生活を豊かにするデザイン 「生活と芸術 アーツ&クラフツ展」

うれしくない悲鳴をあげたくなるほど仕事が集中しても、今回は開き直ってしっかり(?)プライベートでの楽しみを優先しています。 この方式の方がストレスが発散できて、結局は「時間がない!」と崖っぷち状態に自分を追いこむことで、最近減退している集中力がグッと増すようです。 月曜の夕方までにできるかな、と不安だった仕事が日曜の夕方にほぼ終わりました。 要するに、近頃のワタシに足りないのは気合い…なのか。

土曜日は京都国立近代美術館の「生活と芸術 アーツ&クラフツ展」へ行ってきました。 開館と同時に入館して、じっくり気が済むまで堪能しました。 気づけば3時間以上が経過していてビックリ。 期待通りの充実した展覧会で、たっぷり楽しみました。 むふふ、満足満足。

「アーツ&クラフツ展」は、19世紀後半のイギリスで始まったデザイン運動=「アーツ&クラフツ」を紹介しています。 展示の中心はウィリアム・モリスと、彼と同時代のイギリス人の工房から生み出されたデザイン作品。 ウィリアム・モリスが目指した「アーツ&クラフツ」運動の思想を知ることができて興味深かったです。 単に美しいデザインを追求するだけではなくて、急激な工業化によって虐げられた人間性や手仕事の価値を再評価して、職人としての労働と生活に喜びを取り戻そうとした社会的な運動だったのですね。 建築の設計図、タペストリーや壁紙、ステンドグラス、家具はもちろん、時計や燭台、食器、本の装丁、精緻なカリグラフィー、アクセサリーまで、ありとあらゆるもののデザイン作品が展示されています。 モノトーンのハムレットのポスターもよかったなあ。 モリス時代のイギリスの過剰な装飾性を排したシンプルで、かつ心豊かになるような形と色は、フランスのアール・ヌーボーよりずっと好みです。 モリスの足跡をたどってイギリスを旅してみたくなりました。

9.27六花

アーツ&クラフツ運動が、ドイツやオーストリアをはじめ、北欧やロシアなどに広がり、それぞれの国で独自の展開をしたことも初めて知りました。 ドイツでは手仕事にこだわらず、デザインと品質の良さが保てる場合には積極的に工業化を受け入れ、庶民の生活によいデザインをもたらしたとのこと。 ドイツらしい考え方ですね。 展覧会の後半は日本での民芸運動に関する展示でしたが、民芸の展覧会をいろいろみているからか、物足りなく感じました。 河井寛次郎の陶器(すでにたっぷりみてしまった)と黒田辰秋の木工が多くて、ワタシの大好きな濱田庄司が少なかったのもガッカリの原因かな。 日本に関する展示では、民芸運動を結集した「三國荘」の再現がメインだったようですが、これは不思議なほど心に響きませんでした。 民芸運動がとても好きだったのですが、この展示を前にしてかえって冷めてしまったような気分になりました。 それまで誰も価値を感じなかった、庶民の生活に根ざした雑器類に新たな光を当てた柳宗悦の着想はよかったけれど、いつのまにか民芸の「作家」(職人じゃないんですよね)の作品は庶民には手の届かない、庶民の生活から離れてしまったものになってしまったのでは…と、そんなことを思いました。  そうだとしても濱田庄司の陶芸は本当にすばらしいし、もっともっとたくさんの作品をみたいのですけれど。

純粋芸術の絵画を鑑賞すると、ものすごく好きな作風で心から楽しくても、美術館から出る頃には心身ともに疲れ切ってフラフラになるのに(立体より平面の方が疲労度が高くなるのはなぜなんだろう)、デザインはただただ楽しいだけで疲れないんですよね。 絵は画家の魂がこもっているというか、人間存在そのものを賭けて描いてる”力”が鑑賞する人間を圧倒するんでしょうか。

9.27オ・タン・ペルデュ

展覧会の後のランチは、近代美術館近くの「オ・タン・ペルデュ」で。 ランチはキッシュ+ホタテ貝のムース+グリーンサラダ+ラタトゥユちょっぴり+ニンジンのサラダ+焼き菓子に飲み物がついて1500円でした。 微妙な値段設定ですが、見た目よりは食べ応えがあったし、気持ちのいいお天気の日にテラス席でのんびりできたので満足です。

その後は細見美術館のミュージアムショップをじっくり眺め、さらに足を伸ばして一澤帆布vs信三郎帆布の仁義なき兄弟喧嘩の現場を視察。 いつのまにか信三郎帆布が一澤帆布の並びに移転して、ますますヒートアップしてました。 一澤帆布の縫製などは以前と比べると、どうなんでしょうね? 信三郎帆布は一澤帆布時代に近い無地のバックが増えている気がしました。 地元の人はたいてい信三郎さんに同情的です(当たり前)。 ワタシもいつか帆布のバックを買うとしたら、信三郎帆布で買います。 でも、お値段がステキすぎて貧乏人にはなかなか手が出ません。 地元だから「いつかお金に余裕ができたら買おう」と思って、いつまでも買えないんです。 旅先だったら買ってるだろうな(笑)。 最後は古川町商店街近くの「六花」でおいしいコーヒーで、幸せなオフの一日が終了。 Mさん、一日つきあってくれてありがとう。 季候がいいうちに遠足に行きたいですね。
Category: 日々の記録

コメント

しんざぶ♪

はじめまして

> 地元の人はたいてい信三郎さんに同情的です(当たり前) 

わたしは大阪の人間ですが、信三郎帆布(通称:しんざぶ)に同情しています
というのも、根っからの旧一澤(=現しんざぶ)ファンなもので・・・^^

たしかに・・・しんざぶのお値段は、ある意味ステキですね^^

2008/10/06 (Mon) 13:36 | 遥 #HfMzn2gY | URL | 編集

遥さん、はじめまして!
根っからの旧一澤ファンということは、コレクションもなかなかのものなのでは…と推察いたします(笑)。
いいですよね、シンプルで。

いつかお金に余裕ができたら欲しいんですけど「いつでも買える」と思うと、踏ん切りがつかない。 そんなこんなで、数年…あるいは10年以上買えずにいます(汗)。

2008/10/07 (Tue) 00:46 | vogel #9JN9NMwM | URL | 編集

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する