詩的で繊細な世界 カポーティ「草の竪琴」

トルーマン・カポーティの「冷血」を買ったときに、なんとなくついでに
買ったのが「草の竪琴」でした。 「冷血」を最初に読んでしまったため
いわゆる「カポーティらしさ」がどういうものなのか、かえって興味を
持って読みました。

10.12草の竪琴

読んだ感想は「なるほど」。 噂にたがわず、とっても繊細な精神世界です。
世の中の輪郭がまだ明確につかみきれていない、少しずつ世間というものが
分かりつつある年齢の少年の目を通して、奇跡のように美しくきらめいた
数日間のできごとが綴られています。 身寄りのない少年を引き取った遠縁の
ドリーとの、自然の中で経験した日々は夢のようにはかなくて切ない。
ストーリーとしての起伏に富んでいるわけでもないのにひきつけられるのは、
誰もが心に抱いている「大人になることで失われてしまった時代」への郷愁を
誘うから。 カポーティの本領はこういうところにあるんですね、きっと。

ただ、精神的にすれっからしになっているらしいワタシには心のど真ん中に
ドシンと来るほどではありませんでした。 どちらかといえば、おもしろく
読みながらも、どこか心の片隅では冷めた気持ちで「カポーティらしさ」を
分析しているようなところがあって。 もしかしたら、主人公が心を寄せる
ドリーが自分に似ているように思えて、それで気が散ってしまったのかも
しれません。 ドリーは60歳になっても浮世離れしていて、家事を切り盛り
しながら同時に、いまだに少女のような非現実的な世界に生きている女性。
しっかり者の妹がいて、金銭的なことなどはすべて妹まかせにしているん
です。 ワタシにしっかり者の妹がいたらこうなっていたかも…一昔前なら
こんな生き方をしていたかも…と妙なことを考えて身につまされてしまい
ました。

「冷血」だけでなく「冷血以前」の本が読めたので、そろそろ映画の
「カポーティ」を観にいこうかと思います。 あの映画は重いのかなあ。

10.11芙蓉

季節外れに白い芙蓉が花を咲かせました。 暑さが過ぎた後で見る、
咲きかけの姿がはかなげ。 他の蕾は咲けないかもしれません。
せっかく蕾をつけたのに、かわいそうに。

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