孤独な人生への温かな眼差し イーユン・リー「黄金の少年、エメラルドの少女」

特に期待せずに手にとったイーユン・リー「千年の祈り」がものすごくよかったので、新刊が出るのをとても楽しみにしていました。 とかいって、気がつかないうちにとっくに出てました。 本屋さんで見つけて単行本「黄金の少年、エメラルドの少女」を即買いしました。 イーユン・リーは中国出身の女性作家。 天安門事件後にアメリカへ渡り、大人になってから獲得した外国語である英語で、中国を舞台にして、あるいはアメリカに生きる中国人の姿を短編小説で切りとって描いています。 ハ・ジンといいイーユン・リーといい、こういう越境して活躍する小説家はジャンルとして英米文学なのか中国文学なのか?



代理母問題を扱った衝撃の話題作「獄」、心を閉ざした40代の独身女性の追憶「優しさ」、愛と孤独を静かに描く表題作など珠玉の9編。 O・ヘンリー賞受賞作2編収録。(単行本の帯より)

一番心に残ったのは、事件というほどのことが何も起きない、ただ自らの過去をひとりで静かに振り返っているだけの「優しさ」。 この静謐さ、この寂しさ、この淡々とした語り。 普通なら話としてもたないと思うような素材でも小説にしてしまうイーユン・リーはすごい。 そして、どの話もきわめて辛い現実を描いているのに、人生に対する温かな眼差しが感じられるため後味が苦くないのがいい。 表題作はちょっと…だったけど。

イーユン・リーはウィリアム・トレヴァーが好きで、彼の短編と響き合うように「優しさ」を書いたのだそうです。 ウィリアム・トレヴァー「聖母の贈り物」は私にはあまりピンとこなかったのに、そこから生まれたというイーユン・リーの小説は心にしみる。 不思議。

「千年の祈り」が私にとっては強烈なインパクトがある短編集だったから、ちょっと期待が大きすぎたかもしれません。 この短編集もけっして悪くはないんだけれど、大満足!とはいきませんでした。 「千年の祈り」の感想を書いていなかったので、近日中に書くつもり。

11.7南天

冷たい雨が降る一日でした。 この雨の後は冬並みに寒くなるとか。 このところ温暖化の影響なのか、毎年クリスマスの頃にまだ紅葉していることが多かったけど、今年は紅葉がすごく早そう。

仕事が暇になったのに結構忙しい毎日。 2週間に1回といえどもストレッチと書道にも通っているし、人間ドッグを受けたり、20年ぶりくらいの同窓会があったり、法事があったり、姪たちのために補償交渉のための翻訳をあれこれしたり(そのたびに気分が激しく落ちこむ)、今週末は姪3号がイベントに初出店するというので東京日帰りを目論んだり、庭の落ち葉掃きを毎日したり。 年とった両親が風邪をひかないように、寒くなる前の晴れ間に毛布を干したり、ストーブを裏まで徹底的に掃除したり。 昨日は知り合いのカメラマンのグループ展に行って旧交を温め、その帰りにばったり同級生に会って数年分の立ち話をしたり。 うろうろしている間に、今年もあと1ヶ月半! なんだか焦る。

コメント

イー・ユン・リーにハ・ジン、私も偶々3年前に続けて読んだのですが、とてもいいですね!
ということで、近日を楽しみにしています。

2013/11/11 (Mon) 20:39 | 羊 #hE4kmW4M | URL | 編集

羊さんもイーユン・リーがお好きだったのですね!
ハ・ジンとか角田光代とか、羊さんと本の好みが(チェコの宿の好み同様)似ているなと思っていたらイーユン・リーもでしたか。
「千年の祈り」よかったですよねぇ。
気に入ったのにずるずる書かずにいた感想、羊さんのリクエストにお尻叩かれて…書かなくちゃ(笑)

2013/11/12 (Tue) 22:35 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

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