映画をみる楽しさ詰まった独特の世界「グランド・ブダペスト・ホテル」

昨夜、見逃して残念だった映画「グランド・ブダペスト・ホテル」の放送をたまたまNHKのBSでみつけて、最初から最後までしっかり鑑賞しました。 うちにはDVDがないので、見逃した映画はなかなかみられないんですよ。

3.1グランド・ブダペスト・ホテル

保養地にあるグランド・ブダペスト・ホテルは、かつてはヨーロッパのお金持ちが押し寄せる名門のホテルだった。 ホテルを支えていた凄腕のコンシェルジュと、彼が目をかけたベルボーイ見習いの難民の少年ゼロが、得意客である老婦人の死去によって遺産相続争いに巻きこまれ、えん罪で投獄され、ついには命がけの逃避行をするはめに。 今ではすっかり寂れたグランド・ブダペスト・ホテルを所有している老人ゼロが、スランプに陥ってホテルに滞在していた小説家に語りだした物語は…。 

いやー、みてよかった! 画面の密度が高い! 一瞬たりとも目を離せない映画でした。 独特の色彩感覚もすごく刺激的で、画面をみているだけでもワクワク。 深紅のバックにホテルマンの紫の制服なんて普通ならありえない、えぐい色合わせなのに不思議にすごく魅惑的だし、お菓子屋さんのシーンの淡いピンクの使い方もステキ。 真正面からのアングルばかりだったり、カット割りが映画に疎い私でも「お!」と気になる独特なセンスで、わざとちょっとチープな紙芝居風(でも実はすごくお金がかかってそう)に仕上げているところもおもしろいし、ストーリーを追うよりもまず視覚的に楽しめる映画です。 ティム・バートンの「チャーリーとチョコレート工場」より大人向けで、私はこっちの方が美術や世界観がツボでした。 気分転換にぴったりな映画でよかったわ。

「コメディ」と謳っているけど、ゲラゲラ笑えるような映画ではありません。 かなりシュールですごくブラックなユーモア。 テンポがいいから、時々ゲッとなるグロさがはさまっても気になりませんでした。 マニアックな世界観なので、好き嫌いがはっきり分かれそうではありますが。 中央ヨーロッパの歴史をうっすらとでも認識していないと、おもしろくないかもしれません。

3.1チューリップ

優雅なアールヌーボーから隣国による突然の侵攻、そして殺風景で冷え冷えとした共産主義へ。 中央ヨーロッパの架空の国を舞台にしつつも、ナチスやソ連侵攻されたハンガリーやポーランドを彷彿とさせます。 急速に移り変わっていく時代と、庶民の生活とは関係なく戦争や政治体制の変化が人の運命をもてあそぶ不条理こそが、この映画で描きたかったテーマなのだと感じました。 ポップな映像と展開でコーティングして砂糖菓子風に仕上げているけれど、なめているうちになかなかに重いテーマがじわりとでてくる感覚。

個人的な備忘録として
その1■最後に「シュテファン・ツヴァイグの作品にインスピレーションを得た」とでてきて、いったいどの作品なんだろうとすごく気になりました。 今度調べてみよう。

その2■ゼロの語ったことは全部ホラ話?(映画の中でも「ホラ話」とはっきり言っていた) 老人ゼロ=凄腕のコンシェルジュってことだってありそう。 最後のシーンで、あの絵があそこにあんな風にかけてあるってことは…(ネタバレになるので自主規制)。

その3■最初のあたりはオーストリア・ハンガリー帝国を暗喩していて、ドイツとオーストリアに住んでいた私の目には、映画にでてくる町の雰囲気がものすごく懐かしかった。 また共産圏時代のブダペストへの小旅行や、ドイツ統一後に旧東ドイツ圏の旅の経験があったため、余計にこの映画にひかれたのかも。

その4■ロケ地はドイツの東端の町ゲルリッツだそうです。 行ってみたいなあ。 そうそう、ゼロの恋人・アガサが働いていたお菓子屋さん「メンドル」。 店構えはちらっとしかでてこなかったけど、ああ、こういう店、オーストリアによくあるなあとものすごく懐かしくて、ネットで調べたら、オーストリアではなくドイツのドレスデンにある「世界一美しい牛乳屋さん」でした。 あそこ、眺めにいったー! 帰国直前で、牛乳屋さんでは何も買えるものがなくて残念だったんだっけ。 ドイツやオーストリアが好きな人なら、いっそう楽しめるかもしれません。

その5■ナチスを暗喩した軍人の制服さえも、この映画ではグレーでおしゃれ。 ナチス親衛隊SSをもじって「ZZ」の文字がちらっと写ったりして、細かいところまでこだわりいっぱい。

3.1ピンクのグラデーション


写真は映画の色調に少しでも近いものを選んでみました。 映画はもっとずっとどぎつくてポップな色調だけど。


月曜日の夕方、全速力で仕上げた仕事を納品して、大急ぎで母の顔をみに病院へ。 いつも以上に前倒しの過酷な仕事の締切で脳みそがオーバーヒート&母の入院で、あまりにも神経が疲れてしまって月曜日の夜は脳が痺れたみたいな変な感覚を経験しました。 とはいっても、実は土曜日の午前中はちゃっかりストレッチに行ってるんですけどね。 要は、かける時間ではなくて集中力ですね。 仕事を片づけてからストレッチだったら、どれだけ気持ちよかっただろう…。

入院している母は月曜日のお昼からお粥が食べられるようになり、昨日で点滴から解放され、金曜日に退院できそう。 やれやれです。 帰ってきたら、しばらくは消化のいい食事作りしなくちゃ。

Category: 映画

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