好きなことに突進する姿勢に脱帽 「石田節子のきものでおでかけ」

図書館で借りたきもの本「石田節子のきものでおでかけ」は、新潮文庫になっていて驚きました。 新潮文庫できもの系の本がでるくらいだから(それも女流作家が書いたものでもないのに)、世の中ではきものが流行っているのかも。 著者のことは知りませんでしたが、CMや雑誌・映像で「きものスタイリスト」として活躍している方だそうです。 紬が好き…というから、また群よう子みたいな「渋い粋なきもの」満載の本かと思ったら、ぜんぜん違いました。

1.15石田節子きもので

コーディネイトの参考になるようなビジュアル重視の本ではありません。 きものの楽しみについても書かれていますが、実用書というよりは「読み物」です(さすが新潮文庫だ)。 石田節子という普通の女性がどういう道のりを経て、きものスタイリストという仕事をするようになったのか、そして実際の仕事の様子が、話し言葉のような親しみやすい運びで書かれています。

この方、ほんとうに普通の家の子なんですね。 好きなきものの世界に物怖じせずどんどん突き進んで、一生懸命働いて、好きだからいろいろ教えてもらって…好きなことをしているうちに自然に道が開けていった…ということのようです。 単なるハウツー本ではなく、著者のバイタリティのある生き方が読んでいて清々しかったです。 「損して得取れ」と、目先の利益を追わずに人に喜んでもらえるように働いてきたと、当たり前のことが書いてあるだけなんですが。 でも、スタイリストとして独立したばかりのときは仕事が少なくて、午前中は清掃の仕事(もちろんトイレも)をしていたとあって、それだけなら苦労話になるところなのに、きれいになって人に喜ばれるからお掃除の仕事も好きだとサラリと書いてある。 きものの世界でいじけず卑下せず、こんなことが自然に言えるって、ある意味すごいと思いました。 そういうスタンスだから、きものの楽しみ方も(基本はしっかり知った上で)自由で、ほどよく肩の力が抜けているんでしょうね。 撮影用のしわのない着姿よりも、自然なしわがある方が好きとあるのもいいな。 いつも仕事を支えてくれている職人さんたちに感謝を忘れない姿勢、仕事としているきものへの愛情…いまの自分はどうだろうか、ちゃんと仕事や人に向き合っているだろうか、思いがけずそんなことまで考えさせられた本でした。


さて、昨日ちょこっと書いた柄が逆立ちしている帯のこと。 たまたまこの記事を読んで「お! ウチの帯と同じだ」と思ったんです。 それでネットで帯の結び方を探してみたら、ありました! ここで図解してあって結び方が判明。 インターネットがない時代だったら、昔はこんな結び方をしていたなんてことは絶対に分からないまま、ずっと捨てることもできず締めることもできず、タンスの中で邪魔者扱いされていたに違いない。 きれいな帯なので、なんとか結び方をマスターして一度でも多く締めよう。 きものが大好きというか、きものが一番リラックスできた祖母も喜んでくれるはず。

コメント

引き抜かず

このフレーズ気に入りました。
どうしてかな?でも、なんだか的確というのかしら?

恥ずかしながら和服のこともほとんど知りませんが、丸帯には生涯で一度(笑)出合ったことがあります。
長くて重かったという記憶がありますが、裏表に柄があったのは憶えていません。
奥が深い着物の世界、これからもvogelさんの発見を教えてくださいね。

2008/01/18 (Fri) 11:26 | donau #tUnKcmU. | URL | 編集
「引き抜かず」&「引き抜き」

donauさん、連日だらだら続く、独り言のようなきもの話にコメントをくださってありがとうございます。
丸帯を締められたことがあるんですね。 帯の端から端まで、それも裏表にビッシリ模様があるんですから、織りの帯だったら重すぎて辛そう…。 祖母の帯は染め帯なので軽いです。 でも、ほとんど見えないのに、全部に模様が描いてあってもったいない!(貧乏性)。

この締め方は「引き抜かず」とも「引き抜き」とも呼ばれているそうです。 「正反対の名前って、どういうこと?」と不思議に思ったんですが、実際に一度締めてみたら体感として納得できました。 帯の途中までは引き抜くから「引き抜き」、でも端まで全部は引き抜かないから「引き抜かず」。 両方とも正しいんですよね。 この締め方だと、帯はゆるゆるなんですよ。 昔の人って、今よりもっともっとラクチンにきものを着てたんだなあと、そんな素朴な発見をすることも何やらおもしろいです。

2008/01/18 (Fri) 22:47 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

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