理由が分かる気がします・・・。

2013/05/30 (Thu) 23:05 | ゴルゴンゾーラ #DvI991tw | URL | 編集

ゴルゴンゾーラさん、コメントをありがとうございます。

磯崎さんの新作『往古来今』の方がおもしろいんですね。 新聞の書評を読んでもおもしろそうだったので、読みたい本リストにメモしておきました。 ありがとうございます。

紹介してくださったサイトは占い(?)で作家を分析されているのですね。 正直、なじみのない言葉で分析されていてちょっとよく分からなかったのですが。
磯崎さんって芥川賞をとったとき、ただのサラリーマン小説みたいな感じで宣伝されたので誤解されてて、『終の住処』を読んで気の毒に思いました。 一冊読んだだけですが、卑近なことを土台にして前衛的でおもしろいことを試みている小説家という印象ですね。

2013/06/02 (Sun) 21:54 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

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