ありきたりで情けなくて 角田光代「人生ベストテン」

また角田光代です。 そんなに好きなのか?ときかれたら、「好き」というより「気になる」。 読んでも爽快になるわけでも前向きな気持ちになれるわけでもないのに、それでもちょっと読んでみたくなるんです、角田光代。 同時代を生きている同世代の感覚で、現代を漂流している「どうしようもない人たち」を書いているからかな。

「人生ベストテン」は、ささやかでいまひとつパッとしない普通の人生の一瞬を描いた短編集です。 感動するとか、後に何かが強く残るというほどではないけれど、このうだうだと優柔不断な主人公たちは、まさに角田光代らしい感じでした。 読んで損したとは思わなかったです。

文庫本をみつけて買ったのは、表題作の「人生ベストテン」が同窓会をテーマにしていたからかもしれません。 もうすぐ同窓会があるから気になって(笑)。 40歳目前なのに中学以来、恋もしていないシングルの女性が好きだった男の子目当てに、いつもより気張っておしゃれをして出かけるのだが…。 これが、やっぱり一番インパクトがありました。 あとはリフォームの仕事で他人の生活をかいま見るアルバイト男、彼と別れる決意をしに旅に出たはずの女に降りかかる災難、自分ひとりでマンションを買おうとする女、飛行機で感じの悪い女の横に座ってしまった男の暴走、そして離婚を前にして男を時間借りしてデートする女の胸のうち。

いずれの作品でも、ごくささいな事件が起こったとしても、人生はそれでも何も変わらずに続いていく。 それを詠嘆でも諦めでもなく、「そういうものなのです」と突き放して描いているところに、女性作家ぽいナルシスト的ウェット感がなくていいです。 とかいいながら、最後の「貸し出しデート」を仕事へ向かう電車の中で読んでいて、一瞬泣きそうになりましたが。 登場人物はみんな「大人」といっても、内面は学生時代とたいして変わらず、うだうだ右往左往、バカみたいなことしたり考えたり。 人生って本当はそんなものなんですね、たぶん。
 
10.16貴船菊

仕事の直しの連絡がなかったら映画に行こうと思っていたのに、結局、あまりにもいいお天気なのがもったいなくて一日家でうだうだ。 旅先の情報収集したり、まだとれていなかった宿を手配したり。 こういうだらんとした時間が、働き者でないワタシには必要です。
Category: 角田光代

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