乱発される「心神耗弱」判決への違和感 日高隆「そして殺人者は野に放たれる」

2009年5月から始まる裁判員制度。 法律について完全に素人のワタシには裁判員制度導入にどういう意味があるのか、さっぱりわかりません。 アメリカの陪審制度のマネして、どうするんだ? 裁判なんか関わりたくもない、というのが正直な気持ちです。 みなさんはどうですか?

そんなワタシでも、裁判員制度は気にはなっていたんでしょうね。 いままで興味をひかれなかった「やがて殺人者は野に放たれる」が文庫本になっているのを本屋さんでみつけて、迷わず買いました。 いや~、この本は強烈です。 ひさびさに出会ったインパクトのある本です。 センセーショナルで浮ついた内容だろうと勝手に決めつけていましたが、ぜんぜん違いました。 渾身のノンフィクションです。 司法制度にも法律にもまったく興味がない!という人にも強くおすすめします。 素人にはわかりにくい法律や司法制度について、わかりやすく書かれていますから、ぜひ読んでみてください。

日高隆の「そして殺人者は野に放たれる」は、いままでタブー視されてきた精神障害者の重犯罪(殺人)について、日本の司法に正面切って異議申し立てを行ったノンフィクションです。 精神障害者だと鑑定されれば、通り魔事件で何人殺しても「心神喪失」=無罪の判決が下される現状の司法制度の矛盾を、さまざまな事件を検証しながら指摘してゆきます。

殺し方が残虐なほど、「正気では理解できないから精神障害がある→心神喪失か心神耗弱」とされる裁判って、どうなってるんでしょう。 著者が書いている通り、もともと殺人なんて正気でできるもんじゃないのに。 一番おかしいのは、多量の飲酒や覚せい剤を「自分の意志で」摂取した上で殺人を犯した場合でも、「心神耗弱」として刑が軽くなるという法律(の穴)。 信じられませんよ、そんなの! みなさん、人殺しをする際は、凶行の前に酩酊状態になっておきましょう。 そうすると、かなり罪を軽くしてもらえるらしいですよ…て、こんなこと参考にしないでね。 なぜ、こんなおかしい状態が放置されているんでしょう? 結局は政治家と法務関係官僚の怠慢なのでは(怒りムラムラ)。 「人を殺したら、たとえ精神障害者であっても、罪に応じた罰を負うべき」という著者の主張はもっともです。

詳しくは本を読んでください。 この本に書いてあることが全部正しいかどうかはわかりません。 情報をうのみするのは危険です。 でも、こういう法律がいつまでも改善されずに放置され、犯罪被害者が苦しんでいる現状は知っておくべきです。 著者のくだけた文体はかなり挑発的で、(たぶん意図的に)感情的に激したように書かれた部分もありますが、それが読みやすさにつながっているのだと思います。 重苦しいテーマですが、一気に読めました。

8.26ニイニイゼミ

今日もまだ異様なほど涼しいです。 おとなになっても、庭でニイニイゼミの抜け殻をみつけると、つい拾ってしまいます。 小さくてかわいい。 こんなに涼しいと、必死で鳴いている蝉が切ないですね。

コメント

私もvogelさんと同感。
裁判に私たちのような素人が加わることで、何かよい方向へ進んでいくのだろうか?という疑問はずっとあります。

それに、精神に障害があった場合罪にならないということにも以前からずっと疑問を持ってます。
自分がどういう状態であろうと、相手に危害を加えたという事実はなくならず、その点を償うことは必要だと思うんですね。
なにも社会復帰がすべてではないように思う。たとえ刑務所内であっても、残りの人生をその人(事件を起こしてしまった精神障害者)らしく穏やかに全うできれば、無罪になってまた社会に放り出されて同じことを繰り返すより、よほど人間らしい扱いなのではないかと思います。

語っちゃいましたね^^;
この本、ぜひ読んでみたいです。いや、読みます!

2008/08/29 (Fri) 07:55 | こころ #- | URL | 編集

こころさん、納得できませんよね、裁判員制度って。
でも、この本の著者は、信じられないような理由で「心神耗弱」を乱発する裁判を防ぐためにも、裁判員制度が必要だと考えているようでした。
重い内容の本なんだけど、ホントにおすすめです。 「心神耗弱」という判決に対してモヤモヤとした感じを抱いている人なら、ぜひ手にとってほしい本です。

ほんとうに精神障害者の犯行なのなら、すぐに社会に放り出すんじゃなくて、適切な治療を施せる施設に拘禁して罪を償わわせるべき。 そんなの当たり前なのにね。 日本にはほとんどそういう施設がないということを初めて知りました。
日本の刑法ってヘン!

2008/08/29 (Fri) 22:32 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

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