犬は脇役 ジョージ・P・ペレケーノス「ドラマ・シティ」

オルハン・パムク「わが名は紅(あか)」の重厚な世界をたっぷり堪能した
後は、しばらくすばらしい文学作品の余韻を楽しみたくて軽い本を探して
みました。 ペレケーノスの「ドラマ・シティ」を選んだのは、新聞の書評に
「犬好きにおすすめのサスペンス」とあったから。 ハードボイルドは
10年以上前に読んだきり!? ひさしぶりというより、実はレイモンド・
チャンドラーの「長いお別れ」「さらば愛しき女よ」と、ジョン・ダニングの
「死の蔵書」「幻の特装本」しか読んでいない、たぶん。

11.29ドラマシティ

不幸な生い立ちから犯罪者となり、仲間をかばって長期刑に服した男が
主人公なのですが、暴力的な描写はあまりありませんでした。 服役中に
犬を世話することで癒された主人公は、出所後に虐待された動物を救う
動物保護官の仕事に就き、過去と決別して真面目に働いて生きる道を選ぶ
のだが…。

ハードボイルドというのとは、ちょっと違うように感じました。 主人公は
なかなかタフなんですが、どちらかといえば主人公の活躍より、一度
道を踏み外した人がどん底の境遇から這い上がっていく過程を
ていねいに追った地味で真面目な小説でした。 話のテンポが一気に
加速することもなく、ゆるゆると進んでいくところも、普通のサスペンスや
ハードボイルドとは違うし。 動物保護官という仕事や、依存症を克服
するために必死でもがき苦しむ人たちをリアルに描いたところが、この
小説のポイントです。 安楽死寸前から救った犬と主人公の交流が
もっとあるかと期待していたのですが、そういうところはあえてあっさりに
したのかな。 もうちょっと描いてあってもよかったのになぁ。
感想としては、まあまあ。 犬好きに特におすすめというほどでは…。

読みかけた本が今の気分にしっくりこなかったので、昨日からアリステア・
マクラウドの短編集「冬の犬」を読みはじめました。 クリスマス前に
読むのがちょうどいい内容で、最初の1編で心わしづかみされました。
ゆっくりゆっくり読んでいきたいです。

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