なんだかんだ言いつつまた角田光代 「恋するように旅をして」

角田光代は読後があんまりすっきりせず、喉の奥に刺さった魚の小骨みたい、
なんてことをたぶん前に書いておきながら、本屋さんで見かけたら、また手に
とってしまいました。 なんでかな? あのポヨヨンとした顔&異様におっとりした
話し方と、文章に含まれる毒が相容れないようで、そこが気になるのかな。

9.26恋するように

「恋するように旅をして」(「恋愛旅人」を改題)は旅のエッセイです。
旅のエッセイは実は自分の仕事に近すぎて、ふだんあまり読まないのですが
(k.m.p.や杉浦さやかのイラストエッセイは文章だけとは別物だから大好き!)
従妹が「角田光代の旅のエッセイはおもしろかったよ」と言っていた影響かな。

角田光代は本当に”生まれつきの旅人”みたい。 ふわふわと目的も場所も
あんまり決めずに、旅先で偶然迷ったとかバスに置いてきぼりにされたとか
そういうことで行く先を決めてしまうらしいです。 もともと行く前から
どこへ行って何を見るか、何も決めてない人なんですね。 モロッコで
バス休憩で取り残されたエピソードなんて、すごすぎます。 ワタシなら
泣くことなんて無意味なのは十分わかっていても、絶対泣き出す状況だわ。
弱々しいのに強いんだ、角田サン…と、エッセイの本筋とはまるで関係ない
ことでビックリしました。

この方、ほとんどどこへいっても、ひとりで迷って町を右往左往してるか、
ビールで酔っぱらってるか。 とりとめのないことが書き連ねてあるだけ
のようで、でもやっぱり角田光代でなくては書けない「何か」が濃厚に
漂っています。 「ばばあ」とか書き言葉がなかなかに乱暴なんだけれど、
それがイヤな感じにならないのがとても不思議。 ちまたで流通している
お気軽エッセイとはまるで違って、文学的なきらめきを感じさせる美しい
散文でした。 もし旅に行こうかと考えている町の様子を知りたいと
思って買ったら、ぜんぜん役に立ちません。 念のため(笑)。


9.26秋の玄関

玄関にも秋。 母が庭にはびこっている草を適当に活けてるだけ。 でも、
なかなか風流です。 こういうのを見ると、やっぱり華道を習っておけば
よかったかな、とうっすら後悔します。
Category: 角田光代

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する