山にハマる心情に迫れるか 井上靖「氷壁」のドラマ化

次々にスタートしているテレビドラマで、初めから気になっていたのは
「氷壁」と「けものみち」。 「けものみち」はまぁまぁ…かな。
「黒革の手帖」の米倉涼子が意外にもスゴク良かったから見てみたけど、
”ヒヒジジの囲いもの”という女主人公の原作での設定を現代風にしようと、
ヒヒジジの愛人でありながら新進気鋭のジュエリーデザイナーにしたのが微妙。
若いのにヒヒジジに縛り付けられてる方が、主人公が抱え込む鬱屈や屈辱感が
より濃厚に出た気がするんだけどな~。

井上靖の「氷壁」はずーっと昔に読んで感動し、たぶんそれが遠因となって
20代後半に、身も心もどっぷり山にハマって過ごした時期がありました。
井上靖の原作に描かれていた「山男の友情」は乾いていて、山に登る以外に
生きていく道がみつけられない自分を本当に理解してくれる人はザイルで結ばれた
パートナー以外にはいないとお互いに思っている…そんなところがステキに
思えたのだったかな。 あまりにも昔に読んだので詳細は不明ですが(笑)

社会人の山岳会に入って山に登り始めたワタシは、山のことで頭がいっぱい。
平地にいても「どの山に登ろう」「あの山はアプローチに何時間かかるか」とか
そんなことばっかり。 まさに山に取り憑かれた状態。 本格的な山登りに
出会うのがもう10年早かったら「第二の田部井さんになってやる!」なんて
勘違いして道を外れた可能性だってかなり大きい。 それくらい山は底知れない
磁力があるものです。

そういう言葉になかなかできない山の魔力が、どんな風にドラマ化されるのか。
第1回を見ただけでは…う~ん、悪くないけど「山しか生きるところがない」と
思い詰めている若い男性二人の苦しさがリアルに感じられませんでした。
どちらかといえば人妻との四角関係(?)に重点が置かれているような。
主人公が単独行する山のシーンをもう少し入れたらいいのかな、とも思ったけど
でも、ドラマでそれをすると主人公の独白ばかりでクサくなっちゃうのかもね。
その点、小説だと違和感なく主人公の気持ちの寄り添える。 情景描写も
主人公の内奥も言葉で表現する小説と、セリフと風景で展開していくドラマは
やっぱり別物なんですね。
ドラマ「氷壁」は満足ってほどではないけど、また次も見るかな。
一番見たいのはエンディングの雪山の風景だったりして(笑)
時代背景がかなり古いけど、原作は山好きでなくても引きこまれる展開で
悲劇的な最後までページを繰る手が止まりません。 おすすめです。
Category: 読書

コメント

はじめまして
TBさせていただきました
たしかに、きれいですよね景色。
でも内容は、なんかシリアスですね。

2006/01/15 (Sun) 01:06 | amuk #- | URL | 編集

amukさん、いらっしゃいませ。
「氷壁」は友情あり恋愛あり疑惑あり、さまざまな要素が絡み合って面白いはず。 楽しいドラマではないのですが…今後が楽しみですね。

2006/01/15 (Sun) 21:29 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

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