メランコリックは苦手 ジークフリード・レンツ「アルネの遺品」

毎晩、寝入るまでの20分ほどしか本を読む時間が最近はとれないので、図書館から借りた「アルネの遺品」を少しずつ少しずつ読みました(つまり読み出したら止まらない、ということにはならなかった)。 新潮社のクレストブックシリーズで、前から気になっていた本でしたが、読み終わっての感想は「図書館から借りて正解」。 いかにもドイツ文学らしい昔ながらのメランコリックが充満していて、ワタシの好みではありませんでした。 パトリック・ジュースキントの「香水」を読んで「ドイツ文学もついに変わったのか」と思いましたが、やっぱりあんまり変わってないのかな。 留学時代にジークフリード・レンツの小品を読んだような気がするんだけど、内容もタイトルもさっぱり思い出せないんだから、きっとワタシの波長に合わない何かがあったのでしょう。

2.19アルネの遺品

物語の舞台はハンブルグ近郊と思われるエルベ川沿いの港湾地区。 古い船の解体を仕事にしているお父さんが家に引きとったアルネは、友人の息子で、一家心中でたった一人生き残った少年。 家族同様に暮らしていたのに、アルネは結局死を選んでしまった。 なぜアルネは死んでしまったのか。 遺品を整理しながら、実の弟のようにアルネを愛し、かわいがっていたハンスがアルネとの思い出をひとつひとつたどっていく…。

解体された船の残骸や備品に囲まれた生活という舞台設定は秀逸。 独特の叙情性が全編に漂っているのは、この舞台となる家をとりかこむ、うら寂しい風景が印象的に描かれているからだと思います。 この物語の主人公はアルネではなくて、アルネとの思い出を語るハンス。 傍観者としての視点でとつとつと語るハンスの物静かで理知的な態度も嫌ではありません。 でも、作品全体が体質的にダメ。 家族が自殺して受けるダメージはこんなに生やさしいものではない、と知っているから、自殺さえもなにやら美しいことのように描いている点が受け入れられませんでした。 家族を自殺で失った人はハンスのように淡々としていられません。 心がぼろぼろに傷ついて、ひたすら自分を責め続けるものなんです。 「最後に顔を合わせたとき、仕事で疲れていて優しくしてあげられなかった。あのとき、もう少しでも優しい言葉をかけていれば、妹は死ななかったかも」 深夜に泣きながら電話をかけてきた知人の悲痛な声は一生忘れられないほど辛いものでした。 自殺はしてはいけません! そして自殺を美化してはいけません。 自殺は最悪です。 生きている人を死ぬよりも苦しい目に遭わせるのが自殺です。 そんな風に考えているワタシにとって、この小説は感動とはほど遠いものでした。 今日、図書館に返却してきてホッとしたくらい。

2.21ワビスケ赤

庭ではいつのまにかコチョウワビスケが咲いていました。 漢字で書くと胡蝶侘助かな? 小さくて筒型に咲くワビスケは、パッチリと開く椿とは違った楚々とした愛らしさがあります。

抱えている大きな仕事が終わりそうで終わりません。 予定より仕事量が減るかも、と言う話もあったけれど、やっぱり世の中はそんなに甘くありませんでした。 まあね、仕方ないわ。 理不尽な発注者ではないので、あと少しがんばるしかありませんね。


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