「緩和ケア」という言葉の響きが重すぎて

週末は2週間ぶりに叔父のお見舞いに行ってきました。 叔父は思っていたよりもずっとずっと元気で、終末期とはとても信じられないほど。 本当に驚きました。

10月半ばに入院した頃よりも顔色いいし、ちょっと肉付きが良くなって顔が丸くなった印象。 お医者さんから「片肺が完全に潰れてしまった。残った方の肺には間質性肺炎があるので、明日どうかなっても不思議ではない」と言われてから1ヶ月近くが経過しているけれど、あの頃よりもずっと楽そう。 上半身は動かさない方がいいらしいけど、足は動かすようにとお医者さんから指導されたそうで、腹筋運動みたいに両足を揃えて勢いよく数回上げ下げしても、酸素吸入しているとはいえ息も切れない。 だいたいが酸素マスクがとれて鼻チューブだけになってるし。ベッドに仰向けに寝たまま、窓からみえる雲を眺め、自分が山で撮った大好きな山野草や山脈の写真をみながら毎日スケッチを楽しんでいるそうです。

12.07ヒイラギの花


最近の緩和ケアってすごい。 一般に漠然とイメージされているよりもずっとずっと進歩している。 叔父は病院へ行きたくないから、ずいぶん長い間苦しかったりしんどかったりを誰にもいわずにじっと我慢していたらしい。 で、苦しいのを我慢していることで全身が弱って免疫力が低下→そうなると体内のがんは増殖力が増す、という悪循環に陥って、がんが予想以上のスピードで進行してしまったと思われます。 それが、入院して緩和ケアとして(緩和は治療ではありません)ごく少量ずつ腹部からモルヒネを入れることで苦しみがなくなって、全身状態が改善→一時よりも体調が安定ということのようです(叔父自身も「そうだと思う」といってました)。

緩和ケア=死ぬ間際の人が受けるものと、がんに罹患するまでは私も先入観をもっていました。 でも、本当はそうじゃないんですよね。 国立がん研究センターの「がん情報サービス」ホームページ内の「がんの療養と緩和ケア」を読めば、病気にともなう痛みは我慢せずに薬を使って取り除いた方が生活の質が上がることがわかります。 海老蔵の奥さんもブログに「我慢せずに、もっと早くに痛みを取り除いてもらえば良かった」と書いていました。

叔父が肺がんの積極的な治療をすべて拒否していると、叔母から聞いた時に「治療を一切しないのなら、緩和ケアの外来や病棟がある病院に変わった方がいいのでは」と提案したのですが、叔母は夫ががんだというだけで頭がいっぱいで「緩和ケア」という言葉の響きを耳にしただけで拒絶反応が起きたようでした。 緩和ケア=不吉と思いこんで。 「まだそこまで悪くない」と気を悪くしたみたいだったから、説明したり、私が通っている病院にあった緩和ケアのパンフレットを渡したりもしたけど、聞く耳をもたない感じで。 きっと叔母は読まずに叔父の目に触れないうちにと慌てて捨てたんだろうな…。 自分の親だったら、もっとしつこく説得しただろうけど。

12.07スノードロップ

もしも、自分や家族にがんがみつかったら、なるべくたくさんの正確な情報に目を通してください。 告知された直後は混乱していてとてもその気になれないでしょうけれど、少し落ち着いたら、治療について考える段階になる前に一通りの知識を身につけておくことが現代の患者&家族には求められています。

インターネットにあふれる「これでがんが克服できる」とか「これさえ食べれば、がんが消える」とか「放置していれば、がんは自然に消える」といった根拠不詳の情報じゃなくて(今ちょうど、うさんくさい「まとめサイト」が話題になってますよね)、情報の発信元を確認して、ちゃんとお医者さんが監修した正しい情報を精査して読んでください。


叔父ももう少し早くからせめて緩和ケアだけでも受けていたら、寝たきりになるのを遅らせられたんじゃないかとも思えます。 でも、それはしょせん結果論。 叔父は苦しいのを隠して、ギリギリまで妻とあちこち旅行して大好きな山の風景を眺められたのだし、早めから緩和ケアを受けたとしても「こんなケアをしなかったら、もっとたくさんのことが自由にできたんじゃないか」と後悔したかもしれません。 「自分が決めた」ということで辛い現状でも納得ができるのだと思います。 叔父自身は放置していてももう少し長く元気にしていられて、いよいよダメになってからでも何らかの治療の選択肢は残されていると期待していましたが、残された選択肢はモルヒネによる緩和ケアだけ。 ものすごい葛藤があったのでしょうが、叔父も叔母も「自分が選んだことだから仕方ない」とあきらめがついたようです。 すべては自己選択、自己責任。 厳しい時代に生きているのですね、私たちは。

叔父は緩和ケアを受けたことでお医者さんが初めに宣告した余命よりも2ヶ月近く生き延びていて、今の救急病棟から他の病院のホスピスへの転院ができるほどに(!?)安定しています。 移送するのは絶対無理といわれていた状態だったのに、お医者さんにうながされて半月以上後の転院手続きを始めました。

最後まであきらめてはいけない。 けれど、痛みや苦しみはどうか我慢しないで。 がんの治療をするかしないかはその人の考え次第で、いいも悪いもありません。 でも、適切な緩和ケアを受けた方が生活の質が維持できるはずなので、緩和ケアを頭から否定しないで考えてみて欲しいです。


今年は柊(ヒイラギ)がひさしぶりにいっぱい咲いて、前を通ると甘い匂いが漂ってきます。 蜜蝋みたいな意外にも強い香りです。 顔を近づけてクンクンしようとすると葉っぱの先で鼻をチクッ(笑)。 結構痛い。 楠の木の下、いつのも場所に今年もスノードロップが咲いてうれしい。 去年は1輪しか咲かなかったから、数輪は咲きそうで母もニコニコ。


■たくさんの拍手をありがとうございます。 仕事の予定が二転三転して、最悪キャンセルの可能性もでてきてイライラしつつも、ぼちぼち元気にしています。

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