アリステア・マクラウド「彼方なる歌に耳を澄ませよ」

一昨日から夜はやっと熱帯夜でなくなって、少し眠れるようになったので
それで元気になるかと思いきや、夏の疲れがドッと出てこの数日は身も心も
ヨレヨレです。 シャキッとしろ!と自分に活を入れたいのに、なんだかダメ。
昨夜は姪と延々と電話して、就職活動について相談に乗ったりしていたのに
自分のことは何歳になっても、てんでダメです。 今後のことを考えると
胸をよぎるのは両親の最期を看取った後、ボロボロになった家で孤独死
している自分の姿…そんなことばっかり思い浮かべてしまう自分がコワイ。
と、先のことばかり心配しても何も生み出せるわけではなくて不毛な妄想
してるヒマがあったら、仕事に邁進すべきなんでしょうが。

さて、買ってあったのになかなか読めなかったアリステア・マクラウドの
「彼方なる歌に耳を澄ませよ」。 読み終わっても、どう感想を述べればいい
のか、言葉がうまくみつかりません。

8.31彼方なる歌に

スコットランドからカナダ東部の小さくて貧しい島へ移住した血族の物語です。
重層的で時間的な構成が複雑に入り組んでいて、読みやすい本ではありません
でしたが、難解というわけではありません。 同じエピソード(たとえば主人公の
両親が亡くなったときのこと)が何度も何度も語られたり、何代も前に起こった
スコットランドでの歴史的な出来事がごく自然なこととして語られたり、
主人公と兄がどうして現在ここまで違う境遇に身を置いているのか、という
説明が最後の最後にならないと明らかにならないなど、ちょっともどかしい
感じがしました。 でも、それは思わせぶりなどでは全然なくて、とても
真摯で木訥な一般の人たちの「語り」という雰囲気を濃厚に漂わせていて
不思議に独特の心地よさを感じさせもしました。 読んでよかったと思います。
でも、あちこちで見かけた「大絶賛」まではワタシ個人はいきませんでした。

この作者の「灰色の輝ける贈り物」を先に読んでいたためかもしれません。
アリステア・マクラウドはやはり短編の方が密度が濃くて、普遍性の高い物語を
紡ぎ出せているように思えます。 「彼方なる歌に耳を澄ませよ」は移民の国
カナダやアメリカの人の方が、やはり共感しやすい題材です。 短編集に
あった激しく魂を揺さぶられるような普遍性が、自らの出自(スコットランド
の血筋)にこだわった分だけ薄まったのかもしれません。 しばらく間をおいて
短編集「冬の犬」を読んでみようと思います。 「彼方なる歌に耳を澄ませよ」
では、ごくわずかしか登場しないのに「がんばりすぎる犬たち」や苦労を
ともにした馬がとても印象的だったので、もしかしたら「冬の犬」の方が
気に入るかも。

今日はひさしぶりに雨が降っています。 最高気温も30℃くらいで、昨日から
冷房のない生活に戻りました。 前の台風が通り過ぎて、電線で賑やかに
さえずっていたツバメたちがいっせいに旅立ってしまったようで急に姿が
見えなくなり、夜は秋の虫が鳴き始めました。 暑くても秋の気配は日一日と
濃くなっているようです。
Theme: 読書メモ | Genre: 本・雑誌

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