意外な拾いモノ 畠中恵「しゃばけ」

最近話題になっている畠中恵「しゃばけ」を思いきって(?)読んでみました。
江戸を舞台に、大店の病弱な若だんなが妖怪たちと繰り広げる小さな冒険譚
なんてあんまり好みに合わないかな~と否定的な先入観を持っていたのに
予想に反して楽しかった! 「陰陽師」に似たような設定で、けっして目新しい
素材ではないのですが、この小説の魅力は斬新さや切れ味のいいサスペンス
とは違う次元にあるように感じました。

7.29しゃばけ

やたらに体の弱い若だんなが、目撃した殺人事件を妖怪たちの助けを借りて
解決する…ストーリーは結構単純です。 若だんなの周辺にいる個性的な
妖怪は、恐れの対象ではなくて、若だんなを助けたり一緒に遊んだりする
愛すべきものたち。 ふつうの人間には見えない存在なのに、若だんなには
妖怪たちが見える。 そこには若だんなの誕生をめぐる秘密があって…。
「鳴家(やなり)」という家の隅にいて家をギシギシいわせている小さな
妖怪がすごくかわいいな、と読んでいるうちに思えてきます。 ワタシも
1匹欲しい(笑) それにしても、これがデビュー作とはすごい筆力だなあ。

妖怪に対しても優しく接する若だんなもいいけれど、若だんなの幼なじみで
和菓子屋の息子が脇役ながら、とてもいい味を醸し出しています。 やる気は
あるのに和菓子作りが上達しない焦りや落胆、仲のいい幼なじみとの生活
レベルの差を感じざるをえない年齢になりつつある寂しさを抱えながらも、
それでも仲のいいかけがえのない友だちを思いやる心持ちが、物語に奥行きを
与えています。 江戸時代を背景にすると人情モノべったりになりがちなのに
適度に乾いた語り口なのも好感が持てました。 日常とは隔絶した物語世界に
遊ぶ感覚が楽しい1冊です。 楽しい本が読みたい人におすすめ。 中・高生
でも楽しめるんじゃないかな。 ただし、この本をネタに感想文を書くのは
かなり高等技術を要しそうです(笑)
Theme: 読書メモ | Genre: 本・雑誌
Category: 畠中恵

コメント

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2006/07/30 (Sun) 14:59 | # | | 編集
Bさんへ

大丈夫?…というか大丈夫じゃないのよね…仕事や家もたいへんでしょうけど、どうか焦らず無理をせずに、まずは体をちゃんと治してね。 一日も早い快復をお祈りしています。

2006/07/30 (Sun) 21:38 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

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