静かに胸を打つ大人の絵本 エルケ・ハイデンライヒ「ヌレエフの犬」

前からずっと気になっていた挿絵画家ミヒャエル・ゾーヴァの本を探していて
「ヌレエフの犬」に出会いました。 挿絵は思ったよりも少ないし、ゾーヴァ
らしさがあふれる絵ではなかったのだけれど、物語がとてもよくて、ずっと
大切にしたい本です。 物語はわずか40ページほど。 気分が悪くて最近
本をあまり読む気がなかった母も、表紙にひかれて読みはじめ一気に読了。
「ひさしぶりにいい話を読んだな、という満足感があった」と喜んでいました。
ゾーヴァは映画「アメリ」で、アメリの部屋にかかっていた絵とブタのスタンド
を担当しているので、名前を知らなくても独特の画風の絵に見覚えがある
人も多いのではないでしょうか。

8.28ヌレエフの犬

写真が不鮮明ですみません。 副題は「あるいは憧れの力」です。
夜更けに、太った冴えない雑種犬がベランダでこっそり踊っている絵です。
一流のバレエダンサー・ヌレエフ(実在の人物)が、ふとしたことで出会った
デブで短足、汚れたようなブチのある犬を大切にかわいがる。 互いへの
愛情が、ヌレエフの死後に思いがけない奇跡をひっそりと起こすことに…。
誰かを大切に思う気持ち、美しいものを愛する心、そういう心の動きが
非常に抑制のきいた少ない言葉で淡々と描かれています。 ヌレエフの
死後に犬を引き取った老バレリーナと犬との関係も、とてもいい。
劇的な感動というのとはちょっと違うけれど、胸の奥にぽつんと灯がともった
ような読後感がワタシ好みでした。

ところで、この本には実在の人物がフィクションとして多数登場します。
その中で一番最初に出てきたのがトルーマン・カポーティ。 ちょうど
文庫本「冷血」と「草の竪琴」を買ったところだったので、すぐにカポーティが
読みたくなりました。 「冷血」を執筆するカポーティを主人公とする映画が
公開されるのに合わせて、本屋さんにはカポーティの作品がたくさん平積み
されていますね。 「冷血」を読むと映画も観たくなるんだろうなあ。
すっかり術中にはまっている、単純なワタシ(ちょっと悔しい)。

コメント

カポーティ

 こんばんは。先ほどは拙blogにコメントありがとうございます。あまり知識がないままに記事を書いてるので、間違いが今後も多々あると思いますが、ぜひミスを見つけたら指摘してくださいね。
で、カポーティなんですが、「冷血」はよかったですよ。文庫も出たし読み時ですよね。最近は「遠い声遠い部屋」を読みましたが、これはものすご繊細でカポーティの魅力全開って感じでした。それに、この小説に影響を受けて書いた作家、多いだろーなーと思いました。

2006/08/29 (Tue) 00:43 | ぎんこ #emXmKJzE | URL | 編集

ぎんこさんのblogは日本&海外の小説からノンフィクションや映画、作家のことまで触れられていて、とっても知的でカッコよくて毎晩楽しみにしています。 たまたま角田光代は受賞作を読んでいたので…さしでがましいことをいってすみませんでした。

カポーティの「冷血」は気になりつつも、内容が重そうで敬遠していたのですが、ついに映画公開キャンペーンに乗せられて読む気になりました。 そのうえ、たまたま手にした「ヌレエフの犬」の中で、ドイツ人作家ハインリッヒ・ベルにカポーティが揶揄されるシーンが出てきたので、すぐにもカポーティが読みたくなって。 映画の予告編を見たら、とてもクセのある話し方をする人だったみたいですね。 そういうコンプレックスが作品の背景にあったのかなあ。 「遠い声遠い部屋」もいいんですね。 読みたい本のリストがどんどん長くなっていく…ああ、ウレシイ困惑(笑)

2006/08/29 (Tue) 23:20 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

 vogelさん、さしでがましいなんてとんでもないですよ!親切に教えて頂いて感謝しております。本当ですよ~。あのまま間違っている方が恥を長くさらすことになっちゃうじゃないですか。これからもどんどんチクってください(笑)
「冷血」は犯罪の話だし、わりとじっくり見せる小説なんで疲れるかもしれません。体力のある時にどうぞ!

2006/08/30 (Wed) 22:58 | ぎんこ #emXmKJzE | URL | 編集

ぎんこさん、こんばんは。
「冷血」はやはり凄惨な犯罪がテーマだけに体力がいるんですね。 夏バテでヘロヘロなのに、マクラウド「彼方なる歌に耳を澄ませよ」、吾妻ひでお「うつうつひでお日記」に続いて、「冷血」を昨夜から読みはじめてしまいました。 自分を追い込んでるかも。 読み終わった2冊については心に重くて、すぐに感想が書けない気分です。

2006/08/31 (Thu) 00:59 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

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