ユダヤ人って何? 内田樹「私家版・ユダヤ文化論」

突然ですが、質問です。 あなたは「この人はユダヤ人だ」と見分けられますか? ワタシは外見では全然わからないです。 どこからみても白人みたいな人やら、どうみてもアラブ系にみえる人やら…パッとみてもわからないどころか、「私はユダヤ人です」と自主申告してもらわないと見分けがつきません。 それなのに、ヨーロッパやアメリカでは「あの人はユダヤ人だから」という言葉を結構聞くんですよ。 ワタシの認識が根本的に間違っていて、実はすぐにわかる特徴があるのかなとずっと気になっていました。 ユダヤ人って、そもそもどういう人たちのことをさすのでしょうか?

今年の旅でプラハ行きの飛行機に乗ったときに、隣りに正統派ユダヤ教徒の服装をした男女が座っていて、そんな間近からそういう格好をしている人を見るのは初めての経験でした。 「へえ、女の人はあんな服装をするのか」と好奇心でついジロジロ(ごめんなさい)。 しかし、20代の頃、ギリシアの島で同宿したイスラエルから来た若者たちは、ミーハーさが日本の学生と同レベルで親近感を覚えるほどだったので、ユダヤ人といってもいろいろなんですよね(当たり前だ)。 そうかと思えば、先日テレビでナタリー・ポートマンのインタビューをぼんやりみていたら「私はユダヤ人だから」とヘブライ語でひと言挨拶していて、「うわ、この人もユダヤ人なのか」と意味もなく驚いて。 そしてこの間、北欧のデザイン展で解説文を読んでいたら、スウェーデンの有名な家具デザイナーもユダヤ人だという箇所があって、でも写真をつくづく眺めてもワタシには白人にしか見えなくて。 ユダヤ人って何?

先日、内田樹「私家版・ユダヤ文化論」(文春新書)が小林秀雄賞を受賞したときいたので、それならそれほど変な本じゃないかな(ユダヤ論ってトンデモ本が多そうなイメージがあって)と読んでみました。 が、冒頭でいきなり、この本を読んでもユダヤ人がどういう人をさすのかわかるようにはなりませんよ、と書いてありました(笑)。 でも、それなら、見分けがつかないワタシがおかしいわけじゃないのね、と妙なところに納得してしまいました。

10.11ユダヤ文化論

この本に結論とか、ハッキリとした単純な事実を求めてはいけません。 ユダヤ人がどうして長年にわたって嫌われてきたのか(乱暴な言い方でスミマセン。著者はもっと洗練された書き方をされています)ということを通して、ユダヤ独特の「知性」=「ものの考え方」を思弁的に探っていこうとする、その過程がそのまま書かれているといえます。 「ユダヤ人とはこういう人たちだ」と単純に規定することはできないのだそうです。 しかし「反ユダヤ主義」についてなら述べられる。 そこで反ユダヤ主義を通して、「ユダヤ人」という極めてとらえにく集団に少しでも近づこうというのが著者のスタンスです。 もちろん著者は反ユダヤではありません。

「わかりやすい本」とはいえませんが、著者がいわんとしていることは伝わってきました。 ユダヤ人特有の知性が非ユダヤ人に恐怖感を生み、反ユダヤ主義へと向かわせた。 その恐るべき知性は、勧善懲悪とはまったく違う宗教観から生まれたものである…ということのようです(ワタシが理解できた範囲では)。 ただ疑問に感じたのは、そういう宗教観はどういう民族的歴史に由来するのか、ということが説明されていないこと。 そういう宗教観を持っているから、ものの考え方の出発点が他の人たちとはまったく違うと著者は書いているのですが、ワタシは歴史に影響されて宗教はできていくものであって、唐突に宗教が先にあるわけではないはずだと思っています。 なんでバビロンへ民族ごと連れて行かれるほど弾圧されたのか? そのあたりの知識がまったくないためなのか、納得いきませんでした。 とはいえ興味深く読めた本です。 「ユダヤ人ってどうなの?」ということに興味がある人は、読んで損はしないと思います。

個人的に一番印象に残ったのは、中国とインドではユダヤ人との間に過去2000年間なんのトラブルもなかったということ。 もちろん両国に居住するユダヤ人がとても少数だからという理由もあるのでしょうが、歴史的に考えて両国はかなり早い時期から高度な文明を持っていたため、ユダヤ人を驚異に感じることがなかったのでは?(ワタシの勝手な憶測)。 中国人やインド人は経済的な感覚がしっかりしていて「ユダヤ人に出し抜かれた」と恨むような摩擦がおきなかったのでは?(これも勝手な憶測)。

10.11ホトトギス紫

ホトトギスがいつのまにか、ものすごく増えていました。 これは濃い紫。 もともとはこれくらい濃い色だったのが、白と交配して淡い紫のものが多くなったみたいです。

本日は、庭の花の写真を並べて豆本作ろうとPhotoshopをいじっていました。 PCなんて全然わからないくせに、ひとりで手探りでやっているので、異常に時間がかかります。 でも、少しずつわかってきて豆本ぽい形になってくると楽しい♪ ブルース・チャトウィン「パタゴニア」の感想も書きたいのに、相変わらずダラダラいっぱい書いてしまい、本日も時間切れ。
Category: 内田樹

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する