少年の目に映ったドイツ近代史 クラウス・コルドン「ベルリン1919」

クラウス・コルドンの「ベルリン1919」を読み終えました。 ドイツという国が好きなわりに、ドイツの文学や映画がどうも苦手なワタシは、現代ドイツ児童文学なんてノーチェックで、「読書夜話」のぎんこさんの感想で初めて知った本です。 図書館で予約した本を受け取ったとき、予想していなかった分厚さに驚きましたが(650ページ!)、読み始めたらどんどん話に引きこまれて一気に読んでしまいました。 この本は児童文学なんですよ。 ドイツの「児童」のレベルはこんなに高いのか…とビックリしました。 小学校6年生くらいを対象にして書かれているんでしょうか?

2.10ベルリン1919

この本は、第1次世界大戦を終結させた1919年の11月革命(ドイツ革命)から、ナチスの台頭を経て、第2次世界大戦が終わる1945年までを描いた「ベルリン三部作」の第一部にあたります。

主人公ヘレはベルリンの貧民街に住む13歳の少年。 お父さんは第1次世界大戦に出征してしまい、お母さんが朝から晩まで工場で働いても、ヘレと5歳(?)の妹マルタ、赤ん坊のハンスを養うには無理があります。 ドイツの社会全体が食料や薬など、物資そのものが極度に不足している状態に陥り、貧民街に暮らす人たちは空腹を満たす食べ物も、暖をとるための石炭にも事欠いています。 やがて、生活に疲弊した人々は戦争の終結を願って立ち上がり…。 貧しいながらも支えあって生きるヘレの家族と周囲の人たちが、大きな歴史の波にのみこまれてどうなっていくのか、というストーリーとしての運びがいいため、非常に政治的な題材を扱っているのにもかかわらず読みにくさを感じさせません。 ヘレや革命を起こした水兵のハイナーたち、登場人物のひとりひとりが確かな存在感を持っていて、表紙や見返しの写真を見ていると、どこかの片隅に彼らが写っていそうな気がしてきます。

ドイツ近代史の政治的なうねりを背景にしていて、ノンフィクションかと錯覚するような緻密な内容で、すごく読み応えがありました。 ドイツの歴史になじみがない日本では、むしろ大人向けなのではないかと思うほど。 片手間に読むのではなく、「腰をすえて読書する」というタイプの本です。 でもでも、ぜんぜん小難しくないので、ぜひ気軽に手にとってみてください。 父は表紙を見て気になったのか、ワタシが読み終わったら早速読んでいます(図書館の貸し出しを延長しなくちゃ)。

クラウス・コルドンは、「飛ぶ教室」の著者エーリッヒ・ケストナーについて「ケストナー ナチスに抵抗し続けた作家」という本も書いているんですね。 昨年の夏、ドレスデンのケストナー博物館を訪れて、それまで知らなかったケストナーの人生に興味をひかれたので、この本も読んでみたくなりました。 とはいっても、まずは次の「ベルリン1933」を図書館で借りてこよ。 いい本なんですが、現在ひどい金欠に苦しんでいるワタシには買えません。 1冊でもいいお値段なのにシリーズで3冊あるし、それにこの分厚さ…部屋にこのシリーズを収納する場所もありません(涙)。

2.10雪の日

土曜日は一日中雪が降っていました。 日曜日の朝は庭が一面の雪原(おおげさ!)。 寒いけれど、日射しは日に日に明るさを増していますね。 春の気配を秘めた雪景色っていいなあ。 一番好きなシーズンです(花粉さえなければ最高なのに)。

コメント

vogelさんこんばんは。
よかったよかった、お気に召して頂いて何よりです。
(リンクもありがとうございました)
「1919」を読むと、ドイツの歴史が改めてわかるような気がしました。ドイツ革命からいろいろ始まってるんですね。(その前にもいろいろとあるんでしょうけど)
「1933」「1945」も面白いので楽しんでくださいね。

2008/02/12 (Tue) 00:40 | ぎんこ #n64RtCaA | URL | 編集

ぎんこさんのホームページのおかげで、全然知らなかったおもしろい本に巡りあえました。
ありがとうございます!
「1945」まで読むと、すんなりドイツの近代史がアタマに入りそうですね。
図書館の返却を延長したのに、父も一気読みして「次のを早く借りてきて」ですって(笑)。

2008/02/12 (Tue) 22:46 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

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2009/06/26 (Fri) 10:47 | 忍者大好きいななさむ書房