戦時下の庶民の生活 中島京子「小さいおうち」

直木賞作品の中島京子「小さいおうち」が文庫化されていたので読んでみました…て、最近こればっかり。 何を読んでいいのか勘が鈍っているから、芥川賞や直木賞受賞作は文庫化を待ってとりあえず買ってます。 読んでいる途中はおもしろいような退屈なような微妙な感じで、最後の章で印象がガラッと変わる小説でした。



昭和初期に東京に建てられたモダンな洋風住宅を舞台に、若い女中タキが美しい奥様にお仕えした日々――家政婦一筋に生きてきた老齢のタキの目から語られる、きらめくような懐かしい記憶のかけら。 刻々と厳しさが増す戦時下にもかかわらず、輝くような魅力を持った奥様のもとでの暮らしは意外なほど明るいものだった。 旦那様に連れられて現れた青年が、静かで充足したタキの生活に小さな波紋を引き起こして…。


読んでいる最中は正直、まどろっこしいような話の進展にときどき眠気を誘われたりしたのですが、最後の章で一転して(ほぼ予想したような展開であったにもかかわらず)不覚にも電車内でホロッとしました。 本を閉じてから後もしばらく悲しいような温かいような複雑な余韻があって、読後感はなかなかのもの。 戦争を背景にしていること+この読後感で直木賞をとったんだなと納得。 まどろっこしい感じがするのは、意図的に素人語り風に書いてあるからなんでしょう。 Amazonのレビューに最後がはっきりしないのがイヤだという意見がいくつかありましたが、「タキは○○と考えて××したのでした」なんて最後にハッキリ書いてあったら、思い切りしらけると思うけどなあ。

一応ほめてるんですけど、では「この小説が好きか?」と問われれば返答に困るのです。 なにかピタッとこない感覚。 よーく調べて書いたんだなということはわかるんですけど。 この人の作風がどうも好みに合わないみたいです。

もやっとした気分を抱きながらも、庶民が戦時下でも案外のんきに暮らしていたことなど時代背景を知ることもできるので、やっぱりこの小説は読まれるべきなのではないか、そんな風に感じました。 一読の価値はあります。

9.6ツユクサ

宮崎駿もインタビューで、当時はみんな「まさかアメリカと戦争するなんてことにはならない」と浮かれていた、そして気づいた時にはもう後戻りできないところまでいってしまっていたというようなことを言っていました。 危機感の欠如って日本人の得意技なのか? 福島の原発での汚染水問題だって、もうずっと前からわかっていたはずなのに政権が代わっても原発再稼働ばかり熱心で廃炉のことは放置。 それで、オリンピック招致の最終プレゼン直前になって突然、政府が乗り出すなんていかにもポーズって感じ(それでも何か対策をとる方が放置するよりずっといいけど)。 日本の政府はいつも外国から何か言われないと動かないのね。 オリンピック招致の空騒ぎに違和感たっぷりの私は、ひとりブツブツいってます。

ものすごい暑さの後は雨、雨、雨。 雨が上がったら突然、秋!? 何を着たらいいのか戸惑うばかり。


■いろいろな記事に拍手をありがとうございます!

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