言葉の密林をさまよう ガルシア=マルケス「族長の秋」

一昨日、だらだらと読み続けていたガルシア=マルケスの「族長の秋」を
ようやく読み終わりました。 実はずっと昔に何度か読みかけたのに、毎回
10数ページで挫折した小説です。 今度は最後までおもしろく読めました。
でも決して読みやすい小説ではないし、万人向けではないと思います。

コロンビアのノーベル賞作家ガルシア=マルケスを初めて知ったのは、
偶然本屋さんの店頭でみかけた「百年の孤独」。 それがどれほど有名な
作品かも知らずに何気なく読み始めてビックリ。 なんておもしろいの!
こんな小説があるなんて…だから読書はやめられない。 その頃、日本の
作家の作品が連続して「ハズレ」だったことこともあって、しばらくは
海外の作品ばかり読むことに。 ガルシア=マルケスの作品で、当時
手に入ったものを次々に読んだのですが、「百年の孤独」>「予告された
殺人の記録」>「十二の遍歴の物語」>「幸福な無名時代」と、読む順番通り
テンションが下がっていって、最後に手にとった「族長の秋」で「なんだか、
これは体質に合わないなぁ」と途切れました。

5.30族長の秋

「族長の秋」は南米の小さな架空の国を舞台に、そこに100年以上君臨し、
最後は実在するかどうか誰にもわからなくなった独裁者の物語です。
200歳を越えて生き続けている、という設定自体は虚実入り乱れた南米文学
らしい世界です。 それには全然抵抗を感じませんが、改行をいっさいしない
ねちねちと続く文体に、以前は困惑してしまったのだと思います。 物語は
時系列が錯綜し、どうやって独裁者にのぼりつめたのかが明確に語られる
わけでもなく、さまざまなエピソードの断片が全編に散りばめられています。
さらに独特なのは、物語の視点が一定でなく、改行がないまま、ずるずると
ぶれていきます。 誰とも判然としない人物の目を通して語っていたかと
思うと、突然、主人公の独裁者が語りだしたり(それも前の話しを引き継ぐ
とも限らず)、独裁者の母の視点に移り変わったり。

「族長の秋」は明解なストーリーを求める人には向きません。 なにやら
つかみどころのない正体不明の男の一生を、曖昧な視点で描いて、その
「正体不明な」ところをあぶりだしている…とでも言えばいいのでしょうか。
それでも読ませてしまうのは、さすがガルシア=マルケス。 すごい力業!
濃密な言葉の密林をさまよい歩くうちに、じっとりまとわりついてくる南米の
暑い空気がじわじわとカラダに浸透してくるのです。 西洋文明的な
(あるいはアメリカ合衆国的な)価値観とは相いれない土俗的な世界に
引きずりこまれます。 孤独で愛に飢えつつ、一生、母からの深い深い
愛以外には誰からも愛されず、「至高の権力」にたてまつられて、人間的な
実存からどんどん遊離していく男…。 最後にワタシの心に残ったのは
南米的な盲目的な母の愛でした。 「母」はすごいなぁ。
ただし、ガルシア=マルケスを初めて読む方にはおすすめしません。 

5.29ホオヅキ

ほおづきの花をみつけました。 ナスやキュウリの花に似ていますね。

サッカー好きだけれど、ジーコ・ジャパンには正直あまり期待していません
でした。 でも、ドイツとの練習試合はなかなかよかったんですねぇ。
ドイツが弱いってことはないのか? それとも、ようやく日本はチームとして
まとまりができてきたのかも。 がんばれ~ッ!! ワールドカップ前に
「族長の秋」を読み終えられてよかった。 今日は街中の本屋さんまで
出かけて店内を長時間うろうろ。 「仕事に使えるかも」と自分に言い訳して
ずっしり買いこんできちゃいました。 あ~また本の山が高くなる。
Theme: 読書メモ | Genre: 本・雑誌

コメント

私は

ガルシア・マルケス、この作品から読んだんです。実は15年くらい前に読んで、あまりピンとこなかったのですが、昨年読んでみてその独特な世界に惹きこまれてしまいました。
改行ナシで視点がどんどん変化するかなり特殊な手法で書かれているのでとても読みにくいのですが、読みにくい反面その書き方自体がこの作品の魅力でもありますね。

もうじきW杯。今朝のドイツ戦は2点リードを守れず引き分けでしたね。相手のホームで2得点の引き分けならまあいいほうでしょうが、どこかで読んだのですが今回のW杯の専用ボールが非常に速いらしいので点が入りやすいのだそうです。
私も監督としてのジーコは評価していません。だって今回のメンバー全員25歳以上ですよ!次やその次のW杯できっとツケが回ってきそうな気がします。

そうそう、私は多分W杯の間機能停止すると思われますのでご了承ください。

2006/05/31 (Wed) 23:53 | piaa #- | URL | 編集
文体がすべて

piaaさんも昔はピンとこなかったんですね。 「族長の秋」は、つかみどころのない独特の文体そのものを味わうために書かれた小説なんですよね、たぶん。
ところで、piaaさんもサッカーファンなんですね! 1次予選突破にワタシはかなり悲観的なんですが、どうなるでしょうねぇ。 川口くんが大活躍の予感がしますが。 ジーコ・ジャパンを見ていると、いつもアタマの中に「ゆとり教育」という言葉が浮かびます。 (ブラジル人ほどには)基本ができていない選手に「自由に」「好きなように」と言っても無理だと思うんですけど。

2006/06/01 (Thu) 22:23 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

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