のんびりエッセイ 杉浦日向子「隠居の日向ぼっこ」

昨日ブログに書いた佐野洋子が柔らかな内面を守るために、山嵐のようなトゲトゲで武装したエッセイを書くのとは対極にいるのが杉浦日向子さん。 力みのない、のほほんとしたエッセイは技巧を凝らすことなく、書いている人の人柄がそのまま出たような温かさが伝わってきます。 ぬるいお風呂につかっているような心地よさがクセになります。 「一日江戸人」を読んで以来、ワタシの中では「エッセイなら佐野洋子か杉浦日向子」です。 新潮文庫の新刊として並んでいた「隠居の日向ぼっこ」は迷わず購入しました。

この本は、主として江戸時代のモノに焦点を当てたエッセイ集で、杉浦日向子が子どもだった頃の昭和の面影もちらちら出てきます。 それぞれのモノについて1ページ半で書かれていて、とても短いので、移動のときに読もうと思っていたのですが、読み始めたらおもしろくてアッという間に読んでしまいました(もったいない感じがします)。 のんびりとした口調で語られるモノももちろん魅力的なのですが、そのモノが使われていた時代のゆるやかな空気がなんとも気持ちいいのです。 エッセイの中にあった「ちうくらい(中くらい)のほどよいしあわせ」を思ってしみじみしたり、(江戸時代の耳掻き商売のような)「他愛ない身すぎ世すぎが、暮らせるような、おおらかな世紀が到来しますように」という祈りのような言葉にジンとしたり。 1編ごとにイラストが添えられていて(描き下ろしではないけれど)、それも楽しい雰囲気を醸しだしています。 イラストにあった平野屋さんの雀の根付、鳥好きとしてはものすごく欲しい…。

4.10海棠

今朝は暴風雨並みの激しい雨が降って、わが家の山桜は全部散ってしまいました。 雨に濡れた海棠(かいどう)のつぼみ。 雨の中で一瞬、薄日がほんの少しさして、いい色に写りました。

4.10乙女椿

満開の乙女椿もまだ落花していませんでした。

先日お会いした方に「早朝の空気の中でしか生まれない言葉があるし、夜明け前にしか感じられないものがあるから、早起きしなさい」と諭されました。 今日こそ早寝しようと思ったのに、もうこんな時間…早く寝なくちゃ。
Category: 杉浦日向子

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