怒濤の一気読み 村上龍「半島を出よ」

いや~、すごかった…村上龍の「半島を出よ」。 読み終わっても、しばらく頭がぼんやり。 村上龍の作りだした虚構の世界に圧倒されて、昨夜読み終わってすぐには感想が書けませんでした。 「村上龍だから、きっとグロテスクなシーンが多いんだろうな」と敬遠していたのですが(ワタシはスプラッター系が大の苦手)、あまり気になりませんでした。 まあね、拷問とか戦闘のシーンがあるのだから暴力や血なまぐさい表現が皆無というわけではないんですけれど。

9.28半島を出よ

たった9人の北朝鮮精鋭部隊が満員の福岡ドームを占拠。 この部隊が「北朝鮮の反乱軍」を名乗ったため、政府は何ら有効な手段を講じられないどころか、明確に「侵攻された」とも報道発表できないまま大混乱に。 後発の北朝鮮部隊500人が福岡へ向かっているとわかっても、手をこまねいて見ているだけ。 ついには福岡を封鎖して、日本から切り離す方向へ…こうして福岡を舞台にした壮大な物語が始まります。

無策な政府や官僚、東京中心主義で地方を切り捨てる発想、経済的な破綻から三流国に成り下がって中国や韓国にも相手にしてもらえず国際的な孤立を深めている日本。 上巻を読み始めると、ああ、非常事態が起きたらそうなるかもしれないなあ、とすごくリアルに感じられました。 ちなみに設定は2011年…もうすぐです。 でも、「そんなこと、あるわけないじゃないの」と思えないほど、村上龍の筆力にぐいぐい引っぱられました。 下巻の冒頭150ページくらいは不要かもとか、残虐な事件を引き起こした少年たちが活躍することへの違和感とか、気になる箇所もありましたが、村上龍がこの作品にこめた「とてつもない熱気」の前ではアラ探しなんて意味がない気がします。 ハリウッド的なエンターテイメント作品でありながら、政治的な小説でもあって、とにかくおもしろかった。 さまざま人の視点から語られる事件の顛末、次の章へのみごとな切り替え、爽快感が残る読後感など、もはや熟練の職人技です。

一番印象に残っているのは北朝鮮兵士の視点で語られる部分。 過酷な訓練を通して殺人マシーンと化していても、けっして悪魔的な人間ではない。 故郷の風景、家族への思いなどは温かく儒教的。 礼節を重んじる人間的な面を持ちつつ、殺人にはなんら心の痛みを感じないというギャップ。 一般には「不可解」としか思えない北朝鮮人の内面を生き生きと描いています。 作家としての想像力がすごい! 恐れ入りました。

上・下巻あわせて1000ページほどあるんですが、読み始めたら止まりません。 父もただいま夢中で読んでいます(なので表紙の写真が撮れません)。 厳しい残暑の中でも散歩に行きたがって心配だったんですが、この3日ほどはおとなしく読書してます。 やれやれ(笑)。 時間に余裕があるときの読書におすすめです。

9.19鳥の巣

庭に鳥の巣が落ちていました。 手のひらくらいの大きさです。 外側は細かい枝で編んであって、内側には羽毛が敷いてあります。 どんな鳥が子育てしたのかなあ。 かわいいから拾いたかったんですが、家には年寄りがいるし、鳥インフルエンザが心配で…。 せめて写真に撮っておきましょう。

■Tさん、いつも拍手とコメントをありがとうございます。 映画「山の郵便配達」がお好きなんですね! 「イル・ポスティーノ」は原作だけ読みました。 郵便屋さんってなんか特別な職業ですよね。 しょぼくれた犬も気に入っていただけてウレシイです。

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村上龍村上 龍(むらかみ りゅう、1952年2月19日 - )は長崎県佐世保市出身の日本の小説家、映画監督。本名は、村上 龍之助(- りゅうのすけ)。.wikilis{font-size:10px;color:#666666;}Quotation:Wikipedia- Article- Histor

2007/09/30 (Sun) 09:08 | お待たせ!映画ファン「映画監督・評論家編」

正直、納得いかない部分もあるが、1987当時にこの作品が作られ20年以上読まれ続けてるというのには、やはり、理由があるのだと思う。内容は重く暗い影を背負っているが、正直共感できる部分は多く、学生特有の倦怠感、本書のテーマの一部であろう喪失感。少なくとも当時の自

2007/10/05 (Fri) 07:47 | めぐみのブログ