博物学を散りばめて アンドレア・バレット「地図に仕える者たち」

積み重なった本の地層から発掘した本です。 ちょっと読みかけて放置して
いました。 耳鼻科の混んだ待合室でたっぷり待たされているときに読んで
いたような気がするので、ひょっとして1年前から下積みになってた?
帯に「O・ヘンリー賞受賞」とあったのにひかれたんだっけ…。

4.9地図に仕える者

1800年代を舞台に、植生や化石、薬草などに魅了された名もなき人たちの
静かな人生のひとこまを切りとった短編集です。 装丁が表しているように
どの短編も劇的なことは何も起こらず、淡々と語られる小さなエピソードは
ノスタルジックな色合いに包まれています。 小説そのものよりも、小説に
散りばめられた黎明期の科学の断片がきら星のように輝いて、美しい
文章世界を紡ぎ出すことに成功しています。 文学に科学がとけこんだ
池澤夏樹「スティル・ライフ」を読んだときほどの衝撃はありませんでしたが。

こういう静かな物語は嫌いではありません。 読後感は悪くありませんが、
アリステア・マクラウドの「灰色の輝ける贈り物」ほどではなかった…
というか、マクラウドと比べることが酷でしょうか? 次は、そろそろ
マクラウド「彼方なる歌に耳を澄ませよ」を読もうかな。 読むのが惜しくて
後回しにしてる作品です。

ちなみに、絶対に訳者のあとがきを先に読んではいけません! あらすじを
ただダラダラと書いてあるだけで、読む楽しみを奪われます。 この翻訳者は
この作家のことを全然知らないから、こういうことしか書けなかったのかしら?
翻訳は別に悪くないけれど、このあとがきはセンスも、読む人に対する配慮も
なさ過ぎだと思います。 読んだ後の人にただの筋書きをもう一度読ませて
どうするつもり?
Theme: 読書メモ | Genre: 本・雑誌

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